日本でいちばん子供たちに優しい音楽フェス「Rocks ForChile」ってなに?

日本でいちばん子供たちに優しい音楽フェス「Rocks ForChile」ってなに?
KKBOX編集室
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2019年5月11日&12日の2日間に渡り、大阪の服部緑地野外音楽堂で開催された〈Rocks ForChile(ロックス・フォーチル)〉は、「子供たちの未来へ 、音楽をつなぐ 、夢をつなぐ」をテーマに開催された親子で楽しめるロックフェスです。HYや、TRICERATOPSの和田唱、福原美穂が子供たちとセッションしたり、ダイノジの二人が「こどもダンス教室」を開くなど、子供から大人まで笑顔が溢れた2日間となりました。今回、ご自身も「ラジオDJ達による絵本の読み聞かせ」で参加した西村愛さんに〈Rocks ForChile〉の魅力と、そこに関わったアーティストやスタッフにお話を聞いてもらいました。西村さん自身も3歳の男の子のお母さんです。

〈Rocks ForChile〉のこれまで

2017年にスタートした〈Rocks ForChile〉。今年は趣旨に賛同した総勢21組のアーティストが参加、初めて2日間の開催となりました。〈Rocks ForChile〉の収益の一部は「セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン」を通じて子供の権利を守る為の活動への寄付や、大阪府民みんなで子どもを守るプロジェクト・児童虐待ゼロを目指す「ゼロ会議」の支援、そして児童養護施設 「大阪西本願寺 常照園」「聖ヨハネ学園」への楽器寄贈に使用されています。


出典元:YouTube(Rocks ForChile)
※映像の後半に楽器寄贈の様子が収録されています


〈Rocks ForChile〉を企画・運営するスタッフの方に、その想いをお聞きしました。

—2017年開催のあと〈Rocks ForChile〉の収益の一部で児童養護施設にギターを寄贈させて頂いたんです。その時に、ほとんどの子供たちが虐待で引き取られているという事を聞いて驚きました。心の何処かに大人に対してのトラウマがあると思うし、施設を出た後の進学も就職も簡単ではない。将来が明るいかというと、そういうわけではないと聞きました。でも、ミュージシャンや裏方の我々も、音楽の仕事をしている人たちに学歴など関係なく、音楽が好きということだけで繋がっています。僕もビートルズが好きっていうことだけで、70代の大先輩とも、20代の若者とも仲良くなれる。音楽は共通言語ですから世代や国籍も関係ないんです。「そんな風に音楽が好きで、それが仕事になる事もあるんだな、大人って楽しそうだな」と思ってもらえれば嬉しいです。

スタッフの皆さんと一緒に、ダイノジの大谷さんも楽器寄贈に行ったそうですね。

—最初、子供たちは遠巻きに見ていました。でも僕らがエレキギターをジャーンと弾いてみたら、「弾かせて」と近寄ってきたんです。音楽で心の距離が近くなった瞬間でした。

常照園の小川園長にもお話を聞きました。

—子供たちがエレキギターを演奏する機会ができたことで、日々の生活に新たな色合いが増え、生活がより楽しくなったようです。中学生の女の子も「ギターを教えて」と、職員とのコミュニケーションが増えました。自分がこういう風になりたいという自己実現が生まれるきっかけになったのかなと思います。身近にいる大人のモデルが職員だから「先生みたいな保育士になりたい」という子もいるんですよ。ダイノジさんと一緒にエレキギターを弾いたことや、〈Rocks ForChile〉のライブを観たことで、新たな職業を目指すきっかけになっているんじゃないかと感じています。


出典元:YouTube(Rocks ForChile)

今年はその常照園の子供達も準備の段階から参加していますね。

—ステージの装飾は、子供たちの手づくりです。4歳から16歳までの約30人の子供たちが想いを込めて作りました。髪の毛にペンキがついたりしながらも、みんな夢中になって製作を楽しんでいました。

常照園の子供たちは、自分たちが作ったフラッグやてるてる坊主を取り付けるなどの準備にも参加。イベントスタッフとの触れ合いもあり、和やかなムードで準備が進められていました。


子供たちが思いっきり楽しめるロックフェス

今年の〈Rocks Forchile〉には初めての試みもたくさんありました。そのひとつが「こども新聞」です。こども記者によるアーティストの似顔絵と紹介文が書かれた「Rocks ForChile NEWS」に、出演者のみなさんも思わず笑顔。ダイノジ大谷さんは、嬉しくてSNSのアイコンにしたそうです。ライブ後には、こども記者がアーティストにインタビューも行いました。この様子は、後日〈Rocks Forchile〉公式サイトに掲載されるのでお楽しみに。


服部緑地野外音楽堂の周辺にも様々なブースやステージが登場。地元豊中市にある庄内図書館の協力で青空図書館もオープンしました。おもちゃで遊ぶことができる「フォーチルランド」は来場者からの寄付で実現しています。イベント終了後におもちゃは、常照園と聖ヨハネ学園に寄付されるとのことです。


大人たちが常照園のブースで「里親制度」についての話を聞いている間に、ブースの前で玉入れをしている子供たちの笑顔も見られました。参加していた女性は「里親制度はニュースで聞く事はあったけど、詳しく知ったのは今日が初めて。知る事ができてよかったです」と話してくれました。


