【特集】ICEx「シブヤ 午後6時」発売記念インタビュー|デビュー半年の振り返りと未来への展望

【特集】ICEx「シブヤ 午後6時」発売記念インタビュー|デビュー半年の振り返りと未来への展望
坂井彩花
坂井彩花

2023年8月にメジャーデビューを果たし、鮮烈なスタートを切ったICEx。平均年齢17歳という若いグループでありながら、音楽的コンセプトに “レトロトイポップ” を掲げ、おもちゃのようなファニーな音色で懐かしさ溢れるメロディーを紡ぐ8人組です。

フレッシュな感性で懐かしい音楽を再定義していく彼らが、2023年12月13日(水)に2ndシングル『シブヤ 午後6時』をリリースしました。ポップな待ち合わせソングの「シブヤ 午後6時」を筆頭に、ノスタルジックなナンバーを4曲収録しています。

今回のインタビューでは「結成から半年たったICExの現在地」をテーマに取材を実施。8人の今を赤裸々に語っていただきました。

思ったことを伝えられるチームになった半年間

──2023年8月のグループ結成から半年が経ちましたが、現在はどのような心境ですか。

志賀:結成当初は「仲良くなろう」とか「これからどうやっていこう」とか考えながら過ごしている時間が多かったんですけど、最近では一人ひとりの意識がグループとしてまとまってきた感じがします。目指す場所が一緒になったことで、ライブやレッスンはもちろん、各々が家で過ごす時間も熱量高く過ごせるようになりました。

山本:最初はお互いの悪いところに目を瞑っている部分もあったんですよ。でも、夏休み期間に同じ家で一緒に暮らして、喧嘩したり話し合ったりしたことで、お互いの悪い部分も認め合うことができました。今では個々のいいところは活かして、悪いところはみんなで話し合ってなくしていこうっていう空気ができています。チームの絆が深まってきたんじゃないかな。

志賀:最年長の自分としては、みんなと一緒に同じ夢を目指して頑張れているのが嬉しいですね。

──「お互いの悪いところを注意して直していこう」と決めるのは簡単ですが、実行していくとなると難しくないですか。

志賀:そうですね。でも僕たちは、これからずっと一緒に活動していくチームですから。ちょっとでも不満があったら伝えて、言われたことは改善してレベルアップのスピードを早めていったほうがいいと思うんです。とはいえ、「嫌だと思ったことは伝えよう!」と決めたわけではなく、自然にできるようになっていった感じなんですけどね(笑)。

──グループでの話し合いは、みなさんで自主的に行っているんですか。

志賀:そうですね。僕たちは地方組も多いので、全員で集まって話す機会を作るのは、そんなに簡単なことではなくて。だからこそ、全員で直接会えるタイミングでは、ずっと話し合っていることもあります。メンバー同士で素直な気持ちを伝えたり、アドバイスをしあったり。自分は最年長なんですけど、年下のメンバーが思っていることを伝えてくれる環境になっているのが嬉しいです。

山本:変にふたり(志賀・中村)とも最年長すぎてないというか。生意気なことを言ってもしっかり受け止めてくれるし、僕らと同じ目線で話してくれる。そういうのが、すごく嬉しいんです。年の差を感じさせない空間をふたりが作ってくれているから、全員が話しやすいんじゃないかな。

筒井:りっくん(志賀)は、持っている空気が本当にほんわかしている。聞き上手だし、自分からも話をしてくれるから、自然とみんながりっくんに寄っていくというか。愛されキャラ的な感じなので。

竹野:言葉にトゲがないし。

志賀:褒められタイムみたいになっちゃった(笑)。自分としては、温世の存在が大きいですね。もともとの自分は、あまり強くいえないタイプだったんです。でも、温世から「年長者としてダメなところは、ダメって言わないといけないよ」と言われて、そうだなと思って。気づかされたのは、温世のおかげだよ。

阿久根:りっくんもおうちゃん(中村)も優しいから、怒るべきタイミングで怒れないんだろうなとは思っていたんだけどね。そういう雰囲気にしたくないんだろうなって。でも、僕のなかでは最年長の人たちに引っ張ってほしい気持ちがあった。信用・信頼しているからこそ、ダメなことがあったら先に意見を出してほしいなってずっと思っていたんです。もちろん、大前提として全員でICExを引っ張っていく気持ちはありますよ。たとえば遅刻とかでも、年齢が上だからといって許されるわけではないし。誰もが対等に意見を言える環境になってきていると思います。

