「違和感がチャンスになる」―サカナクション最新インタビュー実現

「違和感がチャンスになる」―サカナクション最新インタビュー実現
KKBOX編集室
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今年3月にリリースしたアルバム『sakanaction』は15→20万枚を超えるセールスを実現、全国ツアー「SAKANAQUARIUM 2013 sakanaction」も過去最大となる8万人の動員を記録と、名実ともに日本を代表するロックバンドとなったサカナクション。6月14日、15日には、台湾にてバンド史上初の海外ワンマンライブも実現した。 以下のテキストは台湾にて行われた彼らの最新インタビュー。日本のメディアに登場する時とは少し違った角度から、サカナクションの音楽にかける思いが切り取られている。 サカナクションのミュージックビデオはいつも独創的ですが、発想はどこから? 山口 : ミュージックビデオを作るときは監督がいて、監督とこの曲はどういう映像を作るかという話し合いをします。基本的には監督のアイディアを優先して、それを自分たちの音楽とをどうマッチングさせていくかを、メンバーとスタッフ全員で話し合って決めていくのが僕たちのスタイルです。PVはプロモーションのために作るものだけれど、宣伝だけじゃなく芸術性を踏まえたものにしたいと思って、話し合っていますね。 PVの中で、山口さんはダンスや演技もしていますが、そういうことは以前からやっていた? 山口 : 普段から演技やダンスをしてるようなことは全くないです。毎回、撮影のたびに、ダンスや女装やいろんなことをオーダーされて、そのつどトレーニングしてやっています。 どのPVの撮影が一番苦労しました? 山口 : 基本的に全部が大変ですけれど、“夜の踊り子”の時は白塗りで、着物をきて、野外での撮影だったので。時間も夜から昼にかけての撮影だったので、朝をまたいだ分、体力的に全員厳しかったです。富士山の麓で撮影したんですけれど、スタッフもクルーも「地獄の富士」と呼ぶほど大変でした。思い出に残ってます。 台湾には、まだまだサカナクションを知らない人が沢山います。そういう人に紹介するなら、どういうミュージックビデオが一番いいと思いますか? 山口 : 日本でも、僕らが飛躍するきっかけになったミュージックビデオが「アルクアラウンド」という曲のミュージックビデオだったんです。台湾の人たちも、最初にその曲のビデオを見たら興味を持ってもらえると思ってます。 サカナクションのメンバーは他のどんなアーティストに影響を受けていますか? 山口 : 僕たちは音楽が大好きな兄ちゃん姉ちゃんなので、沢山の音楽を聴いてきたし、沢山の影響を受けています。この人、というのを具体的に挙げるのはすごく難しいけれど。メンバーそれぞれに自分が音楽を続けていくことになった出会いがあると思います。僕はレイ・ハラカミというミュージシャンと出会って、ポップスとエレクトロニカの融合に可能性を感じて今のバンドを作ったので、彼からの影響はすごく大きいと思っています。 たとえば星野源さんと山口さんは仲がいいですが、メンバーの皆さんも他のアーティストと交流することは多いですか? 山口 : ドラムの江島はplentyというバンドのドラムをレコーディングで叩いたりしているし、メンバーそれぞれ、他のミュージシャンとの繋がりは多いと思います。ただ、北海道から東京に出てきたので、バンドを始めてからずっと仲がいい人がそんなに多くなくて。デビューしてから仲が良くなった人が多いですね。 新作の『sakanaction』でバンドの名前をタイトルにしたのは何故でしょうか? 山口 : 大きな理由は二つあって、一つは今回ドラマの主題歌やCMソングや、沢山のタイアップがチャンスとして訪れて、その曲がアルバムに収録されるということで。このアルバムをきっかけにバンドを知ってくれる人が増えるだろうということで自分たちの名前をつけました。もう一つは、そのことで新しいスタートをきれるだろうというのも考えてバンドの名前をタイトルにしました。 タイアップの曲は、ドラマに向けて作ったんでしょうか、それとも関係なく作ったんでしょうか。 山口 : 完全に、ドラマに向けて作りました。 今回のアルバムを山口さんの自宅でレコーディングしたのは何故? 山口 : タイアップソングを作っていた時はレコーディング・スタジオで録音していたんですけれど、外に向けて作るという意識が強くなっていて。本当に自分たちが作りたい音楽は何かを見つめなおそうと思っていた。だったら、スタジオで仕事のようにレコーディングするのではなく、自宅で遊びながら作っていくほうが自分たちらしいものができるんじゃないか、それが本当のサカナクションらしさになるんじゃないかと思ってチャレンジしました。 ツアーではライヴハウスでも大きな会場でも演奏しましたが、どんな違いがありましたか? 山口 : ライヴハウスではキャパシティが小さいほどお客さんとの距離が近いし、自分たちが演奏していてもダイレクトに自分たちがエネルギーを発信することができるし、こちらにもお客さんのエネルギーが伝わってくるんです。一方で今回は幕張メッセで2万人の前で演奏したけれど、規模が大きければ大きいほど、お客さんとの距離が遠くなって、ショーになるんです。だけど、規模が大きくなればなるほど、照明の数も増やせるし、いろんな演出ができるようになる。場所によってパフォーマンスの種類を変えていくというのが、自分たちのライブの楽しみ方にもなっている。どっちも楽しいです。 ライヴの中で、一番楽しんでいる部分はどういうところですか? 山口 : 僕たちは5人でバンドというフォーマットで演奏しているけれど、僕たちのショーでは楽器を置く瞬間がある。フォーマットが変わるというのは、バンドからクラブミュージックに変わるとき。そうやってスタイルが変化するときには、自分たちの中ではなんとも言えない高揚感がありますね。 今回のツアーはアルバム『sakanaction』を中心にしたものでしたが、サカナクションのベストを作るとするならばどの曲を入れたいですか? 山口 : 今はまだ考えてないですね。いずれベスト盤を出すことがあるかもしれないけれど、今は自己ベストとして毎回のアルバムを作っているつもりがあるので。過去の曲を織り交ぜて一つのコンサートをするというツアーは毎年やっているので、それが今の自分たちが表現できる過去と今を混ぜあわせたショーになっていると思いますね。 今の音楽環境はとても進歩していて、沢山の音楽があふれています。そんな中で、どうやって自分たちの音楽を選んでもらうように工夫していますか。 山口 : 沢山いろんな音楽がある中で自分たちの音楽をどう目立たせるのかは、沢山ある音楽をまず理解すること。その中でどんな違和感があるかを自覚して作っていく。それがみんなに見つけてもらうチャンスになるんじゃないかと思っています。 サカナクションのみなさんは台湾についてどう思いますか? 山口 : 台湾の人たちは親切だし、日本のことを知ろうとしてくれる人がすごく多いと思います。だから自分たちも何か伝えたい気持ちが強くなるし、僕らも台湾のことをもっと知りたいって強く思いますね。 台湾で行きたいところは? 山口 : 台湾の若者たちが遊んでいる場所にいきたい。クラブとか、どういう場所で音楽を聴いたり遊んだりするのか、どういうファッションをするのかとか、若者たちのカルチャーを知りたいので、そういう場所に行ってみたいですね。台湾にも興味があるし、もっとみんなのことを知りたい。なので、そのためにも日本でもっと頑張っていきたいと思っています。

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