昭和・平成・令和の恋愛ヒットソング138選|時代とともに変化する恋愛模様の変遷

昭和・平成・令和の恋愛ヒットソング138選|時代とともに変化する恋愛模様の変遷
KKBOX編集室
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片想いの甘酸っぱさ、叶わぬ恋や忘れられない恋などを描く恋愛ソング。「昭和」「平成」「令和」と時代や文明の変化によって恋愛ソングはさまざまに変化し、いつでもリスナーの心に寄り添ってきました。
とりわけ現在の私たちの暮らしに欠かせないスマートフォンの登場、ひいては携帯電話の登場が恋愛模様に大きな変化をもたらしました。現在40代〜50代の人が青春を過ごした「昭和」は、自宅の電話や公衆電話、手紙のやりとりが主でした。「平成」になるとポケベルが、続いて携帯電話が登場し、場所を選ばず電話ができるようになったり電子的なメッセージのやりとりができるようになったりとコミュニケーション・ツールは次第に多様化。平成中期になるとスマホが登場、メールやSMSでのやりとりが一般的だった世界にSNSが登場し、LINEはもとよりSNSのDMやマッチングアプリを通じての恋愛など、コミュニケーション・ツールは大きく変化を遂げ、恋愛の在り方にも大きな変化をもたらしています。本記事では、昭和・平成・令和それぞれの時代でヒットした恋愛ソングから、恋愛の変遷に迫ってみたいと思います。

昭和:レコード世代の一途で大人な恋愛ソング

レコード全盛期であった「昭和」。昭和の恋愛ヒットソングは、一途な想いを歌った曲が多く、特に恋愛へのハードルが高かった時代でした。電話や手紙が主流で、電話をするにも本人が出るか家族が出るかわからず、一世一代の勝負とも言えるくらい、勇気のいる行動でした。失恋するようなことがあれば、青春が、人生が終わったというくらいに悲哀に満ちた歌詞や曲調の楽曲が少なくありませんでした。

そういったもどかしくも甘酸っぱい恋愛観は、当時のヒット曲の歌詞の中に描写されています。小林明子は「恋におちて」で〈ダイヤルまわして 手をとめた〉と歌い、徳永英明は「レイニーブルー」の中で、降りしきる雨の中の電話ボックスでダイヤルを回す指を止めてしまいます。意中の相手に想いを伝えることのハードルの高さを象徴しているように思います。

また、オフコースの「さよなら」やかぐや姫の「神田川」、欧陽菲菲の「ラヴ・イズ・オーヴァー」など「"もう会えない相手を思いながら別の道に進んでいく様子” を歌った失恋ソング」も当時絶大な共感を集めました。「失恋=青春の終わり」といった側面が強かった時代背景が窺い知れます。

こうした昭和の恋愛の価値観は、サザンオールスターズや松任谷由実の登場によって、少しずつオープンなものへと変わっていきます。レコード全盛期を生きた若者たちは、家や喫茶店、テレビの前で恋愛ソングに耳を傾けながら、意中の人に想いを馳せていたことでしょう。

平成:CD世代の華やかでポップな恋愛ソング


80年代後半から90年代にかけて、新たな音楽メディアとしてCDが登場し、レコードに代わり瞬く間に一世を風靡・普及しました。やがてCDウォークマンが登場すると、若者たちのマストアイテムに。いつでもどこでも音楽を聴くことが一般的になったのも平成です。

そんな音楽環境の変化もあり、次第に恋愛ソングはラフに楽しめる楽曲が親しまれるようになります。久保田利伸の「LA・LA・LA LOVE SONG」や、米米クラブの「君がいるだけで」、小田和正の「ラブストーリーは突然に」など、華やかで明るい曲が多く登場し、人気を博した平成の恋愛ソング。さらに、失恋ソングもマイナー調からメジャー調に変化し、槇原敬之の「もう恋なんてしない」など、失恋自体を前向きに捉えた楽曲がヒットしました。

