Da-iCEニューアルバム『SCENE』発売記念インタビュー|「今作には僕らの “ Scene” を内包している」

Da-iCEニューアルバム『SCENE』発売記念インタビュー|「今作には僕らの “ Scene” を内包している」
阿部裕華
阿部裕華

2023年に結成12周年を迎えたDa-iCEが、2023年5月24日(水)にニューアルバム『SCENE』をリリースした。第64回日本レコード大賞優秀作品賞を受賞した「スターマイン」をはじめ、「これまで積み重ねてきた全てで築く“SCENE”」というテーマのもと作られた楽曲群が収録された意欲作だ。今回は、そんなコンセプチュアルな同作の楽曲制作に多く携わったDa-iCEリーダーの工藤大輝とボーカルの花村想太にインタビューを敢行。今作の制作にまつわるお話はもちろん、新作を引っ提げて行う全国6都市12公演のアリーナツアーの意気込みなど、たっぷりとお話を伺った。

「イマ」から地続きのコンセプチュアルなニューアルバム『SCENE』に込めた思い

──『SCENE』はかなりコンセプチュアルなアルバムに仕上がっていると感じたのですが、コンセプトはどのように決めたのでしょうか?

花村:メンバーやスタッフさんから出てきた意見をすり合わせて決めていきました。みんなと話している中で “Circle(円)”、“Ringing(共鳴・高らかな宣言・1回り=12周)”、“Afterimage(残像)”、“Scene(場所・場面・風景)”という4つのワードが出てきて、この中からタイトルを決めようとなったんですね。でも話し合いを進めていくうちに、“Circle”、“Ringing”、“Afterimage” は “Scene”に含まれるのではないかと気づいて。こうした意見を踏まえて『SCENE』がアルバムタイトルに決まりました。

ほかにも、「ハイボールブギ」が映画主題歌に決まっていたこと、ドラマ主題歌を担当するかもしれない可能性があったことなど、一つひとつのシーンはDa-iCE以外のものでも作られていくと思っていて。その時感じたことを全て内包する言葉が “Scene” だろうというのも理由としてありましたね。

工藤:2022年8月に『イマ』というシングルをリリースしたのですが、アートワークを含めた『SCENE』のトータルブランディングは『イマ』から地続きとなっています。

出典元:YouTube(Da-iCE)

──トータルブランディング、というのは?

工藤:楽曲・ビジュアル・プロモーション・ツアーにおける演出など、制作の方たちのアイデアもいただきながら、メンバーを含めて何回も打ち合わせをして(ブランディングを)決めていきます。例えば、ビジュアル面だとジャケットに肖像を出すか出さないかから考えていますね。そういう細かいところを含めてコンセプトが統一できていると事故が少ないんですよ。いろんな人が動いているからこそ、「思っているイメージと違うんだよね」というズレを少なくできるように話し合うんです。

「CITRUS」「スターマイン」に続く楽曲を

──続いて楽曲に関してですが、「CITRUS」「スターマイン」とヒット曲が続いた中で、「それらをさらに超えていこう」という意思はありましたか?

花村:「超えよう」という意識よりは、「その2曲に続く作品を出さなきゃいけない」という思いはありました。僕らは「楽曲に引っ張ってもらってDa-iCEの名前を押し上げていかなきゃいけない」という気持ちが強くあるんですよ。なので、今回もその気持ちは変わらずに楽曲をつくっていこうと。僕と大輝くんの2人が楽曲制作に多く携わるのですが、昨今ダンスボーカルグループ戦国時代と呼ばれている中で、大輝くんがつくる曲は王道をつくれるのにあえて変化球を投げてくれて、僕がつくる曲は日本語が分かりやすいJ-POPというストレートを投げている。この2軸がDa-iCEにとって重要になってくると思って制作を進めました。

出典元:YouTube(THE FIRST TAKE)

──工藤さんが変化球を狙う意図とは?

工藤:想太が言った「楽曲からDa-iCEの名前を認知してもらう」に紐づくのですが、例えばただカッコいい曲をつくって、突発的に曲の知名度が上がってすぐに下がる構図だと連続性がなくて消化試合になってしまうと考えていて。ファンダムが大きいグループの場合は成立する構図ですが、そもそも日本は人口が限られているからそういうグループは一握りなんですよね。だからダンスボーカルのカルチャーにいない人たちにも「いいね」と思ってもらえないと名前を認知してもらうことは難しい。実際に「いい」と思ってくれる人が増えているかはさておき、そういう方向性で進んでいる姿勢を見せていかないと振り向いてもらうこともできませんから。そのためにも変化球とストレートという幅を見せていくことが重要です。それは対バンツアーを開催したり、ロックフェスに出演したりするのも同じ意味があって。お客さんにはもちろん音楽業界の人たちにも「Da-iCEってそういう道に行こうとしているんだ」というイメージをつくることが大切だと思っています。

