ゆらゆら 揺れている
私という、なにか
「身体」(かたち)を旅立った心の、
一欠片
聳える塔の下
広がる骸の庭で
透明な花を育てながら
仰ぎ見る
あなたの世界
「時」が流れ「色」が灯る世界
交わらぬ視線に
何故か、心が騒ぐ
透明な想いの種を
理由も持たぬまま 育てては
花束にして あなたに贈る
見られることも 叶わないのに
ー
懐かしい……ような、夢
少年が「Horologistになりたい」と
傍らの少女に語る……夢?
私の世界
「時」が止まり「色」は褪せた世界
閉じこもるあなたに
何故か、心が痛む
透明な想いの粒を
理由も持たぬまま 集めては
雨音にして あなたに贈る
聴かれることも 叶わないのに
ー
何故、留まるの?
過去も今も、分からぬまま
何故、知りたいの?
私は誰?あなたは、誰なの?
ー
交われない
私の声、触れた指は
そっとすり抜けて
零れた涙も拭えないよ……
ー
凍てついたガラスの中で
時を忘れて、彼女は眠る
彼は 泣いているように笑って
鈍く輝くメスを手にした
ー
冷たい氷を溶かすように
彼が 最後の歯車を繰り
鮮やかな赤に呼び覚まされ
なくしたはずの声で、叫ぶ
ー
透明な私の腕が
崩れるあなたを抱きしめれば
声をあげて泣く私の背を
慰めるような手が 撫でていた
透明な手で握り返せば
零れた愛が、頬を濡らした