音楽の再現魔術師「NIYARI計画」を徹底研究

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KKBOX編集室

みなさんは「NIYARI計画」という音楽レーベルをご存知ですか?リリースされるタイトルの多くは、テレビ主題歌やテレビCM曲、話題曲のカバー曲が中心で、ジャケットもなんとなくユーモラスであり、時に怪しいなーという雰囲気があります。当初KKBOX編集室スタッフも「プレイリストで選曲するとヤバイよなー」という空気がありました。ところがある時この考えが大きく変わり、そのクオリティの高さにすっかり「NIYARI計画」ファンとなってしまったのです。今回はそんな音の魔術師ともいえる音楽レーベル「NIYARI計画」をご紹介します。


NIYARI計画がなければ出来なかったプレイリスト

それは2016年12月。年末だから面白いプレイリストを作りたいなーと思って編成したのが『ベストヒットUSA 8時間48分スペシャル』。80年代の洋楽ヒット曲を130曲以上集めたプレイリストです。時間をかけて編成した大作プレイリストですが、何かが足りないのです。小林克也さんが登場するオープニングのテーマ曲が見つからないという事態に・・。途方に暮れているなかで辿り着いのが「NIYARI計画」から配信されている『ベストヒットUSAのテーマ ORIGINAL COVER』でした。その曲を聴いてみると・・。


“これだよ、探していたのは!小林克也さんが、そこにいるじゃん!

と感涙してしまいました。その時からプレイリスト選曲で苦しいときの「NIYARI計画」が始まります。


NIYARI計画に会社訪問

それ以来、KKBOXプレイリストでもかなりお世話になっている「NIYARI計画」。さて、楽曲制作している中の人ってどんな人なんだろう?ということを知りたくて、今回「NIYARI計画」にお邪魔してきました。それまでは、なんとなく「小さいワンルームで音楽オタクの男性が制作している!」というイメージでしたが訪ねてみるとビックリ。めちゃくちゃお洒落なビルに、スタイリッシュなオフィスのエントランスではありませんか!

英語名の会社ばかりが入居するビル。

「NIYARI計画」は株式会社コンテンツが運営する音楽レーベルで、そのほかにも、たった4時間のお休みでどんな旅をするのかを提案する「半休トラベラー」など面白そうなことを手掛けている会社です。

ゴミひとつ落ちていないスタイリッシュなエントランス

お話をしてくれたのはシンクウェアBU Webディレクターの木村朱里さん。ガラケー全盛時代に「着メロ」の制作に携わりながら音楽レーベルを立ち上げたいという思いが強くなり、2012年に「NIYARI計画」を立ち上げました。

木村:最初はインストのカバー曲を誰が買うの?需要なんてあるの?と会社もすごく懐疑的だったんです。もちろんオリジナル曲には勝てないですが、意外とオフ・ボーカルのインスト曲がリリースされていなかったりするんです。その当時はオルゴールとか、着メロサウンドとか単音のカバーが主流でした。もう少しクオリティの高いものを再現できなかなぁと思って「NIYARI計画」を立ち上げました。そうしたらちゃんと買ってくれる方々がいたんです!

NIYARI 計画の仕掛人の木村朱里さん

KKBOX:現在のタイトル数はどれくらいあるんですか?

木村:45秒尺を合わせると1000ぐらいですかねー。最近アルバムも出しているので。あ、アルバムと言っても作品を集めているだけですけど(笑)。今後は私が足を踏み入れていなかったジャンルの格闘技系とかスポーツ系とか増やしていきたいと思っています。

KKBOX:高須クリニックとか、ヤマダ電気のCM曲とか「やられたなー」と思いました。これ、ダマテンでやっているんですか?

木村:とんでもない! 高須クリニックのCMは「Beautiful Smile」というオリジナル曲があるんです。私たちはオリジナル曲をちゃんと調べたり、JASRACで確認したりして制作しているんですよ。だから結構時間がかかりますね。

「ヤマダ電気」も「積水ハウス」、「大人の休日倶楽部」などのCM曲もすべてそうです。CM曲って皆さん耳にするけど、オリジナル曲まではフラグが立たないんですよね。だから私たちがオリジナル作品をリスペクトしながら、わかりやすくリスナーの皆さんに紹介していければと思っています。

KKBOX:そうだったんですね。大変失礼しました!

