胸にしみるドラえもん映画主題歌を振り返る

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KKBOX編集室
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新型コロナウイルスの影響で一年間延期されていた『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争(リトルスターウォーズ) 2021』がいよいよ公開、ドラえもんが劇場に帰ってきました。


出典元:YouTube(DoraemonTheMovie)

本作は37年前の1985年に公開された『映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争』のリメイク作品で、物語は夏休みのある日、のび太が拾った小さなロケットの中から現れた手のひらサイズの宇宙人・パピとの出会いから始まります。パピは宇宙の彼方にあるピリカ星の大統領なのですが、年齢も近いのび太たちと親交を深めていきます。しかしパピを追って反乱軍が襲来。のび太たちは、パピとその故郷を守るため“宇宙小戦争”に身を投じていくというストーリーです。

出典元:YouTube(DoraemonTheMovie)

そして公開にあわせOfficial髭男dismが書き下ろした今作の主題歌「Universe」と、85年公開作品の主題歌で名曲として愛され続けている武田鉄矢の「少年期」がコラボレーションした懐かしさと新しさが共存したスペシャルPVも公開されています。
また劇中では結成52年目となる兄弟フォークデュオ・ビリー・バンバンの「ココロありがとう」が挿入歌として流れます。

お父さん&お母さん世代が幼かった頃に観たワクワク感や感動を、本作でも楽しめそうな作品です。1980年に公開されたドラえもんの映画シリーズは、長い歴史の中で 数々の心に残る曲を誕生させてもきました。ここからはこれまでの名曲たちを振り返ってみましょう。

90年代のドラえもん主題歌は武田鉄矢が作詞を16作品担当

ドラえもんの映画シリーズは1980年にスタート、そして1996年公開の『のび太と銀河超特急』まで、17作品中16作品の主題歌の作詞を手掛けてきたのが、なんと金八先生こと武田鉄矢でした。自らの歌唱でも、前述の「少年期」を含めて5曲を担当しています。

なぜこのような関係が生まれたのでしょう。武田鉄矢は藤子・F・不二雄を尊敬しており、藤子・F・不二雄自身も武田鉄矢に主題歌の作詞を担当してもらうことを望んでいたといいます。相思相愛の中で実現したコラボレーションは、ドラえもんとのび太の関係のようだったのかもしれません。その中でも『のび太の日本誕生』の主題歌となった西田敏行の「時の旅人」は、「少年期」と並び、往年のドラえもんファンにとっての2大名曲として歌い継がれています。

しかし1996年の『のび太と銀河超特急』の公開後、藤子・F・不二雄が亡くなると、武田鉄矢は「藤子先生が亡くなった今、僕はドラえもんの映画の作詞を引退します」と宣言して勇退。これ以降のドラえもん主題歌は、それまでの牧歌的な楽曲から大きく様変わりをすることになります。

20世紀末から21世紀初頭は主題歌激動期

武田鉄矢勇退のあと、1997年に公開された『のび太のねじ巻き都市冒険記』の主題歌を担当したのは誰だったのでしょうか?

知性を備えたおもちゃのピーブたちとの別れを描いたエンディングで流れてきたのは、ロックンローラーの永ちゃんこと矢沢永吉の「Love is you」でした。これまでと違ったエンディング曲の雰囲気に劇場内はある種の衝撃と、新しいドラえもん到来の予感を感じたのかもしれません。これ以降ロック系の主題歌が続くのかと思いきや、当時人気モデルであった吉川ひなのや、元大相撲力士のKONISHIKI(小錦)、童謡歌手の第一人者・由紀さおり・安田祥子など、さまざまな主題歌ラインナップが数年続くことになります。

現代に繋がるJ大型アーティスト×ドラえもんのコラボ

世紀の変わり目から3年。2003年公開『のび太とふしぎ風使い』の主題歌に起用されたのが、当時のオリコンシングルチャートで連続1位を獲得していたゆずの「またあえる日まで」でした。シンプルなギターの弾き語りとハンドクラップ、北川悠仁と岩沢厚治の優しい歌声。〈またあえる日まで〉というサビのコール&レスポンス。どれをとってもドラえもんの世界観に見事にマッチした主題歌となったのです。

そしてその後のドラえもんの主題歌は、この「またあえる日まで」がひとつのフォーマットとなり〈背中を押す系〉の楽曲テーマが主流となっていきます。また福山雅治、Perfume、絢香、Mr.Childrenなど、日本の音楽シーンを代表するアーティストたちが主題歌を担当するようになり、〈ドラえもんの主題歌=大ヒット〉という図式ができあがっていきます。

それでは数ある名曲の中から、特に心に残る曲を紹介していきます。

出典元:YouTube(DoraemonTheMovie)

2006年はドラえもんの声優が大山のぶ代から水田わさびにバトンタッチされた年でした。このメモリアルな年に公開されたのが『のび太の恐竜2006』。新たなスタートを切る作品として、映画シリーズの第1作目の『のび太の恐竜』をリメイクすることに、制作陣の強い想いがあったのでしょう。

出典元:YouTube(スキマスイッチ)

物語はピー助という恐竜の誕生から、のび太と仲間たちがピー助を悪戦苦闘しながら育て、別れるでを描いています。ラストのピー助との別れは、涙なくしては観られません。観劇する人の多くが涙する中、エンドロールで流れきたのがスキマスイッチの「ボクノート」。本当に胸に沁みました。

出典元:YouTube(DoraemonTheMovie)

2011年に公開された『新・のび太と鉄人兵団 〜はばたけ 天使たち〜』の主題歌は BUMP OF CHICKENの「友達の唄」でした。メンバー全員がドラえもんの大ファンであるBUMP OF CHICKENは、この作品を映画版ドラえもん作品の中でも3本の指に入ると評しています。またドラえもん役の水田わさびは「映画版のリハーサルで初めて泣いた」と語り、のび太役の大原めぐみもこの作品を、ドラえもん映画ベストのひとつに挙げています。

出典元:YouTube(BUMP OF CHICKEN)

エンドロールで「友達の唄」が流れた時は、大人たちでも泣いてしまう人が続出しました。また映画公開直後に東日本大震災が発生、観劇した人たちはいろんな想いの中で、記憶に残る作品になったのではないでしょうか。

出典元:YouTube(DoraemonTheMovie)

2018年に公開された『のび太の宝島』は、ロバート・ルイス・スティーヴンソンの児童文学『宝島』をモチーフとして、大人世代を意識した作品となっています。そして主題歌を担当したのが星野源。曲のタイトルはストレートに「ドラえもん」でした。「ドラえもん」の歌詞にはドラえもん作品に対するたくさんのオマージュが込められています。

出典元:YouTube(星野源)

例えば藤子・F・不二雄の言葉やドラえもんの世界観を連想させるような言葉が歌詞に織り込まれていたり、ミュージックビデオではのび太の部屋や空き地のドラム缶などお馴染みの光景が登場します。また、間奏には「ぼくドラえもん」のメロディーが引用され、作曲者である 菊池俊輔が間奏の作曲者としてクレジットされていました。現代のドラえもんのテーマ曲にも聴こえてきます。

出典元:YouTube(DoraemonTheMovie)

いかがでしたか。どの世代にも寄り添っていた『映画ドラえもん』とその主題歌たち。改めてその魅力と皆さんの記憶の中のドラえもんを想い出してみてください。


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