第16回KKBOX MUSIC AWARDS ライブレポート

第16回KKBOX MUSIC AWARDS ライブレポート
石井三紀子
石井三紀子

今年で開催16回目となるアジア最大級の音楽アワード「KKBOX MUSIC AWARDS」が3月13 日、台北流行音樂中心(Taipei Music Center)で開催されました。受賞アーティストは、台湾だけでなく、香港・シンガポール・マレーシア・日本・タイなどの国々の前年度の年間再生数・ダウンロード数などを基に選ばれ、東アジアの音楽シーンのトレンドを反映する重要なイベントです。


開催16回目を迎えた今年のメインテーマは「Turn Up 放大聲音」、ボリューム全開に、自由に、多元的角度から音楽を楽しもう!という思いが込められています。今回のアワード開催会場となった南港エリアにある「台北流行音樂中心」(Taipei Music Center)は、2020年に完成したばかりの台北の新しい音楽拠点です。
そして今回、初の試みとして、アワード開催に合わせミュージック&フードフェス「催下去音樂節 Turn Up Fest.」も3月13 日、14日の2日間にわたり南港エリアで行われました。屋外フェスは入場無料(新型コロナウィルス対策のため、IDカードの提示、手の消毒、体温チェックも行われ、入場者はマスク着用必須)、2つの屋外ミュージックステージではアワードにも登場した期待の新人アーティストたちのパフォーマンス、さらに茄子蛋(EggPlantEgg)やKimberley(陳芳語)などの豪華ゲストも登場しました。さらに音楽に関するPodcastの公開収録も行われ、入場整理券をもらうための行列もできていました。


フードフェスエリアには、「年度風雲歌手」に選ばれたラッパー瘦子E.SOがプロデュースに携わるバー「MADEMAN」のカクテル屋台や、茄子蛋なども足しげく通う人気火鍋店「詹記麻辣火鍋」の屋台が出たりと、音楽性に富んだオシャレな屋台が揃いました。

アワードでは、2020年を代表する「年度風雲歌手」に選ばれた6組をはじめ、全21組のアーティストが登場。アジア各国のテレビやYoutube、APPなどでもLIVE中継されました。
今年のアワードの司会も、安定のトーク力と広い層からの人気を集めるLulu(黃路梓茵)が担当。好評につき、ここ数年はLulu がKKBOX MUSIC AWARDSのMCを任されています。


今年のオープニングアクトを務めたのは「年度風雲歌手(Artist Of The Year)」にも選ばれたラッパーの瘦子E.SO。2020年にリリースしたアルバム「Outta Body靈魂出竅」は、収録全曲が好成績を収め、台湾の華語チャートで10週連続1位という大ヒットを生み出しました。アワードでは「Outta Body靈魂出竅」から「WAIT」、「稱讚她的美」、「Don't Worry About Me」、「CHANGE」の4曲を熱唱。小春(Kenzy)、大淵(Muta)との台湾語ヒップホップユニット「頑童MJ116」での活動も順調で、ますます目が離せません。



昨年、アジアのグラミー賞と言われる「金曲賞」で「年度專輯獎」を受賞した魏如萱(Waa Wei)は、意外にもKKBOX MUSIC AWARDSには初登場。MCのLuluとの軽快なやり取りでも会場を笑いの渦に巻き込んでくれました。「娃娃」(お人形さん)という彼女の愛称にぴったりな、まるでおとぎ話の世界かのような演出、衣装で代表曲の「你啊你啊」、「彼個所在」、そしてこの舞台で新曲「HAVE A NICE DAY」を初披露してくれました。



昨年、OSN(高爾宣)と共にリリースした「愛上現在的我」が台湾の華語チャートで連続27日1位を記録した閻奕格(Janice Yan)も「年度風雲歌手」を受賞しました。白い羽を背負って、グランドピアノと共に登場した姿はまるで天使のようで、透き通る歌声とピアノの弾き語りで「也可以」を披露。そして2020年を代表する台湾映画のヒット曲、TANK(呂建忠)の「你的情歌」、盧廣仲 (Crowd Lu)の「刻在我心底的名字」を彼女らしくアレンジし、2020年の台湾音楽シーンを振り返りました。早着替えで衣装をチェンジした後は、自身のヒット曲「分就分了」、「愛上現在的我」を歌い上げ、会場は感動の渦に包まれました。MCのLuluが「愛上現在的我」の歌マネを披露したところもキュートでした。



アワード初登場の 告五人(Accusefive) は、五月天(May Day)の後輩にあたる男性と女性のダブルボーカルにドラマーという珍しい構成の3人組バンド。幅広い年齢層から支持を集め、2020年末にリリースしたアルバム「運氣來得若有似無」はKKBOXの台湾華語チャートで6週連続1位に輝きました。「醜人多作怪」、「在這座城市遺失了你」そして彼らの代表曲「披星戴月的想你」を演奏しました。



「2021 潮流新聲 Rising Star」として選び出された10組の期待の新人たちのパフォーマンスにも注目。ラッパー2人組のG22は軽快なジャズとヒップホップを組み合わせたナンバー「DEJAVU」、ヒップホップユニット8BallのリーダーでもあるHowZは、ソロで登場。ゆったりとしたサウンドが心地よい「Butter」を披露。



191㎝という高身長なスタイルでも話題を集めるJinboは80年代を思わせる軽快なダンスナンバー「Dance 」で会場を盛り上げました。ネクストブレイクの期待がかかるAsiaboy 禁藥王& Lizi 栗子は、「都關掉」、「PIMP」を熱唱。



