中山莉子&桜木心菜が10周年記念イヤー「私立恵比寿中学」を振り返る

中山莉子&桜木心菜が10周年記念イヤー「私立恵比寿中学」を振り返る
阿部裕華
阿部裕華

「永遠に中学生」を掲げるアイドルグループ、私立恵比寿中学(以下、エビ中)。2022年5月にメジャーデビュー10周年を迎えた。10周年を記念し、毎月10ヵ月連続リリースや2MAN Zepp TOUR「放課後ロッケンロール」を開催中だ。そして9月21日には、アニバーサリーアルバム『中吉』を発売。ファン投票で決まった楽曲、10ヵ月連続リリース発表曲、リレコーディングされた楽曲など、10年の軌跡がぎゅっと詰まったアルバムとなっている。(写真:山本雅美)

本稿ではエビ中の10年を振り返るべく、2014年加入の中山莉子と2021年加入の桜木心菜にインタビューを実施。加入時期の異なる2人からエビ中の思い出と共に忘れられないエビ中ソングを語ってもらった。さらに、『中吉』にまつわるエピソードもお届けする。

中山莉子&桜木心菜、お互いの印象は?

ーKKBOX初登場なので、ぜひ他己紹介をしていただきたいです。

中山:メンバーからは「ヘソ出しマーメード」と呼ばれているのですが、レッスン着からヘソを出していて。エビ中は中学校コンセプトだったから、これまで露出をするメンバーがいなかったんですよ。そんな中、急にお腹を出すメンバーとして現れたのが心菜です(笑)。

桜木:あはははっ(笑)。

中山:今までのエビ中にはいなかったタイプの子だからこそ、すごく武器になるなとも思っています。あと、心菜は負けず嫌いなところがあります。できないことがあるとできるまでやってくるのは本当にすごいことだと思うし、私自身すごく刺激をもらっています。

桜木:ほかのお姉さんメンバーは私たち新メンバーに興味津々だったのですが、莉子ちゃんは「そんなに人に興味がないのかな?」と感じるほどいつも通りで(笑)。

中山:ふふふ(笑)。新メンバーだからといって特別視しなかったからね。それこそ心菜はエビ中に入る前からグループ活動の経験があったし、「私が何か言わなくても大丈夫だよね!」と同じラインに立っていると感じていました。

桜木:その対応がすごく話しかけやすかったんですよ!気を遣わなくていいというか、先輩だけど先輩っぽくないというか……。

中山:先輩っぽくない!?(笑)

桜木:表現を間違えました!(笑)フレンドリーだから、ココユノノカ(桜木、小久保柚乃、風見和香)は気を張らずに接せられるなって。

あとは、いつも美人なのに、ライブになると野獣のようにダンスの動きが大きくて、めちゃめちゃカッコいい。不思議な魅力を持っていて、すごく憧れています。

2021年、7年ぶりの新メンバー加入を振り返る

ー桜木さんはメンバーとして加入する前、エビ中をどんな存在と捉えていましたか?

桜木:6人時代のアルバム『playlist』のライブ映像を見た時、本当にアイドルなのかと疑うほどすごくカッコいいなと思っていました。ただアイドルなだけではなく、アーティストでもあるなって。なのに、昔の曲を聴くとはっちゃけていたりふざけていたりポップだったり……すごく幅の広い楽曲をパフォーマンスできるから、素直にすごいと感じていました。

だからこそ、私たち新メンバー3人が加入したら、これまでとはまた違うフレッシュな風を吹かせたいと思っていました。

ー実際、新メンバーの加入によりエビ中はフレッシュになったと感じていますか?

中山:感じています!ココユノノカの3人が入ってきてくれたことで、6人体制の時とはまた違った楽曲をパフォーマンスできるので、本当に良かったなと思っています。

ー中山さんとしてはエビ中に加入から7年経ってようやくの後輩メンバーだったと思います。当時は新メンバーの加入に対してどんな気持ちだったのでしょうか?

中山:今後も長くエビ中が続いていくためにも、新メンバーの加入自体は喜ばしいことだと思っていました。だけど、既存メンバーが経験してきたことって当たり前だけどココユノノカは知らないわけで。加入後すぐは、その経験やエビ中に対する思いのギャップに悩まされる時期もありました。でも、この1年の間で3人のエビ中への向き合い方がすごく変わって。「もっとエビ中を知ろう!」としてくれるようになったから、今は9人でのまとまりを感じています。

ーエビ中への向き合い方に変化があったのには、何かキッカケがあったのでしょうか?

