真の「おもてなし」をフジロックに学ぶ

真の「おもてなし」をフジロックに学ぶ
KKBOX編集室
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遂に今週、リオデジャネイロオリンピックが開催します!つまり2020年の東京オリンピックまであと4年に迫ったことになります。意外とあっという間に過ぎてしまう残り4年という月日。さまざまな問題があるなかで「本当のおもてなし」ができる都市に成長できるのでしょうか? そこで、今年で20回目を迎えた大型野外フェスのパイオニア「フジロックフェスティバル2016」に改めて注目してみたいと思います。「世界一ハッピーなフェス」「世界一クリーンなフェス」など訪れた外国人観光客やメディア、アーティストまでもが口を揃えるFRFには、何かしら訪れた人々の心をつかむ「おもてなし」があるはずです。
アーティストデザインによる入場ゲート
FRFの入場ゲートは毎年FRFによって選ばれたアーティストによってデザインされるため、訪れた人たちが必ず記念撮影をしてテンションを上げる名所となっています。同時に、そのせいで混雑してはいけないので、人数に合わせてゲート数を調整しています。20年目を迎えた今年からはリストにICチップが導入されたため、つかえることなくよりスムーズに感じました。
観客が一緒にフェスをつくるという感覚
▼「燃えるゴミ」「燃えないゴミ」「紙食器」「割箸」「ペットボトル」「キャップ」など9種に分別される。 何気にこのことが一番の成功の原因であり、おもてなしだと思うのですが、FRFではゲートをくぐるとすぐにゴミ袋が配布されます。「自分のゴミは持ち帰り、落ちているゴミは拾いましょう」の精神が、かなり浸透しており、初めて訪れる欧米・アジアからの外国人観光客は感嘆の声を漏らしています。このクリーンな意識が、一人ひとりのフェスへの参加感につながっています。
地元のお母さんたちがつくった手料理
FRFで常に大行列になるのが『苗場食堂』。地元のお母さんたちがつくった郷土料理「きりざい飯」や「とろろ飯」は絶品。「八海山」や「鶴齢」などの地酒も揃う。このお祭り騒ぎのなかで“ホッ”とできる空間が、FRFに奥行きと懐の深さを与えているように思います。
キッズ・ホスピタリティが充実しすぎ
20年前若者だったファンが大人になり、子どもを連れて訪れる。「そんな山奥で子ども連れて大丈夫?」という声が聞こえてきそうですが、FRFでは、かなりの数のベビーカーを見かけます。それでいてあまり混乱した様子もありません。会場内に設置された「キッズランド」には、釘を一切使用せずにつくられた一軒家型の滑り台やシーソー、メリーゴーランドまであります。子どもが気に入って、結局一日ここで過ごしてしまい「東京から来て何しに来たんだか」と笑いながら答えてくれたお母さんも。オムツを替えられる優先トイレや授乳室も備わっているので安心。
各所にある一見無駄な心遣い
会場内にはいたるところに遊び心あふれた装飾が見られます。岩や木々に目をつけてまるでジブリの世界を演出したり、アーティストがつくったサイケデリックなバルーンライトが森の夜道を照らします。FRFスタッフに話しを聞くと、「これらは一見無駄なのですが、この遊びの部分をいかにたくさんつくるかが、このフェスでしか体験できないことにつながるんです。また行きたいな、と思わせてくれるのは遊びの部分にあるじゃないかと」と答えてくれました。確かに、これらの“遊び”が自然との一体感を醸成しているように思えます。
世界トップアーティストから注目の新人、往年のレジェンドまで
最後に、FRFが第一回(1997年)から続けている充実したラインナップに触れておきます。ヘッドライナーには、超人気のバンドやアーティストが揃い、グリーンステージ以外でもレゲエやジャズのレジェンドが楽しそうに演奏しています。また、世界中のこれからブレイクするアーティストも集結し、訪れる人に新しい音楽との出会いを提供してくれます。 これらは、FRFが20年かけて培ってきたホスピタリティの一部。もちろん、毎年何らかの「失敗」もあるはずですが、それらを糧にして改善を続けてきたからこそ、一日4万人もの人が大自然の中で音楽と戯れる場所をつくり得たのだと思います。 東京オリンピックは、1日92万もの人が訪れると言われています。彼らを迎え入れるための準備は大切なことですが、「どう一緒にオリンピックをつくれるのか」という視点を持つことが「本当のおもてなし」への第一歩なのかもしれません。
アフタームービー
出典元:(YouTube:smashjpn) 詳しくはFRF'16オフィシャルサイトへ http://www.fujirockfestival.com
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