つば広帽をかぶり、顔は見せないスタイルで神秘のベールに包まれた新人シンガー ?te壞特も登場。ソウルミュージック風のナンバー「Seh Ah She」を披露しました。采子は失恋ソング「最後我失去你」をしっとりと歌い上げ、ネクスト歌姫と期待される李芷婷は、「美麗舊世界」で圧倒的な歌唱力を見せつけました。



150万人以上の登録者を持つミュージックユニットYoutuber「沒有才能」は、ポップなヒップホップナンバー「還是要有長頸鹿才能」を熱唱、台湾ミュージック界の大物新人 李浩瑋(Howard Lee)は「窩囊廢」、「你讓我」、「Crush On」のメドレーを披露。R&Bやロック、ポップなどを結合させたオリジナルサウンドが注目を集めています。19歳の新人ラッパー8lakは、大御所たちにも一目置かれる存在。トレンド感のあるおしゃれなサウンドの「Fall」を歌ってくれました。
潮流新聲 Rising Starの歌手たちは、屋外ステージでもパフォーマンスを披露。多くのファンが駆け付けました。




オーストラリア出身のKimberley(陳芳語)は、韓国のJYPエンターテインメントの練習生だった経験もあり、キレのあるダンスパフォーマンスも得意。豪華なダンサー陣を引き連れて、セクシーなダンスパフォーマンスでも会場を魅了。「9 Million」、「4am Calls」、「逆光」、そして今回初お披露目となる新曲「Kow Tow」を披露しました。



台湾の新R&Bクイーンとの呼び声高いJulia(吳卓源)は、今年初めて「年度風雲歌手」を受賞。ジャズピアニストのElin Lee(李宜玲)とコラボレーションしたパフォーマンスを披露し、「Floaty Shit」、「你是不是有點動心」、「七十億分之一」を熱唱。そしてKimberley(陳芳語)とのサプライズ企画で「撥接」を歌い上げ、会場を沸かせました。



金曲賞受賞経験もある大人気バンド、茄子蛋(EggPlantEgg)もアワードのゲストとして登場。独創的でどこか懐かしさ漂うセンスや、台湾語で歌う人情味あふれる歌がダサかっこいいと、台湾の若者たちから絶大な支持を集めている3人組バンドです。台湾の国民的ドリンク「黑松沙士」の2020年のイメージソングだった「敢傻敢衝」、そして「浪流連」では、台湾の電信会社「中華電信」の5G 最先端技術を使ったアートとコラボレーションしたステージを披露しました。屋外ステージでもパフォーマンスに登場、多くのファンを喜ばせてくれました。



アワード初登場となるシンガーソングライターの李友廷(Yo Lee)は、ロックなサウンドの「如果你也愛我就好了」と、バラードの「誰」を披露。地道にライブイベントを積み重ねてきた実力派シンガーの武器である表現力の豊かさを見せつけてくれました。



6度目の「年度風雲歌手」受賞、台湾の国民的女性グループ「S.H.E」のメンバーで、現在ソロ活動でも人気を獲得している田馥甄 (Hebe Tian)も登場。Hebeのパフォーマンスが始まると、会場はこの日一番の声援で埋め尽くされ、「女神」という愛称にふさわしい貫禄を見せつけてくれました。デジタルアートを使った演出で激しく歌い上げた「底裡歇斯」、「田」と、優しいメロディの「或是一首歌」、広い芸域と圧倒的な歌唱力で観客を魅了しました。



2019年に結成、バラエティ番組から大ブレイクした5人組アーティストグループ 五堅情(W0LF(S))も「年度風雲歌手」を初受賞。Wayne(黃偉晉)、09(陳零九)、Lai(賴晏駒)、Feng Ze(邱鋒澤)、Shou(婁峻碩)の5人それぞれが歌やラップ、ダンスなど特技を生かしたソロパフォーマンスをするというおもしろい構成のグループ。Laiは「乾我什麼事」、09は自作の「星星」、Feng Zeは「日環食」、Wayne「背光旅行」、Shouはステージを飛び出して「NEVER LAND」で会場を盛り上げ、ラストは5人で「反正我好看」のパフォーマンスを披露。ファンたちの黄色い声援が飛び交いました。





「年度風雲歌手」初受賞で、今や台湾のトップアーティストの仲間入りを果たした若手5人組ロックバンド 八三夭 831がアワードのトリを務めました。五月天(May Day)の後輩で、2015年に日本デビューも果たしている注目のバンドです。彼らの代表曲とも言える「東區東區」、「搖勒搖勒」のアップテンポチューンで盛り上げ、そして今回初披露となる新曲「我不需要每一個人都愛我 - A Rock Can Be A Star」では、コンテンポラリーダンスと融合した感動的なパフォーマンスを見せてくれました。第16回目のアワードを締めくくる1曲は、ハイテンポナンバー「致青春」をセレクト。会場の熱気は最高潮に達し、華々しいフィナーレとなりました。



近年の台湾の音楽シーンの流行は、ヒップホップが強さを見せていることを改めて感じさせるラインナップでした。不安定な社会や、日々の生活の不満などを代言してくれるラップに共感する若者が多いことを象徴しているのかもしれません。
今年は新型コロナウィルスの影響もあり、海外の往来が難しいため、現在中国滞在中の楊丞琳(Rainie Yang)などの「年度風雲歌手」受賞歌手たちも、アワードに参加できず残念だったファンも多かったかもしれませんが、このような世界状況の中で、気持ちが落ち込んだ時にも「音楽の力」で元気をもらったと、改めて実感した人も多いのではと思います。
2021年はどんな台湾ミュージックが世界を魅了してくれるのでしょうか? 2022年のアワードは世界中からアーティストや観客が訪れられるようになることを強く願います。



石井三紀子
石井三紀子

最新の記事

    share to facebook share to facebook share to facebook share

    Ctrl + C でコピー