セルフィーがアーティストの素顔を見せてくれる

街を歩いていても、当たり前の風景として見かける「自撮り（セルフィー）」する人たちの姿。「セルフィー」という言葉が一番最初に使われたのは、2002年と言われていますが、爆発的に広がったのは2012年。ハリウッドのアカデミー賞の席でセレブたちが一緒に「自撮り」した写真が話題となり世界的に拡散しました。 流行した当初から、一般ユーザーが自分のSNSで旅先や料理などと一緒に自撮りすることでたくさんの「いいね！」や「シェア」を獲得。徐々にアーティストや俳優たちも自らのプロモーションの一部（しかも楽しみながらできる）として活用しはじめました。中には、広告写真を自撮りで表現するクリエイティブまで生まれ、ある意味文化として定着した「セルフィー」はどこまで進化していくのでしょうか。 そこで今回は、自撮りの様々な表現方法を紹介しつつ、ミュージシャンがどんな音楽を表現しているのかをご紹介します。元旦の新聞広告（新年広告）は、各社が気合いを入れてインパクトのある広告をうつことで注目を集めますが、2015年元旦の資生堂の広告では、レディ・ガガの自撮り写真。「あなたはあなたでいて。それがあなたの美しさだから。」というコピーと共に50紙に各1点ずつ掲載された"素"のガガは、ブームではじまった「セルフィー」が瞬く間に行くつくところまで行き着いた印象を与えました。 ■レディ・ガガinstagram https://www.instagram.com/ladygaga/「人間活動」をするために歌うことを休止した日本の歌姫宇多田ヒカル。連続テレビ小説「トト姉ちゃん」では、主題歌「花束を君に」を提供し、6年ぶりに本格的な音楽活動を再開しました。そんなリスタートが話題となっているなか、本人のインスタグラムに投稿された「セルフィー」。あっという間にネットで話題騒然となり、各メディアでも取り上げられました。さすがの影響力。 ■宇多田ヒカルinstagram https://www.instagram.com/kuma_power/出典元：(Utada Hikaru)音楽プロデューサーのアンドリュー・タガートとアレックス・ポールによるDJユニット、チェインスモーカーズ。2014年、セルフィー人気に便乗してタイトルをまさに「#SELFIE」と題したEDM楽曲を発表。自撮りで構成されたMVのおもしろさもあり大ヒット。出典元：(The Chainsmokers)フジテレビ系ドラマ「ラブソング」の挿入歌「Rainbow」でデビューしたLeola。「Let it fly」では、チャーミングかつ爽やかな歌声と風貌を存分に活かした自撮りMVを制作。全編にわたって自撮りしているのに嫌味にならないのだから爽やかさって大事ですね。出典元：(Sony Music (Japan))日本の音楽番組の多くで"トリ"を務めるパフォーマンスグループEXILE。そんな彼らも「Believe in Yourself」では、メンバー全員がそれおぞれ自撮り棒で撮影するというアプローチでMVを制作。テレビなどのメディアでは見られない本来の姿に共感の声が寄せられました。出典元：(avex) 「セルフィー」が音楽に与える影響ということを考えると、音楽そのものへの影響はさほどないのではないかと思われます。チェインスモーカーズのように「セルフィー」そのものを楽曲にすれば別ですが。でも、セルフィーをつかったコミュニケーションをアーティストがとることで明らかにリスナーとの距離感は縮まるような気がします。クリエイティブとして完成されたものを見たり聴いたりするのが基本だったこれまでとはちがい、素顔をチラ見できる（出す側も見せたい素顔を選べる）「セルフィー」は、新しいコミュニケーションツールとなったことは間違いありません。これからどんな使い方が登場するのか。誰がそれをはじめるのか。もしかしたら、あなたがアップした自撮り方法が、ビッグアーティストに採用されるかもしれません。