グラミー賞主要4部門大予測 〜オリビア・ロドリゴ4冠なるか!?その対抗馬は誰?

グラミー賞主要4部門大予測 〜オリビア・ロドリゴ4冠なるか!?その対抗馬は誰?
KKBOX編集室
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今年で64回目となる米音楽界最高の栄誉とされるグラミー賞。2022年1月31日に予定されていた授賞式は、昨年に続き、新型コロナウイルスの影響で今年も延期することが発表されました。現時点で新たな日程は発表されていませんが、改めて今年のグラミー賞の予習をしておきたいと思います。

出典元:YouTube(Recording Academy/GRAMMYs)

昨年のグラミー賞は、ビヨンセが4つの部門で受賞し、女性アーティストとして歴代最多記録を更新するなどの記録を残しました。同時に2020年を代表するヒット作『After Hours』をリリースしたThe Weekndは、ノミネートすらされなかったことから、グラミー賞を主催するレコーディング・アカデミーを「腐敗している」と批判し、今後一切グラミーに自身の楽曲を提出しないことを表明したのは記憶に新しいところです。この流れは今回のグラミー賞にも波及。ドレイクは、〈最優秀ラップ・アルバム賞〉候補になっている最新アルバム『Certified Lover Boy』、〈最優秀ラップパフォーマンス賞〉の候補になっている「Way 2 Sexy」の両作品をグラミー賞ノミネートから取り下げる要求をしています。

出典元:YouTube(Drake)

また「Butter」の大ヒットで4大主要部門の一つ〈最優秀レコード賞〉へのノミネートが期待されていたBTSは、 2年連続で〈最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞〉にノミネートされるにとどまりました。またもや「米国・白人・男性」中心に授賞式が運営されているという批判が再燃しているようです。

出典元:YouTube(HYBE LABELS)

そんな物議を醸し出しているグラミー賞ですが、やっぱり賞レースは気になるところです。今年は主要4部門のノミネート作品が8から10に拡大され、より多くの作品にチャンスが生まれています。その中で最多ノミネートしているのはジョン・バティステ。主要部門の〈最優秀レコード賞〉や〈最優秀アルバム賞〉を含む全11部門でのノミネートを獲得しています。

それでは、グラミー賞主要4部門の〈最優秀新人賞〉〈最優秀レコード賞〉〈最優秀楽曲賞〉〈最優秀アルバム賞〉の注目作品をチェックしていきましょう。

最優秀新人賞(Best New Artist)

出典元:YouTube(Olivia Rodrigo)

文字通り、この1年で著しい活躍をみせた新人に授与される賞です。今回の最有力候補は18歳の新星・オリヴィア・ロドリゴです。デビュー曲「drivers license」が全米・全英シングルチャート初登場1位という偉業のほか、Apple Musicでは全世界48の国と地域、Spotifyは31カ国のチャートで1位を記録。Spotifyに至ってはわずか8日間で1億再生を突破し最速記録を更新したのです。デビュー直後に世界的にブレイクした大きな要因としては、オリヴィアは元々ディズニーが手がけるミュージカル系テレビ番組にメインキャストとして出演するなど、世界中にファンがいたことが挙げられます。Instagramではデビュー前に既に250万人フォロワーを獲得、現在は2,100万人と若者層から絶大な人気を得ています。

出典元:YouTube(The Kid LAROI.)

またオリヴィア同様にオーストラリア出身の18歳の若き才能、ザ・キッド・ラロイも同様に注目。ジャスティン・ビーバーとコラボした「STAY」は Billboard Hot 100で1位を獲得しました。オーストラリア出身のアーティストが1位を獲得するのは、2016年8月に4週連続No.1に輝いたシーアの「Cheap Thrills (feat. Sean Paul)」以来の5年ぶりで、男性ソロ・アーティストとしてはリック・スプリングフィールドの「Jessie’s Girl」(1981年8月)以来、実に40年ぶりの快挙となっています。またビリー・アイリッシュの音楽プロデューサーであり、そして兄であるフィニアスや、リトル・ビッグ・リーグのミシェル・ザウナーによるソロプロジェクトであるジャパニーズ・ブレックファストも受賞できたら面白いかもしれません。

最優秀レコード賞(Record of the Year)

シングル曲の演奏者、及び制作に関わったメンバーに授与される賞です。ここでも注目は オリビア・ロドリゴです。主要4部門すべてにノミネートされているので、一昨年のビリー・アイリッシュのように4部門受賞というサプライズの可能性もあり得ます。そこで、彼女の対抗馬が誰なのか?という視点でも見ていくと、各賞は面白いかもしれません。

