バンド活動休止を乗り越え、進化したSuGの今の思い

バンド活動休止を乗り越え、進化したSuGの今の思い
松浦靖恵
松浦靖恵

ーーバンド活動休止を乗り越え、約3年ぶりに活動再開後初となるオリジナル・アルバム『BLACK』をリリースした、SuG。メンバー5人の身体に宿る様々なジャンルと感性が重ねられた今作は、SuGの進化を見せつけるにふさわしい作品であり、SuGの代表作になる最高傑作だと言えるだろう。最強のアルバム『BLACK』を携え、4月18日の仙台公演からスタートするワンマン・ツアーは、SuG史上最長の全国ツアー(全国21ヶ所)となる。このツアーのファイナルを飾るのは、7月26日の渋谷公会堂だ。

リリースまでの3年間

ーーボーカル・武瑠の体調不良と療養により、苦渋の選択だったとはいえ、常に動き続けていたバンドを活動休止せざるを得なかったSuG。「このまま解散してしまうかもしれない状況にあったかもしれない」と、Chiyuが言うほどの危機があったにも関わらず、彼らが見事な復活を果たすことができたのは、何があろうとも新しいアルバムを作りたい、最高傑作を作りたいという情熱を持ち続けていたからだった。 yuji : 活休期間は個々で曲を作っていたし、それぞれが経験値を上げていた。ずっとアルバムを作っている感覚がありましたね。 masato : 活動休止があったからこそ、バンドとしてパワーアップした姿、よりバンドらしい姿を見せたいという思いがあった。最高傑作を作りたいという意気込みで作りました。 武瑠 : 休んでいる間も、アルバムを作るという意識が常にあったし、アルバムを作るために今何が必要かを考えていた3年間だったので、迷いはなかった。活休をはさんでの一発目のアルバムという気持ちが大きかったので、復活した以上、いままでのSuGの歴史をふまえた上で、SuGの進化をちゃんと見せなければいけないという思いが強かったし、最低でもこのクラスのものができなければ、アルバムを出しちゃいけないと思っていました。

未知数の新たな音楽

ーー武瑠の設計図を元にして作られたデモが届くたびにスタジオに入り、ディスカッションを重ね、挑戦を恐れずに、新しいアルバムと向き合っていたこの3年間。メンバーそれぞれが視野を広げ、経験値を積むことができたからこそ、『BLACK』にはSuGにしか形にすることのできない未知数の可能性を秘めたバンド・SuGの音楽を刻むことができたのだろう。 武瑠 : 活休中にソロでEDMをやったりして、それが影響を受けたひとつになったし、やってみたことで、バンドの音だったり、バンドの絵だったり、結局バンドの世界が自分は好きなんだなってあらためて理解できた。そこでこのアルバムが作れてよかったですね。SuGの名刺を作ることができました。 shinpei : 音や楽曲のクオリティには、ちゃんと3年分の時間が詰まっているな、と。3年分の自分たちが出し切れたと感じた。 masato : 『BLACK』は、今のSuGを表わす作品です!と、ちゃんと胸を張って言える作品になったと思います。バンドの代名詞になる作品になった。

『BLACK』に込められた想い

ーーROCK、パンク、HIP HOP、ラウド、POPなど、SuGから放たれる音はどれもが多彩。それぞれの曲が持つ色、5人のメンバーが持っているそれぞれの色、その全ての色を塗り重ねれば黒になるという意味合いが、タイトルの『BLACK』に込められている。 masato : 曲の幅が広いので、聴き方によって好きな曲が違ってくるし、それが如実に出ているアルバムですね。歌詞の世界感が好きという人はこの曲、バンドのサウンドが好きな人はこの曲って感じで、(このアルバムを聴いた人の反応が)明確に分かれているのがおもしろい。 Chiyu : ビジュアル系があまり好きじゃない友達に、何も言わずにこのアルバムを聞かせた人がいて。“これ、ビジュアル系?”って、ビックリされたみたいです(笑) 武瑠 : みんな、自分が生まれた出身地は変えられないじゃないですか。SuGもビジュアル系シーンで育ててもらって、そこで成長させてもらったし、恩もある。だけど、そこから出てきたからこそ俺たちは違う個性、ギャップを出せるんだと思う。

