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15 songs
===00年代以降のアメリカのロックシーンの方向性を決定づけた===
2000年にデビューアルバム『ハイブリッド・セオリー』をリリースし、一躍ブレイクを果たしたリンキン・パーク。彼らの功績はどういうところにあったのか。数々のポイントが挙げられるが、その一つは00年代以降のアメリカのロックシーンの方向性を決定づけたことにある。
彼らの登場は、ハードロックとヒップホップを融合した90年代以降のミクスチャー・サウンドのスタイルに新たな道筋を作った。もともとはバンド名だったというデビュー作のタイトルが象徴的だ。90年代のグランジやオルタナティヴ・ロックとヒップホップの両方のルーツを持つ彼ら。ブレイクビーツとヘヴィなバンドサウンド、メロディアスな歌とラップが同居するそのスタイルは、1stシングル「One Step Closer」ですでに完成を見ている。
===エモーショナルなメロディと歌声===
レイジ・アゲインスト・ザ・マシーン、KoЯn、リンプ・ビズキット、インキュバスなど「ニュー・メタル」とカテゴライズされ共にシーンを形成したバンドたちに比べても、彼らの魅力は重心の低いゆったりしたグルーヴ、そしてエモーショナルなメロディと歌声にあった。それは他のバンドたちとは違う00年代の「エモ」に繋がっていく彼ら独自の要素だったとも言える。グラミー賞の最優秀ハード・ロック・パフォーマンス部門を受賞した2ndシングル「Crawling」にもそういった音楽性が伺える。
===リアルな苦悩の吐露が不満や孤独を抱える若者たちの心を捉えた===
また、初期の彼らの歌詞のテーマの多くは、内奥に抱える苦悩や怒り。それが日常に不満や孤独を抱える若者たちの心を捉えた。その根源にあったのがチェスターが少年時代に受けた性的虐待にあったことが後に明かされている。両親の離婚も体験した彼は、10代から薬物依存とうつ病に長く悩まされていた。たとえば「ずっと続くこの痛みから逃れたい」と歌った「Somewhere I Belong」は、彼にとってリアルな心情の吐露だったはずだ。
===ヒップホップの王者とのコラボレーション===
そして、成功を手にした後も、リンキン・パークは自らの音楽性を常に更新し、挑戦を止めなかった。その象徴が2006年に発表したJay Z とのコラボプロジェクト『Collision Course』。双方の楽曲をマッシュアップした6曲を含んだコラボEPで、そこからのリードシングル「Numb/Encore」は、グラミー賞の最優秀ラップ/ソング・コラボレーション部門も受賞している。この曲が無かったら、00年代のロックとヒップホップはもっと遠い関係になっていたはずだ。
===EDMからトロピカル・ハウス以降のポップへ===
2010年代に入っても、スティーヴ・アオキとのコラボでEDMテイストを取り入れた「A Light That Never Comes」など新たな音楽性に挑んできたリンキン・パーク。2017年にリリースされた最新アルバム『One More Light』でも大きく方向性を変えている。リード・シングル「Heavy」は、アメリカの女性シンガーソングライターの新星、カイラをフィーチャリングに迎えた一曲。自身初めての女性アーティストとのコラボシングル曲となったこの曲は、サウンドもトレードマークだったヘヴィなギターではなくトロピカル・ハウス以降のポップなシンセ・サウンドを取り入れている。一方で「どうして全てのことがこんなにも重いのか」と歌う歌詞には、やはりチェスターの拭えない苦悩が滲んでいる。
===00年代のアメリカの苦悩を潜り抜けたユースたちの心の支えになっていた===
8月6日には、ロサンゼルスのグラント・パークでチェスター・ベニントンの追悼集会が開かれ、多くのファンが集まり代表曲の数々が合唱された。参加者たちがSNSにポストした映像からは、その楽曲がどんな風に愛されていたかが痛いほど伝わってくる。単に巨大なセールスを果たし人気を得ただけではない。消せない刻印のような痛みを抱えながら常に自らのサウンドを革新してきたリンキン・パークの楽曲は、00年代のアメリカの苦悩を潜り抜けたユースたちの心の支えになっていたのだ。
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2017-08-10
KKBOX 洋楽担当