DEAN FUJIOKAに聞く、いい音楽の条件
DEAN FUJIOKAのアイデンティティーを示すキーワードに「“GMT+7~+9の時間軸”における縦移動のライフ&ワーク・スタイル」という言葉がある。日本からアメリカやイギリスへの移動は世界地図を広げると“横移動”だが、DEANの場合は日本~インドネシア~香港~台湾など、常に“縦移動”の都市で活躍してきたというワケだ。そんな、特異な活動を続ける生粋の表現者である彼に、ライフワークである音楽について聞いてみた。意外な一面がうかがえた。
出典元:(YouTube:A-Sketch MUSIC LABEL)
子どもの時に感じた空気感というか時代を超えていくタイムレス感って大事
——最近は、どんな音楽を聴いてますか?
DEAN:現在進行形では、EDMのサブ・ジャンルも好きだし、チキチキ鳴ってるトラップ・ビートに乗っているヒップホップもチェックし続けてます。でも、フューチャー・ベースの波は、夏ぐらいに山を迎えましたね。
——邦楽だとどの辺ですか?
DEAN:最近だと、ゆるふわギャングやKOHHをよく聴いてます。フロウや言葉選びのかっこよさに惹かれますね。
あと和のテイストなトラックメーカーなんですが、Ujico*って知ってます?
それと福岡のYUC’eがいいですよね。センスいいです。あの辺がドンピシャで。日本のクリエイターという意味ではインターナショナルな流行とは違う音使いなど、別の進化を遂げてますね。ガラパゴスゆえに海外からも注目されていると思います。
——DEANさんから未来茶レコーズのYUC’eの名前が出て来るとは思いませんでした。
DEAN:もう少し外を見ると、たとえばクリス・ウー(呉亦凡)はすごいと思いますね。アジア人、中国系カナダ人で。やってる音楽が最初からノース・アメリカ・スタンダードなんですよ。俳優としても素晴らしいです。
——元EXOのメンバーですよね。
DEAN:そうなんですよ。あとは、インドネシアにいた時期はジャズ系の天才アーティストでエバセリアっていう女の子がいて、その子をずっと聴いてました。もちろん現地のポップスも聴くし。ゴリゴリのトラップとか聴いたあとは、相変わらずマンダリン・ポップスの綺麗なバラードを聴いて感動するんですよ。
——そのバランス感覚がDEANさんらしいですよね。
DEAN:あと、R&Bシンガーのジェネイ・アイコもいいですね。母親が日本、スパニッシュ、ドミニカの血を引くミックス、父親がアフリカ系アメリカ人で。西海岸の新進ラッパーたちの作品にゲスト・ボーカルとして参加してますよ。うん、いろいろ節操なく聴いてますね、相変わらず。
——DEANさんの音楽話、面白いんですよ。それこそ1stアルバム『Cycle』に収録された、アッパーなガレージ・ロック「Banana Muffin Blues」の高揚感は、インドネシアのダンス・ミュージックであるファンコットからの影響という話もすごいなって思いましたから。
DEAN:ありましたねぇ。最初にお会いした時にファンコット話をしたことは覚えてますよ。
——音楽情報のネタ元はどんなところなのですか?
DEAN:う~ん、スタッフとの雑談やiTunesやYouTubeで知ったり、俳優の仕事をやっているおかげで、自分では選択しないようなロケーションから出会える情報から広がってますね。
——DEANさんのイメージって、どうしても俳優での成功が前に出てきますけど、音楽制作は詞曲やデモも手がけられ、音楽制作者向けの雑誌『サウンド&レコーディング・マガジン』にも登場されていたり、かなりコアな音楽への想いをお持ちなんですよね。
DEAN:単純に音楽は大好きなんですよ。なので、こうやって好きな話をして盛り上がれるのは嬉しいですね。
——好きな音楽の基準ってどんな感じなんですか?
DEAN:新作の「Let it snow!」もそうなんですけど、流行りやエッジーなだけでなく、子どもの時に感じた空気感というか時代を超えていくタイムレス感って大事だと思ってますね。
先鋭的×80’sセンス=タイムレスなオリジナリティー
DEAN FUJIOKA、最新2nd EP『Let it snow!』が12月20日(水)にリリースされた。タイトル・チューン「Let it snow!」は、日本テレビ系日曜ドラマ『今からあなたを脅迫します』主題歌であり、エレクトロ・ビートが牽引するウインター・ロマンス・ソングだ。2曲目「DoReMi」は、未来への希望である子どもたちへ向けて書かれたポジティビティ溢れる新感覚のポップチューン。3曲目は、アンビエント風トラックが没入感高いアジア15カ国でオンエアされたCANON EOS M6 ASIA AREA CM SONG「Speechless」が収録されている。
出典元:(YouTube:NHK)
さらに、年明け2018年2月には、初の名古屋、仙台、広島、福岡公演を含む全国6都市で行われる全国ツアー『DEAN FUJIOKA 1st Japan Tour “History In The Making 2018”』がスタートする。ライブに定評を持つこだわりの新展開に期待は高まるばかりだ。