出典元:YouTube(Bruno Mars)

まず、真っ先に上げたいのがブルーノマーズ率いるシルク・ソニックの大ヒット曲「リーブ・ザ・ドア・オープン」です。日本と同様、温故知新的なムーブメントのアメリカ。シルク・ソニックは70年代や80年代のモータウン全盛の頃の、甘くてメロウなソウルミュージック・ラバー感たっぷりのサウンドです。曲のエンディングも、当時の流行だったフェードアウトだったりして涙ものです。往年のリスナーのみならず、若者層にも新鮮に受け止められたこの曲、最優秀楽曲賞にもノミネートされているので、どちらかで受賞してくれたら盛り上がるのは確実です。

そのほかに注目したいのは、ゲイであることを表明し、衝撃の「懐妊写真」で大きなバズと議論を巻き起こしたリル・ナズ・X 。

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男性同士のセックスをテーマにし、サタンの前でダンスするエロティックなミュージックビデオが大きな話題を呼び、賛否両論を受けることになります。この曲が受賞すれば沈静化したネガティブな反応も再燃させてしまうかもしれません。LGBT先進国のアメリカに潜む難しい問題を考えさせられます。

また、一昨年に続きビリー・アイリッシュが3連覇を達成するかというのも興味深いし、ここ数年でトップアーティストに上り詰めたドージャ・キャット feat シザの「Kiss Me More」も注目です。

最優秀楽曲賞(Song of the Year)

シングル曲の作詞者、作曲者に授与される賞です。ここでもオリビア・ロドリゴ、シルク・ソニック、リル・ナズ・Xを軸に競い合いそうです。そこで注目するのはブランディ・カーライルです。2019年のグラミー賞では3部門で受賞(ノミネートは6部門)するなど、グラミー賞に欠かすことのできない存在になっています。

出典元:YouTube(Alicia Keys)

今回のグラミー賞では最優秀楽曲賞に、アリシア・キーズとの共作「A Beautiful Noise」、そして2021年10月にリリースされたばかりのアルバム『In These Silent Days』に収録されている「Right On Time」の2作品がノミネートされています。日本国内ではまだ認知が広がっていませんが、この機会にブランディの美しいボーカルに浸ってみてください。

最優秀アルバム賞(Album of the Year)

アルバム演奏者および制作チームに授与される賞です。ここで推したいのが今回最多のノミネート数になっているジョン・バティステで、最優秀レコード賞に「Freedom」が、最優秀アルバム賞に「Freedom」を収録した『We Are』がノミネートされています。

出典元:YouTube(Jon Batiste)

ジョンは、シンガーソングライター、ピアニスト、音楽プロデューサー、作曲家などの他に、 TVパーソナリティーや教育者、NYハーレムにある国際ジャズ博物館のアート・ディレクターと実にマルチに活躍しています。そんな彼だからこそ、2016年にはアメリカの有力な経済誌フォーブスの「世界を変える30歳未満の30人」に選ばれるなど、世代を代表する存在として大きな注目を浴びています。そして、ディズニー&ピクサー映画『ソウルフル・ワールド』の音楽担当として抜擢されると、ようやく日本を始めとする世界中にその名前を知られるようになりました。

出典元:YouTube(Jon Batiste)

アルバム『We Are』は、ジャズをベースにしながら、ヒップホップ、ポップス、R&B、ソウルなど、多様なジャンルをクロスオーバーした2021年の最高傑作との呼び声が高いアルバムです。中でもアルバムタイトルの表題曲になった「We Are」は、2020年にニューヨークで行われた人種差別に抗議する行進"WE ARE - a peaceful protest march with music"でも演奏されるなど、ブラック・ライブズ・マター運動を象徴するかのような歌として浸透してきました。『We Are』は、音楽的にも社会的にも非常に大きな意味を持つアルバムとなっています。

出典元:YouTube(Billie Eilish)

そしてビリー・アイリッシュの2作目となるアルバム『Happier Than Ever』も大注目。アルバム『WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?』が、世界中に大きな衝撃を与えてから2年。前作以上のインパクトを作るには並大抵ではないはずですが、ビリー自身、このアルバムに対して「今まで作ってきたものの中で一番お気に入り」と語っています。実際、インナーなサウンドプロダクトが魅力であった前作と比較し、開放的なアプローチを感じられる本作は、ビリーの新たな魅力を引き出すことに成功したと言えるでしょう。

この主要4部門以外では、本来〈最優秀レコード賞 〉にノミネートどころか、実績的には受賞も濃厚視されていたBTSが、〈最優秀ポップ・デュオ/グループ・パフォーマンス賞〉部門で受賞できるかにも注目です。


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