また関西の各局で活躍するラジオDJが、ボランティアで絵本の読み聞かせをするコーナーも登場。私が読み聞かせをした時も、赤ちゃんから大人までたくさんの人が耳を傾けてくれました。その他にもダイノジのお二人による「こどもダンス教室」や、うじきつよしさんと佐々木亮介(a flood of circle)さんの「こどもギター教室」、HYの「手作り楽器教室」など盛りだくさんの内容です。


アーティストと子供たちによる大セッション

〈Rocks Forchile〉で子供が主役になったのは、アーティストと子供たちのセッション・ステージです。初日は福原美穂さんが自身の楽曲「JOY」を子供たちと一緒に披露。緊張している子供たちと一緒に並んで、福原さんはひとりひとりの歌声や楽器の音に優しくマイクを向けていきます。するとステージの子供たちの笑顔がどんどん広がり、客席では一緒に練習をしてきた家族も一緒に笑顔で歌うという素敵な空間が生まれていきました。セッションの後、福原美穂さんにお話を伺いました。


初めて参加した〈Rocks Forchile〉はどうでしたか?

福原:みなさん好きなように音楽を楽しんでいる感じだったので、それがすごくいいなぁと。私も好きな感じで歌おうと思って自由に歌えました。子供たちが引き出してくれたような気がします。

子供たちとのセッションいかがでしたか?

福原:「JOY」はD♭のキーなので、ギターを演奏する子供にとっては演奏が難しい曲だったと思います。でもリハーサルでちゃんと弾いてくれているのを聴いて、相当練習してくれていたんだなと嬉しくなりました。子供たちからミュージシャンシップを感じ、そして子供たちからエネルギーをもらいました。

子供たちへメッセージをお願いします。

福原:チャレンジすることを忘れずに。そして自分の見える景色じゃないところにもいっぱい旅をして、世界は広いんだよということをどんどん体感して欲しいなと思います。


2日目はTRICERATOPSの和田唱さんが登場。緊張しながらステージ裏でスタンバイする子供たちに、BravoのYOSUKE(ヨースケ@HOME)さんやスタッフが笑顔で声をかけるなど、バックステージまで温かなムードでした。和田さんは子供たちと演奏する曲をいろいろ考えたそうで、今回選んだのは世代を問わず楽しめるディズニーの曲。ギター弾き語りでディズニーメドレーを歌い、ステージに登場した子供たちと一緒に「It’s A Small World」をセッション。


世界はせまい

世界はおなじ

世界はまるい

ただひとつ


演奏が終わった後に「もうちょっと歌おうか?」という和田さんの声に、子供たちは「うん」とうなずきアンコールも披露。最後に子供たちとハイタッチするなど、愛が溢れるステージとなりました。


子供たちとのセッションはどうでしたか?

和田:子供たちとセッションをしたいというのは以前から思っていました。今回初めて実現できて良かったです。ステージが終わった後に、子供たちが打ち解けてくれたのも嬉しかったですね。

こども新聞には、和田さんの紹介文と似顔絵も載っています。

和田:これも嬉しかったですね。「あ、こういう風に聴こえているんだ」と。俺、自信持とうと思いました(笑)。

「高く、やさしく、なめらかな声の和田さん。とくちょうのあるこの声は、まさにかんぺきです。」と書かれていますね。

和田:自分の声は「甘い声」と言われることがあって…。ロックミュージシャンだから、もっとハードでざらついた感じに憧れていた時期もありました。でも持って生まれたものはギフトだから、それを生かそうと最近は思うようになったんですね。その矢先にこの紹介文ですよ。自信を持って、自分の声を生かしていこうと思いました(笑)。この紹介文と似顔絵を描いてくれたこども記者さんに「ありがとう」と伝えてください。

子供たちへのメッセージをお願いします。

和田:ひとつでいいから、好きなことを貫いていってください。好きなことはその子にとっての使命だから。それを大人が否定するべきじゃないし、止めるべきじゃないと思います。人に何と言われようと、自分の好きなことを貫いていって欲しいですね。


セッションに参加したお母さんにお話を聞くと「最初はどうなるかなと心配でした。それが練習でみんなとセッションするうちに楽しくなって、家でも一生懸命練習するようになったんです。ステージで演奏して『すっごく、すっごく楽しかった。とても自信がついた』と話しています」と教えてくれました。子供たちにとって、未来への大きな一歩になったようです。


そして〈Rocks ForChile〉のラストを飾るHYのライブでは「手作り楽器教室」に参加した子供たちがステージへ。空きカンで作ったミニドラムと、マラカスを持ってフィナーレで一緒に演奏をする光景に子供たちへの愛を感じました。


会場では、常照園の子供たちが作ったビスコッティ450個も完売。ダイノジの大谷さんや、うじきつよしさんも子供たちと一緒に声をあげて販売しながら歩いていました。この売上はすべて子供たちの進学の資金に使われます。常照園の小川園長は「美味しいと言いながら食べてくださっている人を見ると、趣旨に賛同して子供たちを応援してくれているんだなと嬉しくなります」と笑顔で話されていました。

子供が笑顔になると、大人も笑顔になる。そして我が子だけではなく、みんなの未来を一緒に考えるきっかけがこのフェスにありました。

子供たちの未来へ 、音楽をつなぐ 、夢をつなぐ〈Rocks ForChile〉。

来年は、あなたも参加してみませんか。



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