花村:例えば、ロックフェスで歌って踊るグループは異色だと思います。だからと言って「せっかく異色なんやから、歌って踊ることを武器にしよう」とは全く思っていなくて。

工藤:うん、そうだね。

出典元:YouTube(Da-iCE)

花村:自分たちが10年以上積み上げてきたMCと楽曲のギャップやキレキレのダンスボーカルを見せるというDa-iCEらしい空間づくりを大切にしつつ、ロックフェスだからこそショーケースでは感じられないライブ感も重要で。ほかのアーティストを見に来ていた人たち、同じステージに立つアーティストの人たち、音楽関係の人たちに「Da-iCE良かったね」と言ってもらえることを第一に考えるようにしています。

「Scene」「Pioneer」楽曲制作秘話

──アルバムタイトル曲「Scene」も、アルバムコンセプト同様にメッセージ性の強さを感じます。作詞・作曲は花村さんが担当されていますが、どのように制作を進めたのでしょうか。

花村:毎回アルバムのタイトル曲はつくっているのですが、今回のアルバムは1曲1曲が “Scene” を内包していると感じたので、僕的にはなくてもいいんじゃないかと思っていたんですね。だけど、会話の中で「そういえば『Scene』って曲がないよね」という話題が出てきて。ということは、ファンの人も同じように思うだろうということで、アルバム収録曲の中で最後に決まったのが「Scene」でした。そこからメンバーみんなで自分の思い描く「Scene」を集めてコンペをしたところ、これがまたかなり粒ぞろいで!メンバー内で絞り切れなかったんですよ。

工藤:粒ぞろいだったねぇ。

花村:そこでスタッフさんにも意見を求めたんです。ライブツアー1曲目に披露することが決まっていたから、1曲目にふさわしい曲にするとなると、ライブ演出やツアー映像を手掛けるクリエイティブチームにも意見を聞いた方がいいと。結果、僕の手掛けた曲に決まりました。僕は大輝くんがつくってくれた曲に1票入れたんですけど、ライブ1曲目のイメージに合った曲だったので悩ましかったです。

工藤:僕は想太のつくった「Scene」がめっちゃ好きで(笑)。ジャンル的にもこういう楽曲が好きだし、今回のアルバムの並び的にも “バキバキの攻め” じゃなくて “大人っぽい攻め” で、ライブの1曲目のイメージが湧いたので文句なしでしたよ。ライブ1曲目でどういう入り方になるのか、今からすごく楽しみです。

花村:『SCENE』というアルバムを形成するにあたって、ほかの楽曲との兼ね合いをみると「Scene」は主張し過ぎない方がいいと思ったんですね。また、Da-iCE結成12周年で、干支のように1周りの中にある紆余曲折を描いていきたいと。薄いスタートから始まった僕らなので曲の始まりは音数を少なく、低迷・伸び悩んだ時期は2番Aメロで音を一瞬なくして、今に繋がる流れをラストの音の広がりで表現していきました。


──工藤さん、花村さんのお二人で制作した「Pioneer」。こちらの楽曲制作の進め方は?

花村:これは「5人曲がほしいよね」とスタートしました。今まで、歌って踊る曲・歌だけの曲・バラード曲を5人でやってきたけど、バキバキなダンスボーカルグループの楽曲は挑戦したことがなかったよねと。

工藤:ヒップホップ的な解釈の楽曲はなかったからね。

花村:そうそう。5人歌唱でDa-iCEがどこまで表現できるか未知数だったから、昨今のダンスボーカルグループ的な要素としてのラップ、ボーカルの抜ける声を活かしてつくりたいとトラックコンペをしました。

工藤:「メロディなし、トラックだけ」のコンペをして、選ばれたトラックからメロディをつくっていきました。メロディの土台を想太がつくってくれたんですけど、これまたむずいメロで(笑)。

花村:Aメロの頭は「小馬鹿にした感じだけど力強いラップに、歌唱力で見せるパートも必要だよね」とサビ後半にハイトーンでぶっ放すパートもつくっていきました。若い子の方が喉が強いからハイトーンや声のパワーは負けるのではないかと思われがちですけど、そこは大人の意地を見せようと(笑)。なので、「Pioneer」はDa-iCEの挑戦を表現した曲ですね。僕らは王者ではない。この歳になっても常に挑戦者側で、それがDa-iCEの強みだとも思うから、若手であろうが挑戦しに行くスタイルを見せたいと思ったんです。

