中村千尋の『スカートの中』を覗いてみた

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KKBOX編集室

WEB CM動画「カサネテク」が1,000万回再生を突破し、世間の話題をさらった中村千尋。絶妙なオンナ心を表現した作品は、他の女性シンガーソングライターから、ひと際抜きん出た存在ではないでしょうか。そんな中村千尋の待望の2nd Full Album『スカートの中』がリリース。ドキリとさせられるこのタイトルが付いたアルバムに、どんなオンナ心が潜んでいるのか気になってお話をお伺いしました。


まずは中村千尋をおさらい

熊本県出身の中村千尋は、父親の影響で13歳の頃から作詞・作曲活動を始めました。高校卒業後に上京し音楽学校に入学。2010年にシンガーソングライターが集う音楽ユニットPlay You.House(現在のGoose house)の第2期メンバーとして加入。この頃からキュートなビジュアルと歌声が注目される存在でした。

出典元:YouTube(Goose house)

その後、2013年にソロ活動を開始。「ノーブラサンデー」「潮時チェッカー」「あたしにおっぱいがあったなら」などユニークな視点を持ちながらも、アコースティックギターの心弾むような麗らかで癒しを感じる特徴的なメロディとリズムの作品が話題を呼びます。

出典元:YouTube(中村千尋)

そして中村千尋の存在を世に知らしめたのが雪印メグミルク「重ねドルチェ」のWeb CMソング「カサネテク」。女性目線の“合コンあるある”を綴ったユニークな歌詞が共感を呼び、大きな話題となりました。

出典元:YouTube(雪印メグミルク公式チャンネル)

そんな中村千尋さんですが、趣味が競馬で好きな馬はオルフェーヴル。休日はよく東京競馬場に行っているのだとか。最近はレース予想をする企画も増えています。またお酒もお好きなようで、時々「酔ってる?」という内容のTwitterも見かけます。



男性視点でドキリとさせられた『スカートの中』

『スカートの中』は、女性が持つ可愛らしさと内面に潜む赤裸々な部分がブレンドされた11通りの身近な世界が、バラエティ豊かに広がっています。共感する女性が多いのだろうなと思う反面、男性はドキリとさせられたり、苦笑いしたり、反省したりとアルバムの様々なシチュエーションが自分に投影させられます。そんな『スカートの中』を少し覗かせてもらいます。

♬新しいキスをして

KKBOX:タイトルにドキっとしました。距離が近くなるとキスだけでなく、いろんな事をおざなりにしているのかなぁと。

中村:結構女性の気持ちって面倒くさいものだったりします。浮気心を歌った曲で綺麗な目線のものはたくさんありますが、あまり美化しないで汚い部分も描こうと思いました。 この作品では、自分にも浮気心が芽生えているくせに「新しいキスをしてくれないから、私も浮気心が芽生えるんだよ」という理由をつけて、自分の浮気心を男性のせいにする我儘な女性の心を書いています。

KKBOX:そこまでは読みきれませんでした(笑)。それではこの主人公の女性も気持ちは冷めているのですか?

中村:いや、長く付き合ってきた彼のことが好きなので別れたくはないんです。でも他に気になる人がいて、その人に接近すると好きになってしまうから避けていたのに、車の助手席に乗ってしまって「やっぱり好きかも」と葛藤する歌なんです。

KKBOX:面倒ですね(笑)。

中村:面倒くさい女なんです(笑)。


♬下心スケルトン

KKBOX:サビ部分の「スケスケスケルトン♬」というサビを聴いた時、吹き出してしまいました。もう、ごめんなさいという感じです。下心見え見えというのは、やっぱりダメなんでしょうか?

中村:好きだからの下心が見えるのは良いと思いますが、ワンナイト狙っている感じの下心は嫌だなと思います。

KKBOX:映画の話で盛り上がり「もう1回見たいなー。あ、今度うちで観ない?」的なやつは、下心というか駆け引きだと思うのですが、中村さんはその駆け引きに乗っかる方ですか?

中村:女の子を褒めて、最後に「猫、見に来る?」とか言う人は、それまでも同じようなことをしてきているはずなので腹立たしいですね。そういう男性にはついていっちゃダメだよ、と思うし姑息な男の人には乗っからないでねという願いを込めています。

KKBOX:その通りですね、反省します。「吾輩は猫である」では、猫目線でその男性を描いていますね。

中村:そうです。「下心スケルトン」に出てくる男のその後という感じですね。

KKBOX:この男はどうしようもないですね。うちは猫を飼えないので、ハムスターにしたら弱いでしょうか?

中村:いけると思います(笑)。女の子って、男の人の部屋に行く時に理由付けが必要なんです。「映画を観に来ない?」と言われたから、「ハムスター見に来ない?」と誘われたからという何か起きた時の理由付けが必要なんだと思います。


♬「来ちゃった♡」

中村:この曲では男女の不穏感を出してみたかったんです。

KKBOX:突然部屋に来ちゃった彼女に彼氏が狼狽するシーンとか不穏な空気でヒリヒリしますね。彼女が来たのにチェーンをかけたまま待たせる描写は、一番ぞっとする日常のワンシーンです。中村さんご自身はどこに不穏感を出してみようと思ったのですか?

