黒夢、伝説のライブが蘇る

黒夢、伝説のライブが蘇る
海老沼邦明
海老沼邦明

「伝説」なんていう言葉を使うのはどうかと思うけれど、あえて言わせてもらうと、黒夢はすでにして伝説のミュージシャンです。 なんだか変な始まりになってしまいましたが、今年デビュー20周年を迎える黒夢が、2つの映像作品をリリースするというニュースが舞い込んできたのです。20年前というと、1994年。筆者の青春ど真ん中なのであります。それで少々ヒートアップしてしまいまして…。 リリースされるのは「1997.10.31 LIVE at 新宿LOFT」と「LIVE OR DIE CORKSCREW A GO GO」の2作品。今回はその2作品をブルーレイ化して6月にリリースすることとなった。この2作品は黒夢を語るうえでかかせない映像。ひとつめの新宿LOFTの映像は、密着したような、へばりつくような、汗がとぶような…、とにかくそんな「ライブハウス」感がたまらない。 黒夢は「ライブこそがバンドのあるべき姿」と当時の雑誌で語っていた(ように思う)。実際1997年から1998年にかけては、約230本という数のライブをこなしたというのだから、その言葉に偽りなし。その真骨頂ともいえるのが、このライブなのだ。ちなみにKKBOX内にはその音源が収録されているので、ぜひ聴いてみてほしい。 ふたつめの「LIVE OR DIE CORKSCREW A GO GO」はコークスクリューツアーから、事実上の解散に至るまでを追ったライブ&ドキュメント映像。そう、黒夢は1999年に活動停止を宣言し、2009年に一度解散をしているのだ。その1年後には復活(僕としてはうれしい限りでしたが)して、現在に至っている。その解散の意味がわかる映像。でも、解散という切ないワードとは対照的なまでの会場の盛り上がりに驚くばかり。解散なんていう言葉はすっとんで、前のめりになってしまう。 黒夢を伝説などと言ってしまいましたが、それにはいくつかのワケがあって、そのひとつが、後のバンドに与えた影響。高音、ときにファルセットで歌う清春のボーカルスタイルは、その後のバンド、とくにヴィジュアル系のロックシーンに絶大な影響を与えた。でもそのスタイルを大きく変えるあたりも黒夢らしい。ビジュアル系のファッションからパンク系のファッションにがらりと変えて、音楽性も変えていった。実は黒夢はアルバムごとに音楽性が変わっていくバンドでもあった。その黒夢がデビュー20周年という区切りの年に2作の映像作品をリリースする。ということは、この2作品がバンドのターニングポイントであることは間違いのないだろう。6月を心して待つべし。

海老沼邦明
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