遥か刻で咲いていた
思ひ出を抱きしめては。
色褪せぬ、と切なくなって行く季節。
清か水に映りしは
枯れ尾花のうら寂し。
黒髪揺らす
時つ風が冷たくて。
幼(いときな)し頃、
無邪気なあなた。 雪仏の傍で。
片笑(ほほえ)む姿、思ひ出しては恋しくて。
はらり、と。
み雪の舞い散る度に思ひ出す、
名も知らぬ その顔。
嗚呼、私に残したこゝろの一枚(ひとひら)
あたたかく。
はらり、と。
み雪の舞い散る度に思ひ出す、
名も知らぬ その顔。
嗚呼、ぬくもり残して小さくなってく。
雪もよに消えてく。
白む景色 悴んだ心。 斑雪の如く。
藪柑子は赤く実る、風に揺れて泣く。
幾返り日々重ねて、重ねる度冴え凍る。
震える体を温める術はなく。
霞の奥でやにわに滲む袖口の淡色。
唐傘の下、洟啜り陰る泣き顔。
はらり、と。
み雪の舞い散る度に思ひ出す、
名も知らぬ その顔。
嗚呼、私に残したこゝろの一枚(ひとひら)
あたたかく。
はらり、と。
み雪の舞い散る度に思ひ出す、
名も知らぬ その顔。
嗚呼、ぬくもり残して小さくなってく。
雪もよに消えてく。
もう一度(ひとたび)、一度だけでいい。
名も知らぬけれど愛しあの人に、
会わせてくれまいか。
藪柑子は赤く実る、揺れるこゝろの一枚
花園 雪(CV:今井麻美)