平成を代表する大きなトピックは、ポケベルや携帯電話が登場したことでしょう。松浦亜弥の「ドッキドキ! LOVEメール」や、国武万里の「ポケベルが鳴らなくて」など、その変化は曲名や歌詞にも反映されています。携帯電話(ガラケー)全盛期には「着うた」が登場し、恋愛ソングはより身近なものになります。宇多田ヒカル、aiko、椎名林檎、MISIA、浜崎あゆみ、青山テルマ、YUIなど、時代を象徴するような歌姫が頭角を表し、爆発的なヒットを記録。当時、若年層の女性を中心にカリスマ的な支持を集めた西野カナが「携帯世代の歌姫」として親しまれていたことも象徴的。

しかしながら、こうした恋愛ソングの中にも変わらない価値観もありました。宇多田ヒカルのデビュー曲「Automatic」の〈7回目のベルで 受話器を取った君 名前なんて言わなくても 声ですぐわかってくれる〉や、青山テルマの大ヒット曲「そばにいるね」で〈電話待ち続けていた 携帯握りしめながら眠りについた〉と歌われているように、意中の相手が電話に出てくるまでのドキドキ感や、相手からの電話を待つ一人の切ない時間を歌った恋愛ソングは、平成でも多くの人の心に寄り添っていました。多くの恋愛ソングに携帯電話やメールが登場することから、平成における恋愛は携帯電話と密接に関係しあっていたと言えるでしょう。

令和:スマホ世代のリアルでエモい恋愛ソング

2010年代になると音楽のデジタル化はさらに進みます。平成中期以降に登場し普及したスマートフォン(スマホ)と、SNSの流行によって世界は見違えるように変化しました。CDの売れ行きには翳りが見え、サブスクやYouTubeなどスマホアプリでの聴取が主流に。

恋愛の価値観も多様化していく中で、アーティストが発表する恋愛ソングも変化。ピュアな恋愛から複雑な恋愛、真剣な恋愛からライトな恋愛、そしてこれまで触れられることの少なかった肉体的な恋愛ソングまで、リスナーが自分の恋愛を追体験できるような、バリエーションに富んだ恋愛ソングがヒット。歌詞もサウンドも、より情緒的でエモーショナルな楽曲が増えていくのも特徴的。



あいみょんの「マリーゴールド」や優里の「ドライフラワー」、Official髭男dismの「I LOVE…」など、純愛や相手への愛情を素直に表現した楽曲からは、恋愛=エモいというZ世代の空気感を感じ取ることができます。また、TikTokでのバズりをきっかけにヒットを記録するのもスマホが主流となった令和ならでは。Saucy Dogやwacci、マルシィなどがそうしたアーティストに挙げられます。そして、肉体関係を描いた恋愛ソングも親しまれるようになったのも令和の恋愛ソングの特徴。クリープハイプの「ラブホテル」やヤングスキニーの「ゴミ人間、俺」といった楽曲は、かつて岡村靖幸が「いけないこと」で〈エロ〉をJ-POPの中に取り入れた流れも感じることができるでしょう。

「令和」を生きるZ世代の恋愛の在り方は人それぞれ。多様な価値観の恋愛ソングが共感を集めていることからもそんな空気感が窺えます。一大決心をして電話をかけたり夜な夜なラブレターを書いていたりした「昭和」と、「令和」の恋愛の価値観は、大きく変化していることが分かりますね。その背景にはコミュニケーションの距離感がグッと縮めた電話媒体の進化が大きく影響を与えていると言えそうです。

昭和、平成、令和と3つの時代の恋愛ソングを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。

私たちの恋愛模様の変化は、私たちを取り巻くコミュニケーション・ツールの変化と密接に関係しています。恋愛との向き合い方や捉え方は変われど、いつの時代も恋愛ソングが多くの支持を集めていることから、恋に悩み、恋に焦がれる人の思いは普遍的なことだと言えますね。それぞれの時代のヒット・ソングを聞き比べることで、さまざまな価値観や時代の違いを見つけることができます。本記事では一部の恋愛ソングにフォーカスしてご紹介しましたが、プレイリストでは非常に多くの楽曲をご紹介しています。ぜひこれらの恋愛ソングを、歌詞の一節一節に耳を傾けながら楽しんでみてはいかがでしょうか。

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