工藤:「Pioneer=先駆者」という意味がありますが、僕たちが業界的な先駆者であるというよりも、アルバム『SCENE』から「一つの“Scene”の先駆者だった」みたいな意味を込めただけで、今はまた違うと思っています。「Pioneer」ではラップを歌っていますけど、基となるヒップホップカルチャーってボースティング=自分を紹介することなんですよね。だから、内容のないラップをやりたくなかった。そういう意味で歌詞には「Da-iCEの道のり」を書かないといけないと。

花村:“Da-iCEのプライド” とかね。

工藤:そういう内容になっていますね。なので、「ダンスボーカルカルチャー全体」「会社」「業界」など、いろんな大人たちに向けて強めの意思をこの曲で表現しています。ダンスボーカルグループの後輩たちはすごく良くしてくれて、みんなのことを僕らは仲間だと思っているので、「そんな彼らをちゃんと守れるのか?」と大人たちに問う曲にしたかったんですよ。

──それはなぜでしょう?

工藤:今、オーディション番組がめちゃくちゃ流行っていますけど、流行に乗ってやってみたものの上手く売り出せずに2〜3年で契約を切って終わりにする未来もあり得るわけですよ。それを想像するとすごく切なくて。そういう現状に物申せるのって僕らより上の世代しかいません。BMSGの日高(光啓)くんは新しい子たちを自分が育てていく形でフォローしていますけど、僕らはそういうことをやれていない。だけど、「しがみついてやる」という強い意思を持って12年続けてこられている事実もあるから、表現者の立場でメッセージを残せるように音楽で届けられたらいいなと思ったんです。

出典元:YouTube(Da-iCE)

刺激を受けた「絢爛なフィナーレ」「Chase」

──今作では様々なクリエイターの方とも楽曲制作をされています。特に刺激を受けた楽曲を1曲ずつご紹介いただけますか?

花村:僕はPenthouseさんとコライトした「絢爛なフィナーレ」ですね。僕と大原(拓真)さん作詞、浪岡(真太郎)さん作詞の曲なのですが、最初は「メロディも一緒に考えますか?」と提案いただいたんですよ。だけど、一緒につくったら気遣いから僕の意見を尊重してくださるだろうと。僕は、Penthouseさんの世界観を僕らに預けてほしかったので、曲のイメージを伝えて作曲はお任せしました。こちらからの手直しは特になく、そのまま歌詞を一緒に書く作業に進んだのですが、「夜の曲」をテーマに仮歌の1番を大原さんに書いてもらったんですね。その上がってきたフレーズが<絢爛なフィナーレ><悪あがきに遠吠え>など、Penthouseさんの世界観が色濃く、刺激的で印象に残るフレーズにインスピレーションを受けました。

そこから好きなフレーズを残したまま、全体を夏仕様に変えていく形で僕が詞を書いたのですが、頭の中で「こういう歌詞にしたらどうだろう」とある種ゾーンに入って歌詞を書いていたようで、歌詞を見直してみると「本当に自分が考えた詞なのか?」と思うくらい詩的で。僕はいつもストレートに歌詞を書くのですが、割とふわっとしていて工藤さんが書いた詞みたいになっているなと(笑)。

工藤:あははは、たしかに詩的だね(笑)。

花村:「自分はこういう書き方ができる時もあるんだな」とすごく勉強になりました。こうやって可能性を広げていく機会ができれば、もっと大輝くんやPenthouseさんのように良いフレーズを考えることできるかなと思いました。

工藤:僕は「Chase」ですね。刺激を受けたというよりも、m-floの☆Taku(Takahashi)さんと一緒につくれたことが嬉しかった。昔からオタクと言えるくらいチェックしていたので(笑)。過去には「Blackjack」という楽曲を☆Takuさんにつくってもらっているのですが、一緒につくるのは初めてで。「Chase」をつくり終えたあと、「また違う曲もつくろうよ」と言っていただけたんですよ。そんな風に言っていただけたこと、何となくでも次のクリエイティブに繋げていけることが、12年音楽をやってきた財産だし幸せだなと思いました。去年から今年にかけて、そういうことがいっぱいありました。

花村:それこそ、秦(基博)さんとか(コブクロの)小渕(健太郎)さんに「CITRUS」の歌詞を褒めていただけるタイミングがあったんですよね。自分たちが尊敬している人たちに「ここが良かった」と言っていただけたことは素晴らしく嬉しかったです。

