大森元貴(Mrs. GREEN APPLE)にとっての「至福なオフ」ー休みの日になに聴いてる?

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矢島由佳子

ミュージシャンの「オン」と「オフ」を覗く、連載『至福なオフ』。「オン」のモードで作り上げた作品についてはもちろん、休みの日に聴いている音楽や私服のこだわりなど、「オフ」のことも伺います。第1回目のゲストは、4月18日に3rdアルバム『ENSEMBLE』をリリースし、台湾デビューも決定した、多彩な音楽を奏でる才能と感性を持つ5人組バンド・Mrs. GREEN APPLEのボーカリスト、大森元貴さんです。

オフの日、なにしてる?

—最近オフってありました?

大森:ここ最近はとれてないですね(笑)。基本的にライブ活動とかと並行して曲の制作をしているので。でも、「オフ」って自分で決めたときは「オフ」です。

—オフと決めた日に、自分で「贅沢な時間の過ごし方してるなあ」と感じられる瞬間は?

大森:起きる時間を決めない日は「贅沢してるなあ」って思いますね。基本的にお家にいることが好きで、録りためたドラマとか映画を見たりしています。最近は大河ドラマ『西郷どん』にハマってますね。でも、ずっとお家にいると、だんだん罪悪感が湧いてくるので、お散歩に行ったりして。そういう時間も「贅沢だなあ」って思います。

—大森さんにとってのストレス発散方法は?

大森:あえて、あまり得意じゃないお友達とご飯に行きます。たとえば、地元の中学の友達で、当時は特別仲良くなかった子とか。こういうお仕事って、すごく偏った生活になってしまって、プライベートな瞬間は自分から触りにいかないとないような環境なので、そういう時間を作るようにしている感じです。今21歳なんですけど、同い年の大学4年生たちは今就活をしているんですよね。そういう子たちの話を聞いてると、フラットな感覚を取り戻せるから癒しにもなるんです。

どういうファッションが好き?

—今日は私服で取材に来ていただきました。普段、どんなファッションが好きですか?

大森:基本的に黒系ファッションかな。普段あまりスニーカーは履かないんですけど、今日はNIKEのスニーカーで色を持たせました。上の服はヒューゴです。オフのときは大体暗めの服で、靴とか靴下の足元だけ色を持たせたりすることが多いですね。

—どこで買い物することが多いですか?

大森:原宿ですね。それこそオフの日は、よくメンバーみんなで原宿に行って買い物とかしますよ。

オフの日に聴きたい10曲

—今回は「オフの日に聴いている曲」をテーマに、大森さんに10曲選んでいただきました。

大森:実は僕、休日はあまり自分から音楽を聴きにいくことがなくて。そんななかでも、今回選んだ10曲は、僕にとって聴き疲れしない音楽、癒される音楽です。たとえばTHE BEATLESの「In My Life」は、THE BEATLESの数ある曲のなかで一番好きなんですけど、聴いててすごくリラックスできるし、ホッとするし、いい意味で力が抜けるんですよね。

Aqua Timezさんは、僕にとってルーツですし、バンドなのにポピュラーミュージックで、本当に幅広い人が曲を知っているという意味でも、めちゃくちゃ理想的な存在で。「決意の朝に」は、Aメロとかラップだし、あまり当時のJ-POPにないような感じで新しいんだけど、メロディーも歌詞もものすごくシンプルで、キャッチーで、本当に素敵な曲だと思います。このあいだ対バンさせてもらったとき、この曲を生で聴けて、僕、初めて人のライブを観て「はあっ」って胸に手をあてちゃったんですよ(笑)。それくらい、僕にとって思い入れのある曲です。

Charlie Puthは「See You Again」という曲で世界的に有名になったんですけど、僕はアルバムのなかの「Some Type Of Love」が一番好きで。ゴスペルっぽいんだけど、デジタル音楽で、でも生ピアノで、という歪な感じがいいんですよね。洋楽だけど、日本人が聴いても馴染みやすい構成だと思います。僕らが今回のアルバムで目指そうとしたアカデミックさみたいなものをCharlie Puthから感じていたので、最近よく聴いてました。ゴスペル的な意味でいうと、「They are」は、Charlie PuthやSam Smithとかから取り入れたものがあると思います。日本でゴスペルをロックバンドでやってるのってあまりないなと思って、やったら面白いんじゃないかと思ったんです。

最新アルバム『ENSEMBLE』について

—最新アルバム『ENSEMBLE』は、これまで以上に作曲・編曲・構成が「歪なんだけどキャッチー」で、すごく驚きの多い作品だと感じました。大森さんが「音楽的なアルバムを作りたいと思った」とコメントされていますが、「音楽的」というのは、具体的にどういったものを目指したのでしょう?