桜木:去年出演させていただいた「@JAM EXPO」の前日に、お姉さんメンバーとレッスンの先生にガツンと怒られたことがキッカケです。正直、それまでの数か月間は自分がエビ中のメンバーである自覚や意識があまりなくて。そんな中、お姉さんメンバーから呼び出されて「今日のリハ、ちょっとやばかったよ。6人が向いている道と、3人が見ている道が全然違うように思えた。同じ方向を目指さないといけないよね。」と言われたんです。そこでようやく「私はエビ中のメンバーなんだ!」という意識が芽生えました。特に、彩ちゃん(安本彩花)から言われた「自分のペースでいいから、1本の木の幹に向かって走っていくことをイメージしてみて。」という言葉がすごく印象に残っています。「ちゃんとやらなきゃ」って気が引き締まりました。

中山:私はその時、療養中でいなかったのですが、録音してくれたメンバーがいて、後々聞いたんですよ。たしか2時間くらいあったのかな……。すごく時間をかけて話し合っていて、それがあったからちゃんと同じ方向を向けたんだろうなと感じました。

活動の中で印象に残っている思い出

ー今のお話からの流れで、加入から今までを振り返り、特に印象に残っていることを教えてください。

中山:廣田あいかちゃんの卒業ライブの翌日、6人体制で初めてのライブ(私立恵比寿中学新春大学芸会 ~ebichu pride~)ですね。あいかちゃんはエビ中の中でもセンター級の子だったから、「6人でどうやっていけばいいんだろう」と思っていたんですよ。たぶんファンのみなさんも「このメンバーでやっていけるの?」と思っていたはず。そんな中、6人体制での初披露曲「響」をebichu prideのステージで歌ったら、気持ちが無敵状態になったんですよ。いろんな意見があるかもしれないけど、6人でやっていくしかない。6人でだってちゃんと一つになれるんだ。そう思えたステージだったので、特に印象に残っています。

6人体制だからこそ出会えた楽曲がたくさんあったし、良い経験もできたので、私の中では6人だった3年間は思い入れがあります。それこそ、6人になったタイミングからメンバー同士で話し合いをするようになったし。

桜木:へぇ……!

中山:それまでは大人のみなさんの意見についていくだけだったけど、私たちメンバーも大人になってきたからみんなで意見を出すようになっていきました。

桜木:私はさっきお話しした意識が変わったキッカケが一番印象に残っているのですが……(笑)。それ以外だと、今年の春ツアー(私立恵比寿中学 10th Anniversary Tour 2022 ~drawer~)ですね! 私が加入してから一番大きなステージだった「私立恵比寿中学 大学芸会2021~Reboot~」は最高の景色を見せてもらったし楽しかったのだけど、自分の殻を破けなかったと感じていました。それが少し悔しかったのですが、春ツアーでは一皮剥けることができたと実感したんです。周りからも「成長したね」と言われるようになりました。

何よりお姉さんメンバーや同期の柚乃と和香ともすごく距離が縮まって仲良くなれた気がして。エビ中の活動がめっちゃ楽しい!と思えるようにもなったので、印象に残っています。

中山:私は逆に、春ツアーは課題が残るツアーだったな……。

ーどんな課題を感じたんですか?

中山:9人体制になってからリリースしたアルバム『私立恵比寿中学』に収録されている「ナガレボシ」や「宇宙は砂時計」など、6人体制の時とはイメージの異なる楽曲に難しさを感じていました。本来はツアーを通して克服して成長しなければいけないのに、最初の方は体調を崩していたこともあって、満足のいくパフォーマンスができないままツアーが終わってしまったんです。心菜とは逆に殻を破れなかったんですよね。

でも、その悔しさが「まだアイドルでいたい」と思わせてくれました。私、正直アイドルでいることをちょっと諦めていたんです。だけどツアーで上手くできなかったから、「このままじゃダメだ!もっと頑張らなきゃ。」って。自分が満足できるまでは続けていこうと思えるツアーだったので、私としても印象に残っています。

それぞれの「忘れられないエビ中ソング」

ー今回は10周年記念として、それぞれの「忘れられないエビ中ソング」を2曲ずつピックアップしていただきました。中山さんは先ほどお話しいただいた「響」、もう1曲に「Anytime, Anywhere」を選んでいます。

中山:ココユノノカとはまだ距離があって一つになり切れていない時期のレコーディングだったのですが、「Anytime, Anywhere」でメンバー9人が一つになれたと感じたんです。パートが細かく分けられていたから、気持ちが一つになっていないと歌えない曲で。この曲を歌ったことで、一つになれたと感じたし、9人でもっと頑張りたい、9人でも大丈夫だと思えました。すごく救われたと感じる曲なので、今回選ばせていただきました。

出典元:YouTube(エビ中のエビちゃんねる!)

