ロックが元気無い?ポップ最強時代の洋楽のススメ

ロックが元気無い?ポップ最強時代の洋楽のススメ
KKBOX編集室
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2017年、特にアメリカで顕著なのだが、ヒットチャート上でロックに元気がない。その理由一口には言えなくはあるのだが、概して言えるのは、「ロックが貫禄を持ち過ぎている」ということではないだろうか。 ロックを聴いていた層が両親どころか、おじいちゃん・おばあちゃんの青春の音楽にも昨今はなっている。さらに言えば、40、50代どころか60、70年代になっても、その世代のヒーロー、ヒロインたちが元気だ。そんなアーティストたちはいまだに多くの高年齢者層を夢中にさせているのも事実だが、そうなればそうなるほど、若い人たちは「良いかもしれないけど、でも自分たちの世代の音楽では・・」となってしまうのではないだろうか。 あと、これは国際的な傾向でもあるのだが、元来、「子供が親近感を感じて聴く」という立場にあったロックが今や、どちらかというと「違いがわかる人のための音楽」にポジションが変わってしまい、子供にとっては直感的に近づきにくい音楽、また、ロックファンの側からしても、少しでもアイドルっぽい感じやポップな要素を感じると毛嫌いするような傾向も見られることもたしかだ。 ただ、そうなってしまったがゆえに、現在、“ポップ”が子供たちのあいだで強い支持を受ける音楽になりやすくなったのではないだろうか。キッズたちはキッズたちなりに、自分たちが素直に好きな音楽を享受し、それを共有する。そうした傾向は、2000年代の後半にYouTubeが話題になりはじめたときから見られていたことだが、今やそれは音楽配信サービスでのプレイリスト文化につながり、お気に入り曲を共有し合うことで拡大の一途を見せている最中だ。しかも、こうしたサービスは世界中のリスナーを対象にしたものでもあるので、その輪は今や万国共通のものとして 広がりつつある。こうした現象は、MTVが世界各国でネットされはじめた1980年代以来の現象ではないだろうか。 では、その“ポップ”のアーティストだが、数年前まではレディ・ガガやテイラー・スウィフト、ケイティ・ペリー、リアーナといった女性アーティストやジャスティン・ティンバーレイクやワン・ダイレクションといった男性アイドルの印象が強かった。 だが最近では、若い女の子たちが飛びついた、自作自演系の男性アーティストの方がむしろ女性ソロを凌ぎつつあるのが現状だ。エド・シーランしかり、ブルーノ・マーズしかり。他にもショーン・メンデスやチャーリー・プース、トロイ・シヴァンなど予備軍も少なくない。
Troye Sivan「YOUTH」
出典元:(YouTube:TroyeSivanVEVO) また、ジャスティン・ビーバーがEDMやヒップホップのフィーチャリング・シンガーとして引っ張りだこだったり、ワン・ダイレクションのハリー・スタイルズがロックに本格進出して好評を得るなど、脱皮が目立っている。
Harry Styles「Sign of the Times」
出典元:(YouTube:HarryStylesVEVO) また女性アーティストにしても、従来の「女の子への共感」を呼び込むタイプのものから、EDMのヒット曲の声の主として話題を呼んだ、クラブ対応がより柔軟に可能なタイプが人気を集めつつある。 また、ドレイクやザ・ウィークエンドなど、本来は批評家に人気のあるタイプのR&B/ヒップホップのアーティストたちが女性人気をきっかけにファン層を広げ、さらにストリーミング・サーヴィスの特性を活かして短期間のうちに大量リリースを行なうことでキッズ人気を高めている側面もある。少し前ならマニアックな印象も持たれていたアメリカ南部で流行りのヒップホップ・スタイル“トラップ”も、ドレイク、もしくは彼と共演したフューチャーらがその人気をキッズに広めている状況で、今では20歳に行くか行かないかのラッパーたちが台頭しつつもある状況だ。
Future「Mask Off」
出典元:(YouTube:FutureVEVO) こうした中、ロックが10代のハートをつかむ状況はなかなか見いだしにくくなっている。インディのロックとポップの架け橋になりそうなのはLordeやHAIMといった若い女の子たちが考えやすいが、バンドでそうした存在が今後現れるかも気になるところだ。
Lorde「Green Light」
出典元:(YouTube:LordeVEVO)
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