中村:「臆病な私が笑って 面倒なあなたが笑い返す」というDメロのところですかね。お互いの気持ちがすれ違っていることに気づいているのに、女の子の方は少しでも何か言ったら別れることになるという流れが怖いし、男の人は喧嘩するのが面倒くさいからこのままダラダラつきあってしまうという。エモーショナルな面での掴みどころのない不穏感です。

KKBOX:曲を聴いたあとに改めてタイトルを読むと、「来ちゃった♡」の♡が怖いです。

中村:ですよね。良かれと思った絵文字が相手にとっては不穏なものになることありますよね。彼女が突然来て喜ぶ人もいると思いますが、やっぱり事前に連絡してから行くほうがいいと思います。


♬悲しみは記念になる

出典元:YouTube(中村千尋)

KKBOX:この曲は恋愛の話ですが、家族や友達など大切な人との別れを乗り超えるヒントにもなりそうです。

中村:そうやって聴いてもらえると嬉しいです。

KKBOX:一言一言をとことん突き詰めて作ったそうですね。

中村:片岡大志さんとの共作なのですが、「このメロディには、この言葉しかハマらない」ということを探していく作り方なので、すごく時間がかかるんです。でもその分だけ歌が全部聴こえてくるような詞が書けて、すごく良い曲ができたなと思います。


♬インスタントラブ

KKBOX:自分の人生をもう一度振り返りたくなるような曲です。どんなきっかけで生まれたんですか?

中村:私のネタ帳に「お手軽な恋愛は油断していたら火傷する」みたいなことと一緒に「カップラーメンラブ」と書いていたんです。共作してもらったヤマモトショウさんが、それを見ていいねと言ってくれて。どうせなら3分間ちょうどの歌にしようと盛り上がりました。

KKBOX:カップラーメンは食べたい時に部屋になかったら、深夜でもコンビニに行って買いたくなるし、コンビニではいろいろ目移りするのだけど、やっぱりいつも食べ慣れた「シーフード味」を買ってしまうというか、やっぱり「シーフード味が好きだな」ということを再確認するんです。そういう意味で「インスタントラブ」は倦怠期を迎えた恋人や夫婦に本気で聴いてもらいたいですね。

中村:そこまで力説してくれてありがとうございます(笑)。「やっぱり安心するでしょ?結局はこの味が」と詞にもありますが、いろいろ目移りしても戻ってきてくれるといいなと思います。

KKBOX:この曲は深いです。


増殖する中村千尋のオンナの世界

最近、中村千尋は道重さゆみやミニーズ。? などアイドル系のアーティストに楽曲提供する機会が増えています。彼女だからこそのオンナ心が、違う演者によって表現されることで、改めて中村千尋の幅広い世界を感じることができます。

KKBOX:道重さゆみさんに提供した「キテレツかわいい」「ハイカラモダンガール」では初めて原宿や銀座に来た女の子のワクワクする様子と戸惑いがテーマになっています。『スカートの中』の「代官山みんなオシャレ」に通じるものがありますが、これは中村さんの実体験ですか?


 
中村:そうです。私が初めて原宿や銀座行った時の様子ですね。でも、折角なのでいつもとは違う可愛い言葉やセリフをたくさん入れてみました。自分の曲だったら歌えないような作品ができたので面白かったですね。

KKBOX:ソングライティングでもこれまでの中村さんには無かった面を発見できました。

中村:道重さゆみさんが歌うのをイメージして、自由に作ってみたものをそのまま歌ってもらえたので嬉しかったです。「ハイカラモダンガール」は、曲調はジャズをイメージしていたのですが、イメージ通りにアレンジして頂いて驚きました。

KKBOX:オリジナルの中村千尋では出来ないことを、様々な女性アーティストが歌い、表現することで、ますます中村千尋の世界が広がっていくんだろうなと思います。そう言えばわかまつごうさんとのユニット「ひごさつま」も楽しい企画ですね。本当に音楽を楽しんでいる感じが伝わって来ます。

出典元:YouTube(ひごさつまofficial)

中村:ありがとうございます。ひごさつまはこの曲で売れたいとか、なんとかしたいという気持ちではなく、本当に楽しいだけでやっているだけです(笑)。それが伝って嬉しいです。

KKBOX:最後に新しい時代の中村千尋の目標を教えてください。

中村:アルバム『スカートの中』の全曲すべてが、どこに出しても自信のある曲になったと思います。その曲たちをどうやって多くの人に届けていくのかを考えながらいろんなことに挑戦して、アルバムを少しでも多く広げていきたいと思っています。


プレイリスト:中村千尋の「スカートの中」を覗いてみた


〈プロフィール〉

◯1988年6月15日生/熊本県出身/B型
父親の影響で13歳の頃から作詞、作曲を始め、高校卒業後上京。
◯2014年夏、全国17か所にて路上ライブツアーを決行。そのアクションがTwitter上でも話題となり、10月1stアルバム「どーも中村です。」で全国CDデビュー。
◯2015年7月15日、2ndアルバムを全国リリース、全国47都道府県ストリートライブを敢行し、
渋谷クラブクアトロでのワンマンライブを開催。
◯2016年には、初のフルアルバムをリリースし、自身最大規模のワンマンライブを新宿BLAZEにて成功させる。
◯2017年、WEB CM動画「カサネテク」が1,000万回再生を突破し、大きな話題となる。
2度目となる47都道府県フリーライブを敢行し、年末、品川インターシティホールでのワンマンライブを成功させる。
◯2019年4月10日、2nd full album「スカートの中」をリリース。


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