ー桜木さんは「イヤフォン・ライオット」「ラブリースマイリーベイビー」の2曲を選んでいますね。

桜木:どちらもレコーディングで苦戦した楽曲なのですが、思い入れがあります(笑)。「イヤフォン・ライオット」は加入後初めての楽曲で、2サビとラップパートをいただけたのがすごく嬉しかったんです。歌詞やメロディも明るく前向きで、アイドルらしさがあって、高音部分に苦戦はしたけど自分自身も練習しながら明るい気持ちになれました。ライブでやっていてもすごく楽しい楽曲です。

出典元:YouTube(エビ中のエビちゃんねる!)

桜木:「ラブリースマイリーベイビー」も高音が出ない問題があって、レコーディングの時は何テイクも何テイクも歌い直していました。歌っていたら何が正しいのか分からなくて、結局納得のいかないままレコーディングを終えてしまったんです。だけど、7月のファミえん(エビ中 夏のファミリー遠足 略してファミえん in 山中湖 2022)でパフォーマンスした時、高音が空の下・山の中でキレイに抜けたような感覚があって。ようやく手ごたえを感じることができました。ライブで歌う機会の多い曲だからこそ、成長を感じられる曲でもあるので、忘れられないエビ中ソングに選びました!

ーエビ中のほかのメンバーの皆さんからも「忘れられないエビ中ソング」を選んでもらったのでここで紹介します。

真山りか

♫「MISSION SURVIVOR」

ファミえん2016の時の雨の中でのパフォーマンス当時8人メンバーがいたのですが、ずぶ濡れになって全員ハイテンションになりながら1人ずつ「それそれ」煽りをしたことが印象的でした。

♫「まっすぐ」

大切なパートをいただいてレコーディング後にもう一度取り直したことが初めてだったのですごく印象に残ってます。歌いこなすまでに時間もかかりましたし、自分自身を育ててもらった一曲になりました。

安本彩花

♫「春の嵐」

エビ中の新たな魅力を引き出してくれた一曲だなと思います。

♫「涙は似合わない」

エビ中prideという勝負のライブでこれから訪れる困難に負けて溜まるか!って思いでセリフを言った記憶が今でも鮮明に浮かびます。

星名美怜

♫「えびぞりダイアモンド」

私たちの初のオリジナルソングで、初披露したライブの光景を今でも思い出します。ここで山田さんに出会い、音楽の楽しさ、自由さを知ることができました。

♫「ジャンプ」

今のエビ中の武器のひとつだと思っています。イントロが流れるとライブの空気をガラッと変える影響力を持っていて、当時の私たちの背中を押してくれた曲です。勝負だという時に強い味方でいてくれます。

柏木ひなた

♫「どしゃぶりリグレット」

エビ中に入って初めて歌割りをもらえて、大役を任せていただいた楽曲です。冒頭のタイトルセリフは本当はなかったけど、急遽追加されました。RECの時のことも覚えています。

♫「手をつなごう」

エビ中で唯一アカペラで始まる曲で、そこを任されたのが大きい理由です。本当はアカペラなどなかったけど出来あがった音源を聴いたら、急にアカペラで始まりびっくりしました。

小林歌穂

♫「響」

6人になって踏み出す時の大事な曲のひとつで、この歌すごく好きです。サビの“ここにいるよ 君が存在証明”だという歌詞が、本当にファミリーやメンバーのおかげで、私が存在してる事が証明されているなと思って泣きそうになります(笑)。

♫「バタフライエフェクト」

この曲から私と中山莉子がエビ中に参加させてもらいまいした。自分の声がCDから聴こえるのかすごく新鮮でした(笑)。レコーディングもMVも全てが初めてだったので忘れられません(笑)。

小久保柚乃

♫「ヘロー」

自分の中で新しい歌い方をしてみたりした曲だからです。

♫「さよなら秘密基地」

はじめてレコーディングでイラストをかいて曲に対するイメージだったりとかをしっかりもった状態で録れた曲だからです。

風見和香

♫「イヤフォンライオット」

9人体制になって初めての曲。ちょうどこの曲が出たタイミングで私たちがコロナウイルスに感染してしまっていろんなことが思うようにできなかった時だったので、その中でからをぶち破ろう!っていうこの曲がとても支えになってくれました。

♫「Anytime, Anywhere」

レコーディングした時はどんな感じになるのかわからなかったけど、昨年の大学芸会最後にみんなで歌った時、会場にいる全員がひとつになった感じがして、この曲を歌えてよかったなと思いました。

10周年アニバーサリーアルバム『中吉』

ーでは、9月21日発売のアニバーサリーアルバム『中吉』から、オススメの曲をピックアップしていただきたいなと。いかがでしょうか?

