振り放け見ては
嫋(たお)やぐ背中(せな)に
杜鵑花(とけんか)散る
心を挵(せせ)る様な
黙(しじま)に泣き沈んでいる
背き果つ際の儚さは
避らぬ別れに似た悲しび
往昔(おうじゃく)に視た様な恐れを
思い出さない様にしていた筈なのに
打ち明けた心の中に潜んだ宿命(さだめ)に
倖せを浮かべては恋路に降り積もる
胸痛し言葉
寂寞とした
この夜深し覚え浮かぶ
短し髪に仄紅い頬 か細き声
仇(あだ)を心に抱え生きるあなたを
傷つけることしか出来なかった
零るる愛を刃(やいば)に変えてしまう
この手をいっそ切り落としてしまいたい
愛忘れ 恋だけ 我か人かと身辿(たど)る
囁(つうや)く 慈悲心鳥(じひしんちょう)は
素知らぬ顔をして 雲海へと飛ぶ
孰(いず)れこうなると
どこかでは分かっていた
せめてもの愛情を遺して
別れ道へと歩き始める
このまま生きたとしても
倖せになれないだなんて言わないで
大丈夫だから
一つの人生ともう一つの人生が重なった
この季節に
恋忘れ草を