山本:前まではあまり発言しなかった中学生の2人も、最近ではちゃんと意見を出してくれるし。特に八神なんて、しっかりしてるなって思う瞬間が多いよ。

八神:みんなが意見を出しやすい雰囲気を作ってくれているので。そもそも僕は人としゃべるのが、あまり得意じゃなかったんです。だけど、ICExのみんなが家族のようにしゃべってくれるから、「この人たちなら自分の素を見せてもいいかな」と思えるようになった。

筒井:今の八神は、めちゃくちゃふざけまくるキャラなんですよ。急に一発芸をしたり変なことを言ったり、歌いだしたり踊り出したり。グループ加入時に、部屋の隅でずっとスマホを観ていたなんて想像もつかないくらい。どっちが本当の八神なの?(笑)。

八神:どうなんだろう……。でも、どっちも本当の僕です(笑)。

思い描いていたより、ずっとずっとすごいことをしている
──グループの活動としては、デビュー前に想像していたように進んでいますか。

竹野:自分はアイドル活動自体が初めてだったので、何もかもわからなくて、びっくりすることばかり。イベントひとつをとっても驚きがありますし、ファンがついてくれていることも驚きで。リリースイベントをするごとに、いろんなファンがついてくれていてすごく嬉しいです。

志賀:そもそもデビュー前は、どんなふうに活動していくか想像できていなかったというか。ミュージックビデオの撮影だったり、インタビューだったり、予想していなかったことを経験させていただいている感じです。でも、思い描いていた未来より、ずっとずっとすごいことをしている感覚はあるかも。

千田:仙台を拠点に活動していた研修生時代の頃は、東京へ行っている先輩方を観て「うわ、すげえ!」と思っていたんですよ。いざ自分がその立場になると、東京だけでなく大阪や名古屋へも行くので「すごくいろんなところに行くんだな」とびっくりして。こうやってインタビューを受けさせてもらっているのも、普通の人じゃできないことをしている実感があって、すごく楽しいです。

中村:EBiDANの先輩方と一緒になる機会も増えて、いろいろ吸収できるものも多いよね。つい最近、先輩方と一緒にトークバラエティー番組の収録をしたときも、MCしている先輩の姿を見て「いろんなことを考えているんだな」と思いました。間のとり方とか話題の広げ方とか、ICExはまだバラエティー経験が少ないので、勉強になりましたね。

曲から好きになってくれる人を増やしたい

──続いて、ICExの音楽性についてもお伺いしたいと思います。以前のインタビューで筒井さんが「高い音楽偏差値もICExのコンセプトのひとつ」といった趣旨のお話をされていたかと思うのですが、あれは具体的にはどういったことを意味しているのでしょうか。

八神:僕たちがやっている “レトロトイポップ” という新しい音楽ジャンルの良さを、端的に表しているのが “高い音楽偏差値” という表現なんです。“音楽偏差値が高い” って、あまり聞かない言葉じゃないですか。だからこそ、僕たちの音楽の唯一無二さをみなさんに知ってもらえるかなと。

筒井:アイドルとしてビジュアルも大切だけど、曲から入ってくれる人たちも増やしていきたいんですよ。リリースイベントをしているとき、立ち止まって僕たちのことを知ってくれる人が増えたらいいなって思っています。そのために、レコーディングのときには常に100で向き合っていますし、インタビューでは自分たちのこだわりポイントや音楽的な要素も話せるようにしていますね。また、曲がいいだけではなく、僕たちが歌うことに意味のある作品を作りたいとも思っていて。デモとして上がってきた曲を、どうやってICExのものにしていくかというのも大切にしています。僕らが表現するからこそ、より良くなるようにしたいですね。