大森:今回は、クリエイター(全曲の作詞・作曲・編曲を手がける大森)からプレイヤーへの「挑戦状」みたいなことをすごく意識したんです。クリエイターとして曲を作ることに関しては、バンドを組む前からずっとやっていたことなので自信を持っているんですけど、バンドの演奏力は、僕らにとってコンプレックスだったりもして。そういう弱点を改善したいという意味で、「音楽的」というキーワードを掲げました。ドラムの山中はドラムの歴史から勉強し直したり、メンバー全員、今までとは違う感じで取り組んで作れたと思っています。

—クリエイターとしての大森さんって、いろんな楽曲を分析的に聴いた上で、自分の曲を構築的に作っていくタイプですか? それとも、感覚的に作ってますか?

大森:感覚だと思います。結成当時は、メンバーのなかで一番僕が音楽に詳しくなかったし、洋楽を聴き始めたのはここ2、3年だったりして。小学校6年生の頃から曲作りをしていたので、他の音楽を聴いて取り入れることよりも、自分でアウトプットするほうを先にやってたんですよね。自分で曲を作るんだったら、いろんな曲を聴いたほうがいいのかなと思って聴き始めたくらいなので(笑)。「Speaking」(1stシングル)は、今思えば、シンセサウンドとかドラムが4つ打ちなんだけどデジタルな音であることなどから、「海外のEDM要素を取り入れた、日本のロックだな」ってわかるんですけど、当時はそんなこと全くわからずに作ってました。

—歌詞においては、曲それぞれ込められているメッセージが違うとは思うのですが、Mrs. GREEN APPLEのポップミュージックとしてなにを歌いたいか、一番根本にあるのはなんだと思いますか?

大森:「人懐っこさ」なのかなと思います。ポップアレンジであっても、寂しさのことを歌ってるのは全曲に共通してる。「死生観」や「諸行無常」が強く出ているなと、自分で書いていて思いますね。でも、それが「人懐っこさ」に繋がっているのかなと、最近思うようになりました。

今、世の中がすごく冷淡になってきていると思うんです。一つひとつのニュースに驚かなくなったり、人とコミュニケーションすることに重きを置かなくなったり。自分たちの世代もそうだし、下の子たちはもっとそうなんだなって思ったりもします。僕は中学時代から、そういうのを見てすごく寂しい想いをしていたし、それに対する危機感が、ずっと根本にあるんだと思います。

—中学時代、哲学の本をよく読んでいたそうですね。哲学で議論される「人生観」「死生観」みたいなことは、ミセスの歌詞に滲み出ている部分だなと思います。

大森:そう、中学生の頃、わかりやすい哲学の本を買って読んでましたね。小学校の頃から道徳の授業がすごく好きで、高校も専科で倫理とっていたり。「あなたはどう動きますか?」みたいな、絶対的な答えはなくて、それぞれの正解がある感じがすごく面白くて。正解がないなかで、「僕はこう思うんだ」と話し合っていくことが、今の世の中で大事なんじゃないかなって思うんです。

インタビュー・テキスト:矢島由佳子/写真:にしゆきみ

Mrs. GREEN APPLEプロフィール

2013年4月に結成した5人組バンド。Vo./Gt.大森元貴(結成当時16歳)が作詞・作曲・編曲まで楽曲にまつわる全てを担当。2015年7月にEMI Recordsからミニアルバム『Variety』で満を持してメジャーデビュー。2018年4月18日、3rdアルバム『ENSEMBLE』をリリースし、アルバムリリース後は全国ホールツアーを開催。ファイナルは9月8日、9日幕張メッセ国際展示場2days。圧倒的な成長スピードで進化を続ける新世代バンド。


矢島由佳子

編集者・ライター。主に音楽・エンタメ関係に携わる。大学卒業後、大手芸能事務所にてアーティストマネージャーを務める。現在、カルチャーサイト「CINRA.NET」編集部に所属しながら、フリーランスとしても活動中。 https://twitter.com/yukako210

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