ロックとポップを自由に飛び回る音楽の翼:NICO Touches the Walls

ロックとポップを自由に飛び回る音楽の翼:NICO Touches the Walls
海老沼邦明
海老沼邦明

NICO Touches the Wallsの魅力とはなんだろう。「歌詞の世界観がすごい」「ライブパフォーマンスにほれた」など、いろいろな意見を聞く。そのひとつがロックとポップを自由に行き来するサウンドだ。ソリッドなロックサウンドがあり、じっくりと聴かせるバラードがあり、ポップセンス全開のハッピーチューンあり。ジャンルにとらわれず表現するその奔放さが彼らの最大の魅力なのではないだろうか。 ロックサウンドをアコースティックに 2月4日にアコースティックアルバム『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』をリリースしたNICO Touches the Walls。これは自身の曲をアコースティックアレンジでセルフカバーしたもの。もともとはアルバム『HUMANIA』の特典DVD「アコタッチと呼んでみて☆」としてアコースティックバージョンを作ったのがきっかけだったという。 魅力を最大限に引き出す アコースティックアルバムに収録されるのは「手をたたけ」「ニワカ雨ニモ負ケズ」など、収録曲は人気曲、定番曲ばかりだ。「ライブ定番曲や知ってもらっている曲のほうが、明るい曲だけどこんなに暗いことを歌ってたんだとか、いろいろ発見してもらえると思う」というところからの選曲だという。実はこの言葉にはニコの本質があるように思う。曲、歌詞、アレンジ、それぞれのいいところ、自分たちが感じる魅力を最大限に伝えることが彼らの音楽の源泉なのではないかと思う。 「いい」と思うものを素直に取り入れる 例えばシングル「夏の大三角形」に収録されている「ラッパと娘」から、以降のシングルでは定番となっているカバーシリーズもそのひとつの表れだと思う。山口百恵の「イミテーションゴールド」や松田聖子「SWEET MEMORIES」などの曲もカバーしているが、単に「自分たちが演奏する」だけではなく、アレンジ進行もじっくりと整えてその曲の魅力を引き出す。光村は「自分たちのルーツみたいなものがある曲を選曲しています。演奏していると、自分たちにはない要素がそこにはたくさんあってすごく面白い」と話す。だから「イミテーションゴールド」の印象的なワンフレーズ「ア・ア・ア」も際立って聞こえる。「SWEET MEMORIES」にしても、原曲はしんみりと切ないバラードだが、そのメロディが実は持っているポップさが伝わってくる。偏見なく曲と向き合っているから「いい」と思える部分が素直に浮かび上がってくるのだと思う。そしてそれを「いい」と受け入れる。そんなところに、彼らのジャンル的な身軽さはあるのだと思う。 先日KKBOXの「Listen With」に登場してもらった。これまでにないぐらいに盛り上がったイベントだったのだが、そのプレイリストを見てもらえば、彼らのジャンルの奔放さはわかってもらえると思う(当日のプレイリストはこちらhttp://kkbox.fm/1x0Sq3)。「とにかく好きな曲をかけた」という選曲は、ロック、ポップはもちろん、R&B、カントリーまで幅広い曲たちだった。しかもメジャーな曲、マイナーな曲を問わずに選曲しているのが彼ららしい。「いいものはいい」というスタンスが伝わってくる。 2015年は「この四人だからこそできる、思いがけないことをやりたいなと思っています」という。果たしてどんなものが出てくるのか楽しみにしたい。

海老沼邦明
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