音楽系YouTuberコバソロ初のカバー・アルバムから読み解く、シンガーの魅力の引き出し方

  • 邦楽
石角友香

音楽系YouTuberとして84万人を超えるチャンネル登録者数、動画の総再生回数3億7千万回を誇る人気クリエーターのコバソロ。作詞作曲、編曲はもちろん、動画の撮影、演出、編集も自ら行い、多くのシンガーを世に送り込んできました。その彼が9月27日に竹内美宥(AKB48)、春茶、えみいらをフィーチャーした初のカバー・アルバム『これくしょん』とオリジナル・アルバム『KOBASOLO』を同時リリース。YouTube世代のヒットメーカーの表現方法をお聞きしました。

 

YouTubeはクリエーターの仕事を網羅できる

・YouTubeを活用して音楽活動を行うようになったきっかけはなんだったんですか?

元々ライブ活動を中心にやってたんですけど、20代後半になるにつれて今後10年20年と音楽を続けていくにあたって、このままライブ活動を中心にしていていいのかというちょっとした迷いがありまして。裏方作業もできるようになって生き抜きたいという目論見もあったとき、このYouTubeという活動という場は、自分のマネジメント、プロモーションの仕方であったりとか、楽曲の作詞作曲、編曲に加えて演出、照明だったり諸々裏方の技術をひと通り網羅できるコンテンツであったので、勉強の意味も込めてこれからの活動を続けていくために始めた部分は大きいですね。

 

・一番最初に見られてるなという実感を持ったのはいつ頃の誰の動画でしたか?

未だに「ちゃんと見られてるな感」はそんなにないですね。3億といっても、いきなりある日、ボーン!と数字が上がったわけではなくコツコツためて行った再生回数なので実感しづらいっていうのはありますね。

 

・始めた頃はどんなYouTuberがライバルでしたか?

ライバルというか目標にしてたものはありましたね。当時Goose Houseっていうシンガーソングライターのグループがありまして、そこの再生数がすごいことになっていたので、なんとなく自分の中で比較してましたね。「あ、今、ようやく10分の1来たな」みたいな(笑)。

 

kobasolo YouTubeチャンネル

kobasolo YouTubeチャンネル

 

 

その方が見えるカバーにしたい

・今回のカバー・アルバムの選曲の基準は?

とりあえず全体的に被らないようにしようというか、バラエティ豊かな作品にしたかったので、それを基準に選曲はしていきましたね。

 

・コバソロさんが女性ボーカルを選ぶときの一番の基準はなんですか?

一番大事なのは声というか、歌、その方がどういう風に歌ってるかが大事ですね。その方の歌が“浮くかどうか?”みたいなところは結構意識してますね。僕がその方の歌を浮かせれるかどうか?っていう部分が結構、オファーする基準にはなってますね。

 

・“浮く”というのは上手く聴こえることが大事なんじゃなくて? 

そうですね。その方が見えるものにできるかどうか?っていうところを大事にしてますね。「あれと同じように聴こえる」んじゃなくて、「あ、こんな人いたんだ」みたいな、珍しい感じにしたいっていうのがあります。

 

・AKB48の竹内さんはどういうきっかけで「歌える人なんだ?」と知ったんですか?

僕と全く関係ないところで「ハナミズキ」のカバーの動画をあげたんですよ。もう数年前だと思うんですけど、YouTubeの急上昇ってウインドにポンと上がって来て、今の時期に「ハナミズキ」のカバーが急上昇ってなんぞや?と思って調べてみたら、AKBの人で。こんなにうまい人がいるんだと。

 

・そこからのオファーはどうされたんですか?

以前からツイッターで相互フォローになってたんですよ。それでダメ元でツイッターのDMで送ってみましたね。フォローされていたこと自体びっくりしたんですけど、おんなじようにカバーを僕があげてたからという繋がりもあったと思います。

 

・竹内さんが歌うと新鮮な2曲ですね。

歌い方も独特ですし、ああいう声色の方の「3月9日」と「君に届け」は僕も聴いたことがなかったんで、なんか新しいものができたんじゃないかなと思います。

 

 

・バンド曲のカバーを歌ってらっしゃるMICOさんはすごくパワフルですね。

アルバムの中で結構特殊と言いますか、声色が浮いた存在と言いますか、芯の乗っかった声をしてるのでいいアクセントになってくれたなという部分もありますね。

 

・ミュージカルでも活躍している子役のえみいさんの声は何が良かったですか? 

