「旅と音楽:トロント」〜都会と湖、旅好きが薦めるカナダ最大の都市

「旅と音楽:トロント」〜都会と湖、旅好きが薦めるカナダ最大の都市
栗本斉
栗本斉
ナイアガラの滝へと続く美しい湖、オンタリオ湖。そのほとりにそびえ立つ摩天楼が、カナダ最大の都市トロントです。以前は世界一の高さを誇ったユニークなフォルムのCNタワーをランドマークに、多くの有名なデザイナーが関わった高層ビル群や、美術館、スタジアムなど、建築を眺めているだけでも楽しめます。都会といっても公園も多く、ストレスの少ない居心地のいい都会だといえるでしょう。 もちろん、文化的にも充実していて数々の芸術家が生まれ育っています。この街では、カナダ出身のアーティストが成功するきっかけをたくさん作ってきました。音楽家も多数いますが、ロック史に残るグループを挙げるとなると、なんといってもザ・バンドでしょう。ボブ・ディランとの共演でも知られている彼らがトロントの音楽シーンを活性化したことは間違いなく、その影響はカナダ国内だけでなく世界中に広がっていきました。同時代にはシンガー・ソングライターのジョニ・ミッチェルもトロントを拠点にしており、彼らによってカナダという国を身近に感じているという音楽ファンも多いはずです。 80年代、90年代と次代を重ねるごとに、トロント及びその近郊の町では、多くのスーパースターを生み出してきました。ブライアン・アダムス、アラニス・モリセット、シャナイア・トゥエイン、ダニアル・パウターなどがその代表例。米国がすぐ隣ということもあって、世界進出への糸口が見つけやすいというのも有利なところです。最近ではなんといってもザ・ウィークエンドの活躍ぶりが目立ちます。エチオピア移民の2世という一風変わったプロフィールも、移民の多い街ならでは。メンフィスにルーツを持つドレイクや、日本人の父を持つハーフのジャスティン・ノヅカなど、国籍や人種を超えたユニークなミュージシャンが続々と誕生しているのもトロントの底力なのです。
The Band「Stage Fright」
出典元:(YouTube:watanokni Ono) ▼カナダというよりは、アメリカン・ロックを代表するバンド。ボブ・ディランのサポートを行って注目を浴びた後、名盤『ミュージック・フロム・ビッグ・ピンク』で1968年にデビュー。カントリー、フォーク、リズム&ブルースなどを取り入れた音楽性は今なお熱心なファンが絶えず、多くのミュージシャンに影響を与え続けています。解散コンサートを撮った映画『ラスト・ワルツ』はロック映画の最高傑作という評価も。
Joni Mitchell「The Circle Game」
出典元:(YouTube:Victor Hageman) ▼女性シンガー・ソングライターの代名詞といえば、なんといってもジョニ・ミッチェル。彼女もまた、トロントでブレイクするきっかけをつかんだアーティストのひとりです。オープン・チューニングを駆使した独得のコードワークや、変幻自在の声色を武器に多数の名曲を生み出してきました。この「サークル・ゲーム」は、1970年の映画『いちご白書』の主題歌としてバフィ・セント=メリーが歌って大ヒットしたことで知られています。
The Weeknd「Wicked Games」
出典元:(YouTube:TheWeekndVEVO) ▼大都会トロントならではの、今もっとも旬なアーティストがザ・ウィークエンドでしょう。インターネット上で発表した音源が瞬く間に話題になり、2012年にメジャー・デビューして世界的に大ブレイク。R&Bをベースにしながらも、エレクトロ、アンビエント、ダブステップなどを取り入れた斬新な音楽性と、深みを感じさせる歌声が魅力です。ダフト・パンクなどとの共演も話題ですが、このような初期の繊細な曲こそ彼の本領といえるでしょう。
栗本斉
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