──たとえば、どのようなことを意識していますか。
志賀:細かいことなんですけど、全員で歌っている部分の切るところやアクセントを揃えるとか。本当に些細なことなんですけど、全員で意識することで聴いているお客さんに躍動感をバーッと与えられたり、聴き心地がいいと感じてもらえたりするので。ただ歌っているだけじゃ、ただの歌声ですからね。表情や感情の込め方などに、一人ひとりの個性を活かしてどう表現していくか自分たちでも研究しています。
竹野:自分はダンスが得意なので、リリースイベントでは顔にめっちゃ集中しています。表現が豊かになるよう意識するというか。けっこう大袈裟に表現して、メリハリをつけるようにしていますね。
──では、“高い音楽偏差値のICEx” を貫くために、心がけていることはありますか。
中村:自分な好きな曲の……。(考え込む)
千田:今、計算してるから。
筒井:右手がすごく動いてる(笑)。
山本:指揮者みたい(笑)。
中村:曲調!自分の世界観を保つために、自分の好きな曲調の曲をいろいろと聴くようにしています。優雅に綺麗に踊るのが僕の世界観だと思っているので、いろいろなバラードを聴くことで、世界観にいろいろな味が出るようにしているというか。音楽を聴くことで得た音の早さや強さといった一つひとつの感覚を、ウェーブの仕方や力の入れ具合いに反映していくんです。「ここだったら優しく流れるな」とか「ここはグワンって勢いよく行くんだな」って考えながらパフォーマンスしています。
八神:自分は土台作りの話になってくるんですけど、そもそもの体力が本当になくて。一番足りていない体力というものが、どうやったら人並みに近づくのかを考えた結果、走り始めました。ランニングマシンも買ってもらって。
全員:え!
筒井:知らなかった。
八神:家で走るのはつまらなくて、結局は外を走ってるんだけどね。とはいえ、ただ走っていてもあまり意味がない気がしたので、最近では人気のない道を歌いながら走っています。息をゼハゼハしながら走ることで、パフォーマンスの練習になるかなと思って。
千田:自分は届ける歌い方を練習しています。「シブヤ 午後6時」だったら、実際に待ち合わせしている風景を思い浮かべながら歌う。頭で想像しながら歌うことで、もっとよくなるんじゃないかなって。

“レトロトイポップ” が「昔の曲センスある!」となるきっかけになれたら

中村:唯一無二感のある楽曲なので、何かを参考にしたというよりも自分たちで作り上げた感覚のほうが強いですね。
志賀:自分はよりリアルな待ち合わせ風景を見せたかったので、僕たちが実際に渋谷で待ち合わせをするときの感じを参考にしました。そういう身近な出来事を曲中に持ってくることで、よりリアルで楽しい待ち合わせの雰囲気を作れたのかなと思います。
──印象的な振り付けなどもあるのでしょうか。
千田:やっぱり間奏じゃないですか。独特な振りというか、初めて見るであろう動きがあるんですけど、そこは印象に残るんじゃないかな。
筒井:間奏でちょっと雰囲気が変わって、ちょっと難しい振り付けに切り替わるのは、ギャップを作れるポイントだから僕はすごく好き。
千田:みんなで1個の形を作って、振りをしっかり揃えて、綺麗に魅せるようにしています。
筒井:あとは、サビの「シ・ブ・ヤ」やね。けっこう真似しやすい振りになっているので、リリースイベントではファンのみなさんが一緒に踊ってくれたり、ペンライトを振ってくれたりしているんですよ。「CANDY」よりもファンのみなさんと一緒に歌って踊って盛り上がって楽しめる曲だと思うので。
──『CANDY』の時と比較して、今作ではどのようなところが成長したと思いますか。
阿久根:自分たちも楽しみながら、お客さんを巻きこめるようになったのは、すごく成長したところなんじゃないかな。「CANDY」のときは、振りを可愛く目立たせるために世界観を大切にしていたんです。
志賀:過剰に自分を見せようと思う人が一人でもいると、綺麗に見えない振り付けがあって。グループで合わせる動作が、1曲のなかでけっこう多かったんですよね。

