台ワンダフルVol.4:LTKコミューン(濁水渓公社)

台ワンダフルVol.4:LTKコミューン(濁水渓公社)

―台湾アンダーグラウンド・シーンの大物バンド 確かな音楽性 ポリシーは”ユーモアと反骨”! 日本ではあまり知られていないが、”LTKコミューン(Loh Tsui Kwei Commune)”は、台湾アンダーグラウンド・ミュージック・シーンで最も影響力のあるバンドと言われる。歴史も長く、結成は1989年。台北の国立台湾師範大学附属高級中学の学生たちが集まった。最初から、音楽のみならず、存在自体もパンクだったようで、反政府デモやイベントなどに積極的に参加しつつ、音楽活動を続ける。やがてライブ・パフォーマンスは演劇化し、反抗・懐疑・エログロ・アナーキズムの精神を、楽器のみならず、ビール瓶から消火器まで使って表現するそのステージが大きな評判を呼ぶ。永久出入り禁止処分をくらったライブハウスも多々あるほど過激だったらしい。 そんな話を聞くと、近寄りがたい危ない連中かと思ってしまうが、その音楽はむしろ人懐こく、親しみやすい。ただそのサウンドの幅は広く、ジャンルにとらわれない。パンク、ロック、フォーク、プログレ、デス・メタル、エレクトロニカと様々なジャンルを呑み込み、グルグルとかき混ぜて、自在に取り出す、そんな感じだ。その音楽性が確かなことは、‘06年、台湾のグラミー賞と言われる金曲獎でベスト・バンド賞にノミネートされたことで証明されている。さらには同年、”LTKコミューン”のトリビュート・アルバム『Say Stink to LTK Commune』がリリースされた。彼らが他のミュージシャンからいかにリスペクトされているかが伺える。 メンバーはボーカルの柯董(柯仁堅)、ベースの江大(江力平)、キーボードの蛋(蘇玠亘)、ギターの俊安(陳俊安)、そしてドラムの阿牛(黃迺懿)。これまでに7枚のオリジナル・アルバムを製作し、’10年には結成20周年を記念して、『20 Years Project:HITS(20年特別企畫:熱門勁歌)』をリリースしている。 下品、卑猥な言葉が頻発する歌詞も彼らの特徴だが、常にユーモアと反骨の精神を忘れず、本音でいいと思うことはいい!と叫ぶ。それが時には反権力的な発言となってもだ。そのあたり、社会は日本のようには平和ではないから、日本人には想像つかないシビアなこともあると思う。それでもその姿勢を25年貫いてきたのだから立派だ。 だけどそんな彼らをSUMMER SONICに送り出す費用は現政府が助成しているので、そのへんは台湾政府、懐が深いと言えよう。 ともかく、初めて日本で披露される”LTKコミューン”のステージ、絶対に見逃せない。 〈Text by 福岡智彦〉 【イベント情報】 台湾MUSIC×CULTURE TAIWANDERFUL(台ワンダフル) 8月15日(金)16:00〜 @恵比寿リキッドルーム https://www.facebook.com/events/713241275403603/

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