全国ツアーへの期待感

ーーバンドのクオリティやハードルがどんどん上がっているだけに、4月からスタートする全国ツアーにも期待が高まる。 yuji : 『BLACK』のクオリティをライブで再現したいし、再現しようとしているところで、またこのバンドがレベル・アップしてますね。ファンの前で演奏して初めて実感するところが大きいと思うので、ツアーが楽しみです。 masato : ライブではもっと勢いが出てくるし、それぞれの良さがもっと出てくると思います。

SuGが向かう未来

ーー約3年ぶりのアルバム『BLACK』で得た手ごたえは充分。気は早いが、SuGの代表作となりえる『BLACK』以降、彼らはどんな思いでSuGを動かし、どこへ向おうとしているのだろう。 yuji : 個人的には、『BLACK』出したことによって、むしろ変わらないなっていう感じですかね。これから何かあるかもしれないけど、今のところないなって(笑)。ここから広がって何か感じられたらいいなって思ってます。そこで感じたものが、また次なる何かを生むような気がする。 武瑠 : 過去が自分たちの最大のライバルになるというのをずっと繰り返してレベル・アップしてきたバンドだと思うので。今は『BLACK』は今までの最高かもしれないけれど、もっと最高なものを作らなければいけないし、更に上のものを作りたい。今まではSuGの立ち位置がすごく複雑で、どのジャンルなのかっていうのが何なのかが外からもわからないし、自分たちでもわからなかったんです。でも、今の時代の中で、自然な生まれ方をしているバンドなのかなと思います。全方向にチャレンジし続けるのは変わらずに、まずは『BLACK』を持って戦いに行きたいです。

SuGの音楽ルーツ

【Chiyu】 自分がバンドを始めたきっかけは、GLAYさんです。昔、友達の中で、L'Arc~en~Ciel派かGLAY派か分かれたときがあって。ラルクさんもカッコ良くて好きなんですけど、自分はTERUさんの声が好きなので。あと、J-POPが好きですね。   【masato】 X-JAPANのHIDEさんを見て、ギターをやりたいと思って始めました。ビジュアル系というところで言えば、HIDEさんは絶対語られるべき偉大な方なので、そういう部分でもHIDEさん惹かれましたね。HIDEさんが作られる楽曲はシンプルでカッコよくて覚えやすいし、最強のフレーズに惹かれます。 【武瑠】 もともとはオリコン・チャートを見て、ランクインしている曲を全部聴いていくというミーハーな聞き方をしていました。バンドとして意識して聴き始めたのはELLEGARDENEさん、銀杏BOYSさんなどの日本のパンク・シーンです。そこからhydeさん(L'Arc~en~ciel)や清春さんがいらっしゃる直系の先輩方のバンドが好きになりました。成長するにしたがってファッションと一緒にHIP HOPも聴くようになって。自分のファッションで言うと、A$AP RockyやLil Wayneなど、HIP HOPの色が強いと思います。 【shinpei】  僕は最初にMr.Childrenさんから入って、それ以降J-POPをずっと聴いていました。音楽大学に入ってからは楽器の観点からプログレ、ファンク、メタル系と、いろんなジャンルを勉強したんですけど、自分のルーツはJ-POPですね。JUDY&MARYさんが好きだったので、ドラムは五十嵐公太さんの影響を受けていると思います。 【yuji】  自分の中にルーツとして根付いていると思うのは、子供の頃に家族と一緒に乗った車の中で流れてたイエローモンキー、BOOWY、ユニコーン、SMAPなど、バラエティ豊かなJ-POPですね。自分で意識して音楽を聞き始めるきっかけになったのは T.M.Revolutionさんの「HEART OF SWORD」です。

松浦靖恵
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