阿久根:一方で「シブヤ 午後6時」は、お客さんと一緒に踊れる待ち合わせソング。
志賀:コレオグラフにストーリー性があるので、待ち合わせをして出会うシーンがあったり、待ち合わせをしている振り付けが入っていたりするんです。目線を合わせる場面もあるんですよ。個人の見せ方にけっこう自由が利くので、そういう点では「CANDY」よりも自分を魅せられる曲でもあるのかな。
──今作の『シブヤ 午後6時』の収録曲を通して、過去に流行った音楽をレトロトイポップという文脈で再興するのもICExの役割なのではと思ったのですが、みなさんにもそういった意識はありますか。
筒井:最近はTikTokで昔の曲がリバイバルヒットすることが多いので、そういう需要もあると思うんです。僕自身も昔の曲調をかっこいいと感じますし。
千田:昔に流行っていた曲やファッションが現代でも流行り出すことを考えると、僕らの“レトロトイポップ” っていうジャンルが刺さる人も多そうだよね。
筒井:僕たちのお父さんお母さん世代だと懐かしく感じるかもしれませんし、僕たちと同世代だと新しく感じるジャンルなのかもしれないなって。
──実際にみなさんは新しいと感じますか。
山本:小さい頃、両親が車のなかでケツメイシさんとかを流していたから、意外と耳馴染みはあるかも。知らない間に記憶に残っていたっていうか。世の中に出回っている最近の曲って、K-POPとか流行りのものの影響を受けて、どこか似たような感じになってしまっていると思うんです。そんななかICExは、流行のジャンルに染まらないから、唯一無二感をすごく得られる。そういう楽曲を今の若い僕たちが歌うことに、意味があるんじゃないかなって思っています。ICExがレトロな曲を歌うことによって「昔の曲ってセンスある!」と、再び流行るきっかけになれたらいいな。

好きを極めることが、国立競技場に繋がっていく

──みなさんは目標に「国立競技場でのライブ」を掲げていると思います。その目標を達成するためには、どのようなことが必要だと思いますか。
志賀:グループ全体がレベルアップしていくことも大事だと思うんですけど、それぞれが一人でも舞台に立てるポテンシャルを身につけていったら、ICExとして集まったときにすごく力を発揮できると思うんです。個人でも自分磨きをしたり、いろいろなことに挑戦したり。
山本:自分の好きなことを誰にも負けないくらい極めるというか。本当に好きなことだからこそ、極められると思うんですよね。そうやって、一人ひとりがバラエティーやドラマなど多方面で活動できる実力をつけていったら、国立競技場にも立てると思う。
八神:以前に国立競技場でライブをされたグループも、個人でも活躍されている方が多いので。もちろんファンの人の人数もすごく大切なんですが、それだけじゃないんですよね。国立競技場でライブをするためには「僕たちがどれだけ日本に影響を与えられるか」というのも大切になってくる。グループとしても個人としても、日本中のいろんな世代のかたに知られるくらいになる必要があると思います。
竹野:若い世代にはSNSが広まっていますし、そういうツールを使ってICExって聞いたら知ってると言われるくらいまで、知名度を上げていくのも大切なんじゃないかな。
山本:そのためには1日1日を大切にしなきゃだね。焦りを感じているわけじゃないんですけど、20代のうちに国立競技場に立ちたいと勝手に僕は思っているので。
八神:一筋縄ではいかない、すごく難しいことだと思うんですけどね。
竹野:一番大事なのは、コツコツ頑張ること。自分磨きもですし、仕事や練習も一人ひとりがコツコツ頑張っていかないといけない。
八神:与えてもらったお仕事を何も疎かにすることなく、一つ一つ積み重ねていくのも、最上のところに立つ土台を作るのには大事なことかなと思います。自分たちじゃわからないところもあるので、周りの人たちの客観的な意見を元にして成長していくのはもちろんですし。
山本:いいところも「こんなところが優れているんじゃない?」って積極的に褒め合っていきたいよね。今の自分たちは休日しか集まれないんですけど、集まれる時間でやれることをやっていきたいと思います。

あとがき

この仕事を始めてから「人としての度量は必ずしも年齢に比例するわけではない」と実感する日々を送っているのですが、ICExのみなさんもそう思わずにはいられない方々でした。平均年齢17歳でありながら、冷静な視座を持ち、自分のやるべきことをコツコツと頑張っていく。自分が17歳のときには持ち合わせていなかったであろう思考を持ち合わせている彼らの話を聞き、背筋が伸びる思いでした。

とはいえ、ふとした瞬間の表情は、まだまだティーンエイジャー。この瑞々しさと地に足着いた思考力は、最高のギャップだと思います。音楽性もより一層磨かれていく気配があり、今後の活動がますます楽しみになりました。

坂井彩花
坂井彩花

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