やっぱりその年齢じゃないと出せないようなハキハキとした元気のいい感じですね。あの形じゃないとあの声を出しても不自然だと思うんですよ。すごいバッチリな方が歌ってくれたなって感じはありますね。

 

・高橋優さんの「明日はきっといい日になる」を12歳の子が歌うと影がないというか。

はい(笑)。とことん前向きな歌になります。

 

・それにしてもカバーって常に人気がありますよね。

でも個人的には面白い傾向だなと思ってますね。この二次創作と言いますか、日本だとニコニコ動画から始まってる感じなのかな。だから00年代までのカバーっていう感じじゃないんですよね。二次創作ってそこに紐づけされた作品、みたいなそういう感じのくくりになってるので、その意識の違いが僕の作品にも反映はされてるんじゃないかな?と思ってますね。

 

“僕が当たり前”になればいい

・コバソロさんのオリジナルはアッパーやダンステイストの曲もありますね。

はい。カバーだとあんまりできないようなこともやってますね。ギター歪ませたりだとか、もともと結構自分の好きな音楽に近いことを中心にやってますね。

 

 

・セルフタイトルは世に問うつもりで?

そうですね。僕の中で一個のターニングポイントになる作品にしたいなと思っていて。言ったら初めて自分の作品の中に自分じゃない人が混ざってるんですよ。なので、自分の活動の指標というか、これからいろんな人を巻き込んでいきたいっていうメッセージというか目標も込めてセルフタイトルにしましたね。

 

・「俺のやってることは間違ってないんじゃないかな」という確信はつかめてきましたか?

いや、まだ迷いながらやってますね(笑)。日常的にもありのままでいれる人って好かれるじゃないですか?僕としてはアーティストにも同じようなことが言えるんじゃないかなと思ってるので、それをいろんな形にして残していけたらなと思いますね。さらに言えば“僕が当たり前”になればいいなと思いますね(笑)。

 

参加シンガーからのコメント

アルバム『これくしょん』に参加している5名の女性シンガー全員に共通の質問を投げかけました。

 

Q1. 初めてコバソロさんと作品作りをしてどんな感想をお持ちですか?または、各収録曲を歌ってみていかがでしたか?

 

Q2. あなたにとって、コバソロさんのイメージを一言をお願いします。

 春茶

出典元:(YouTube:kobasolo)

 

Q1:カバーに関してはいつも自分なりの解釈で歌ってます。今回のカバーは男性の曲ですけど、いつも歌う前に歌詞を文字にして見るんですけど、「スパークル(movie ver.)」も「ひまわりの約束」も映画の主題歌だったので見てイメージを広げたところもあります。歌詞への共感もありますが2曲ともメロディが好きですね。

 

Q2:ちなみにコバソロさんは優しくて保護者みたいな存在です(笑)。

 

竹内美宥(AKB48)

出典元:(YouTube:kobasolo)

 

Q1:自分の宅録環境で歌ったものをコバソロさんに送って、それを元に楽曲をアレンジしてくださいました。データを送るということが今までなかったので、今度絶対必要になるからと細かい技術的なことも丁寧に教えていただき、本当に愛情を感じました。声の素材を録った後にアレンジ作業をして私の色を出してくださったり、動画撮影・編集も一人で完ぺきにやられていることを実際に知って、今回ご一緒させていただいたことでさらにリスペクトです!!!

 

Q2:同じにおいがする(性格的なところ)

 

MICO

出典元:(YouTube:kobasolo)

 

Q1:本来バラードが得意なのだが、「シルエット」も「ヒカリノアトリエ」もコバソロさんのプロデューサー的目線で、アップテンポめの曲にトライさせてもらい、新しい自分に出会えた!

 

Q2:なんでもできるお兄ちゃん!

 

安果音

出典元:(YouTube:kobasolo)

 

Q1:人生で初めて買ったCDは中島みゆきさんだったので、「糸」をコバソロくんから課題曲としていただいたときにはとても喜びました。

 

Q2:オールマイティーな先生、コバソロ先生と呼んでいます。

 

えみい

出典元:(YouTube:kobasolo)

 

Q1:初めての経験だったので、緊張しましたが、とても勉強になりました。「明日はきっといい日になる」はCMでよく耳にして口ずさむようになっていて、とても好きだったので、リクエストしました!(えみいさんからコバソロさんへ希望した楽曲)「好きだ。」も主題歌になっていたドラマをずっと見ていたのですごい好きでした!

 

Q2:作曲や楽器、歌とか、なんでもできてすごいなと思います!

 

編集後記

インタビューのあと、ヴィレッジ・ヴァンガード町田路面店にて貴重なインストア・ライブが行なわれるということで、立ち寄ってみました。会社帰りのOLやビジネスマン、女子高校生など男女ほぼ半々のファンに囲まれながらのアットホームな雰囲気。コバソロと春茶が登場しカバー曲の「ひまわりの約束」をじっくり聴かせ、「スパークル」では手拍子も起こる盛り上がり。ファンとの距離感が近いコバソロ、今後も要チェックです。

 

 

石角友香

フリーの音楽ライター、編集者。ぴあ関西版・音楽担当を経てフリーに。現在は「Qetic」「Real Sound」「Skream!」「PMC」「SPICE」などで執筆。音楽以外にカルチャー、企業系の取材、執筆も行う。

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