中山&桜木:迷う!

中山:私は「仮契約のシンデレラ」。エビ中のメジャーデビュー曲なので、私が加入する前の曲なんですけど、当時の「仮契約のシンデレラ」を聴くとみんなキャピキャピしているんですよね(笑)。それを今回リレコーディングしたことで、お姉さんになったメンバーの声が聴けたり、セリフパートがココユノノカになっていたり、いろんな変化を感じられて。メジャーデビュー時と今回の「仮契約のシンデレラ」を聴き比べて変化を楽しんでほしいです。

出典元:YouTube(エビ中のエビちゃんねる!)

中山:あと、「エビ中出席番号の歌 その3」もお気に入りですね。「その1」「その2」から引き続き前山田(健一)さんが作詞作曲をしてくださっているのですが、「その3」はメンバーも一緒に歌詞を書いているんですよ。みんなで「こういう歌詞を書きたい」と作りました。

桜木:全部オススメだけど、「へロー」かな。今年いっぱいで転校するひなちゃん(柏木ひなた)と歌詞の意味がマッチしているんですよ。切ないけど、温かくて日常の美しさを感じられる曲。朝起きた時に聴くと「あ、いい……。」ってなる曲だと思います(笑)。

中山:あはは(笑)。

桜木:MVもすごくいいので、MVと共に聴いてほしいです!

出典元:YouTube(エビ中のエビちゃんねる!)

桜木:それから「Bang Bang Beat」は初めて聴いた時にメタルやラップなど1曲にいろんなジャンルが入っていて面白い曲だなと思いました。レコーディングの時も「今、どのジャンルの曲を歌っているのかな?」と思うほど(笑)。初披露したファミえんでは、ファミリー(エビ中ファンの愛称)のみなさんが初めてとは思えないくらい一緒に振りをやってくれたんですよ! 「すごく一体感の生まれる曲なんだ!」と思えた1曲なので、お気に入りです!

ー中山さんは『中吉』の中でライブで思い入れのある曲はありますか?

中山:ひなたちゃんがメインの「紅の詩」ですかね。「あと何回聴けるんだろう……?」と寂しさと切なさを感じていて。ひなたちゃんが転校する12月までたくさん歌いたいなと思っています。

目指すは「世界的なアイドル」

ー現在『私立恵比寿中学 Major Debut 10th Anniversary 2MAN Zepp TOUR「放課後ロッケンロール」』の最中ですが、対バンツアーは2人にとってどんな刺激を感じていますか?

中山:エビ中メジャーデビュー10周年を記念して、スペシャ(スペースシャワー)さんが企画してくださったことがまず何よりも嬉しいです。そして、アーティストのみなさんが出演してくださるだけでも嬉しいのに、みなさんエビ中に愛を持ってステージに立ってくださったり私たちの曲を歌ってくださったりして……。すごく勉強になりますし、恩返ししたい気持ちが強くあります。このツアーを通して「エビ中、成長したね。」と思ってもらえるように、もっと自分たちも頑張らなきゃと思っています。

桜木:出演してくださるアーティストさんのレベルが高いからこそ、そのアーティストさんのファンも掴めるようにしなきゃって。「どうやったらエビ中のファンになってもらえるかな?」と歌やダンスなどのパフォーマンスはもちろん、表情や個性を出せるように意識しています。そして、対バンしてきたアーティストさんたちの良さを吸収して、これからのライブパフォーマンスの成長に繋げていきたいです。

ー最後に、エビ中の一員として今後の展望をお聞かせください。

中山:今以上に個性爆発できる場にしたいなと思います。エビ中としてだけではなく、一人ひとりが個人の仕事でも活躍して名前を知ってもらって、それをまたエビ中に返していけるように。みんな個性はバラバラだけど、ライブでは一つになれる。そんなグループになりたいですね。私個人としては、お芝居を頑張っていきたいです!

桜木:私はもっと上を目指したいです。お姉さんメンバーの強い個性に負けないくらいココユノノカも個性を出していきたいし、ひなちゃんが転校して新メンバーが加入したら今以上に視野を広げて、日本だけではなく規模の大きいところで戦いたい。ココユノノカで「世界的なアイドルになりたい」って言っているんです。

中山:エビ中のメンバーでその気持ちを持っている子たちがいるだけで嬉しい……!どんどん口に出していってほしい!

桜木:はい!なので、エビ中でワールドツアーをしたいです。アイドルの本場・韓国と音楽の本場・ロサンゼルスでライブをするのが目標!そのために、今は英語と韓国語を勉強中です!

中山:すごい……!

阿部裕華
阿部裕華

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