工藤:本当ですよ……。アルバム収録曲ではないですけど、想太と(大野)雄大がCHEMISTRYさんとコラボした「スパロウズ」もね。トータルプロデュースと作詞を松尾(潔)さんがしてくださって、曲を聴いたら「僕らの世代(に流行った曲の雰囲気)じゃん!」って思うくらいめちゃくちゃ感動しました(笑)。

出典元:YouTube(CHEMISTRY Official YouTube Channel)

対バンツアーを始めて、中学生〜高校生のときから自分たちの体に染みついている(音楽家の)人たちと出会ってリアクションをもらえていて。それにすごく幸せを感じます。

──今後もいろいろな方とコラボしていきたい気持ちは強いのでしょうか?

工藤:そうですね。プレイヤー(アーティスト)の方だけではなく、有名な楽曲を手掛けてきた僕らが大好きな職業作家の方もたくさんいるので、「このタイミングでこういう曲を出したいよね」という然るべき時にお願いしたいと思っています。自分たちでつくる楽しさはもちろんありますけど、そういうレジェンドの方たちの力もお借りしたいですね。

花村:また松尾さんと一緒にやりたいですね。

工藤:松尾さんと一緒に作ったら泣いちゃうよ……。今をときめく日高さんもね。僕らが張っているアンテナを頼りにお願いして完成した作品に対して、「いい」と思ってもらえることが楽しいので、そういう曲づくりも続けたいなと思います。

アリーナツアーへの意気込み「持っているパワーを150%出す」

──新作を引っ提げたアリーナツアー『Da-iCE ARENA TOUR 2023 -SCENE-』が6月からスタートします。ぜひ意気込みをお聞かせください。

花村:イベントではお客さんの100%の声を聴いているのですが、Da-iCE単体のツアーとしては久しぶりなのでお客さんの声援を糧に頑張りたいなと思っています。21年に50%キャパで初のアリーナツアーを開催した時は歓声が聞こえず、アドレナリンが出切らなかったんですよ……。それはオンラインライブでも同じでした。100%でやっているつもりだけど、自分たちで後で見返すと足りていなかったと思う瞬間がたくさんありました。自分たちの力だけでアドレナリンを最大限に出すことができればいいのですが、僕らは未熟なのでお客さんのパワーをお借りして初めて本当のDa-iCEになれるんですよね。

工藤:オンラインライブはカメラの位置とか気にすべきことを分散させなければいけなかったけど、今回のツアーは楽しんでもらうことに集中力MAXで挑めるので楽しみだよね。

花村:そうなんですよ。今持っているパワーの150%が出るんじゃないかなと思うので、Da-iCEの限界をぜひ見に来てほしいなと思います。

出典元:YouTube(Da-iCE)

工藤:また、今までのライブは演出家さんに出してもらったざっくりとした流れを練っていったのですが、今回はアルバム『SCENE』になぞらえてセクションごとに各 “Scene” を決め、それを基にセットリストを組んでいて。前後の “Scene” も繋がるようにしていて、アルバムと密に連携する演出を試みています。

花村:いつもは衣装さんにイメージを伝えて丸投げしていたのですが、今回は明確なビジョンがある大輝くんに衣装として入ってもらうという試みもしていて。衣装さんとコンタクトを取りながら進めてもらっています。過去にはフィッティングを5回やり直したり、幕が開いてから服を選び直すことがあったりして……(笑)。「どうしよう、なんかイメージと違う」「衣装集めてもらっているのに、ライブ初日まで5日しかない」とかあったんですよ。今回は大輝くんが入ることで、そういうことなくまとまりが出るのではないかと思っています。

──すでに衣装のイメージは固まっているんですか?

工藤:衣装を集めてもらっているところです。幕間映像の撮影もあるので早めに動いています。これに関しても、過去に時間がなくて幕間映像とライブ当日の衣装が連携しなかったことがあったので、それは避けたいなと。衣装は視覚的に分かりやすくするために、テーマと共に過去の衣装資料を全部渡した上で「メンバーそれぞれの好きな形があるから寄せてほしい」と伝えているところで。今回どういう感じになるか、実験ですね。

花村:あと、ツアー用にバンドアレンジをしているのですが、そこにも大輝くんが入ってくれていて。すごく重荷だと思うから、なるべく振り分けられたらいいのですけど……難しいので……!バンドも衣装もたくさん研究しているのは大輝くんだけだから、そこは頼らざるを得ないという。だけど、別のところでそれぞれのメンバーが何か担えたらいいなと思うので、僕は「情熱担当」で頑張ります!(笑)

工藤:あははは!(笑)



阿部裕華
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