木村:オリジナル作品に対してはリスペクトしているので、オリジナルのCDがリリースされる前に「NIYARI計画」からリリースすることもないですね。


NIYARI計画の作品クオリティに迫る

KKBOX:ところで「NIYARI計画」はどれくらいのスタッフがいるんですか?

木村:社内はいまでもわたし一人です(笑)。「NIYARI計画」を面白がってもらっている外部のクリエイターさんとの共同作業になります。私が楽曲制作にこだわり過ぎているので、それを理解してくれるクリエイターさんに本当に助けられています。

KKBOX:木村さんはプロデュサーという立ち位置なんですね。こだわりはなんですか?

木村:「味付け」ですかね。オリジナルのボーカルの代わりにどんな音色にしていくかを真剣にクリエイターとディスカッションしています。スーパーで流れているような音色に絶対したくないので。

黙々とクリエイターから届いた作品を確認する木村さん

KKBOX:なるほどー。最近もKKBOXで総合テレビの番組テーマ曲を集めた『珠玉の総合テレビ・テーマソングブック』というプレイリスト選曲したんです。「ドキュメント72時間」テーマ曲の『川べりの家』(松崎ナオ)や、「ファミリーヒストリー」テーマ曲の『Remember me』(くるり)など良い感じで選曲できるのですが、「西郷どん」のオリジナルテーマ曲が残念ながら配信されていなかったのです。そうなれば頼りは「NIYARI計画」。オリジナルに匹敵するクオリティの「西郷どん メインテーマ ORIGINAL COVER」がちゃんと配信されていたので選曲させてもらいました!

木村:すごい、有名なオリジナル曲と一緒にプレイリストになってる(笑)

KKBOX:あと長寿番組の「小さな旅」。これなんてもう、完全に放送クオリティですよね。

木村:ありがとうございます(笑)。「小さな旅」の雰囲気と音色を再現するのって本当に苦試行錯誤で苦労しました。本当に家に帰れるのかなというぐらい時間がかかりましたねー。総合テレビのテーマ曲はクオリティが高くて再現が本当に難しいんですね。「美味しい料理を食べて、同じように作ってください」というのと一緒なんです。NIYARI計画の作品を聴いて、オリジナルとは少し違うけどそれでも満足感を持ってもらえれば幸せです。

KKBOX:「NIYARI計画」のネーミングって、そんな「ニヤリ」とできる意味だったんですね。

木村:それもあるんですが、英語の「nearly 」とダブル・ミーニングなんです。カバーという言葉も、コピーとういう言葉もしっくりこなかったのですが、この「NIYARI」という言葉が生まれた時は「これだ!」ってピンときました。


NIYARIファンを増やしていきたい

KKBOX:もう「NIYARI頼り」を超えて、僕自身「NIYARI計画」のファンになってしまいました。

木村:番組テーマ曲ってテレビでは聴くけど、CDショップに行ってまでは・・という人が多いんです。そんなリスナーの方が「NIYARI計画」にあるかな?という感じで、NIYARIファンが多くなっている気がします。最近リリースしたテレビ朝日「人生の楽園」のテーマソングも、ダウンロードチャートの上位にランキングされました。ニーズはあるけど、みなさん探しきれていないのかなと。そんなリクエストに役立ちたいですね。


KKBOX:これまでの一番の自信作ってあります?

木村:私自身が制作しているわけではないので、クリエイターさんから届けられる楽曲を聴くと私自身が嬉しくてしょうがないんです。一番というのは難しいですけど、思い出深いのはリリースした時には反応がなかったけどあとから支持される時は嬉しいですね。今後はこれまで出した作品をもう少しマッシュアップして精度を高めたり、エッセンスを変えたりした作品を出していきたいと思っています。

KKBOX:これからも楽しみですね。

木村:販売をお願いしているディストリビューターさんが「最近、NIYARI計画作品の採用率が高くなってきているので、結構大丈夫ですよ」と言ってくれるですが、何が大丈夫なのかわからなかったんです(笑)。あまりストアの方からお話しを聞く機会がなかったので、今日は私も刺激になり嬉しかったです。

KKBOX:今日はありがとうございました。

支持されるカバー曲制作の裏には、木村さんのオリジナル作品に対するリスペクト、そしてクリエイターの皆さんとの妥協を許さない作品づくりがありました。これからもニヤリとできる作品を楽しみにしています。みなさんも、「NIYARI計画」の作品を聴いてニヤリとしてみませんか。

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