ニューアルバム「1999」に収録された新録楽曲と、にしなを築き上げた音楽の原点

ニューアルバム「1999」に収録された新録楽曲と、にしなを築き上げた音楽の原点
森朋之
森朋之

2021年4月に発表した1stアルバム『odds and ends』によって、“新世代・音楽シーンの旗手”として注目された“にしな”。ニューアルバム『1999』は、彼女の新たな進化が生々しく反映された作品となった。「東京マーブル」(ドラマ『お耳に合いましたら。』エンディングテーマ)、「debbie」(映画『ずっと独身でいるつもり?』主題歌)などを含む本作。幅広いジャンルの映像作品のタイアップ、そして、彼女自身の経験の積み重ねによって、歌詞の内容やメロディの色味が大きく広がっている。また、ギターロック、オルタナR&B、アコギの弾き語りなど、バラエティ豊かなサウンドメイクも本作の特徴。もちろん、喜怒哀楽をビビッドに感じさせるボーカルがこのアルバムの中心を担っているのは言うまでもないだろう。

出典元:YouTube(nishina_official)

本作の制作に関して彼女自身は、「アルバムを作ろうとして作ったというより、目の前のことを一つずつ積み重ねてきたら、一枚のアルバムになっていたという感覚です。」(にしな)とコメント。その言葉からは、1曲1曲に集中し、着実にクオリティを上げてきた彼女の真摯なスタンスが伝わってくる。新たなステップアップとなった本作『1999』の中から、新録された楽曲をピックアップ。にしな自身のコメントとともに紹介しよう。


ニューアルバム「1999」に収録された新録楽曲を紐解く

◯青藍遊泳

出典元:YouTube(nishina_official)

にしなが音楽仲間と離れ、一人で活動をはじめる決意をしたときに制作されたというナンバー。感情の起伏に寄り沿いながらドラマティックなラインを描き出す旋律、<さらば友よ、忘れてしまえよ/ただ必死になって泳いでいく>というフレーズに胸を打たれる。曲想のもとはプライベートな出来事だが、歌詞、サウンド、メロディに“隙間”を作ることで共感度の高い楽曲に仕立て上げている。聴き手ピアノ、ストリングを軸にした洗練されたアレンジも見事。

バンドやグループではなく、1人で音楽をやっていこうと決めた時に作った曲です。門出の歌です。誰かの門出のタイミングで、そっと寄り添える一曲になれたら嬉しいなと思っています 。(にしな)


◯1999

出典元:YouTube(nishina_official)

まるで彼女の部屋でレコーディングされたかのような、生々しいギターの音色と歌声に惹きつけられるタイトル曲。“1999年”は、にしなが生まれた1998年の翌年。この題名に込められているのは、デビューして1年という時間、そして、未来が見えない現在の世界の姿だろう。アコギと歌によって、これほどまでに切実で、普遍的なメッセージを自然に滲ませることができるーー彼女のソングライターとしての類まれなセンスが実感できる名曲と言っていい。すぐ近くにいる人に向けて静かに語り掛けるようなボーカルも心に残る。

戦争とかがある不思議な時代の中、もし本当に明日世界が終わるとみんなが信じたら、きっと、憎みいがみあうために時間を使うのではなく、大好きな人や大切な人のために時間を使うのではないか? 世界が終わる瞬間は皮肉にも一番愛に溢れた瞬間なんじゃないか?という希望を込めて作りました。(にしな)


◯アイニコイ

エッジの立ったギターサウンド、オルタナ的なセンスを取り入れたアレンジ、切なさと可愛らしさが響き合うメロディが一つになった、にしな流のロックチューン。<アイにコイがだんだん溶けていく>という印象的なフレーズからはじまる歌詞が描いているのは、気になる異性に振り回されながら、なぜかそれが心地よく感じている主人公の姿。一気に駆け抜けていく爽快なビートと揺れ動く恋愛感情のコントラストも素晴らしい。

初期衝動感を詰め込めたらと思い、いつものライブメンバーで1発録りで臨みました!(にしな)


◯ワンルーム

出典元:YouTube(nishina_official)
2018年に公開され100万回以上再生された「ワンルーム」のMV

2018年4月にYouTubeにアップされた弾き語りが100万回以上再生された曲。六畳一間のワンルームで暮らす恋人たちの日常を描いた歌詞、叙情的な手触りと洋楽的なフロウを兼ね備えたボーカルを軸にしたバラードナンバーだ。アルバムに収録された音源は、三船雅也(ROTH BART BARON)によるリアレンジ・バージョン。浮遊感を感じさせるトラックメイクによって、楽曲のなかで映し出される二人の穏やかで危うい関係性を見事に際立たせている。まるで映画のワンシーンのような情景をリリカルに伝える歌声も秀逸。

ROTH BART BARONさんとスタジオでプリプロしながら、そのままアレンジが完成していきました。原曲の持ってる世界を大切に構築してくださいました。(にしな)


◯モモ

出典元:YouTube(nishina_official)
2019年に公開された「モモ」のMV

にしなの原点であるアコギの弾き語り楽曲。繊細なアルペジオを軸にしたギターの響きとともに描かれるのは、眠りに落ちる前の、ぬいぐるみの“モモ”との時間。その日の<ちょっぴりだけ悲しいこと>を思い出しながら、葛藤や不安に包まれる姿を投影したデリケートなメロディが心に残る。まさに“ベッドルーム・ミュージック”と称すべき楽曲だが、リスナー自身の経験と結びつき、“自分事”として捉えられる不思議な魅力をたたえている。

お世話になっている方から「モモ」というぬいぐるみをテーマで曲を作ってみて、というお題をもらったところから制作しました。お題をくれた方のやさしい雰囲気がそのまま曲にも現れているのではないかと思っています 。(にしな)


にしなを築き上げた音楽の原点

今回「にしなを築き上げた音楽の原点」というテーマで“にしな”にプレイリスト選曲をしてもらった。アルバム『1999』と併せて、“にしな”の世界観を味わって欲しい。

今回のアルバム「1999」の制作において、インスピレーションを受けた曲を選んでみました。アルバムの収録曲とあわせて楽しんでいただけたら嬉しいです。(にしな)



森朋之
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