歴史を変えたラグビー日本代表! あるいは音楽と記憶について

歴史を変えたラグビー日本代表! あるいは音楽と記憶について
海老沼邦明
海老沼邦明

「ラグビー日本代表が南アフリカに勝利! 」というニュースが日本中を震撼させました(ということにしておきます)。「は?ここは音楽のニュースでしょ」という方、しばしお待ちを。音楽も関係してくるんです。まずは日本が南アフリカに勝ったということが、どれだけすごいことかということを説明させてください。 いまから遡ること20年、1995年のことです。南アフリカで行われた第3回ラグビーワールドカップの試合で、ニュージーランドのオールブラックスに対し、日本代表は145失点! 17対145というスコアで記録的大敗を喫したのです。そして、そのニュージーランドを決勝で下して優勝したのが南アフリカ。そんな日本が今回、その南アフリカに勝ったんです! 20年前、130点先のはるか頭上に見上げていたチームに勝ったんです! これが快挙と言わずしてなんでありましょうか。 実はこの1995年の大敗の記憶を呼び起こしてくれたのが音楽なんです。第2回ワールドカップからテーマ曲となっている「ワールド・イン・ユニオン」、ホルストの「木星」を原曲にしたこの曲がキーでした。大会直前にふとテレビでこの曲が流れ、「ああ、そうか、テーマソングだったけな」となり、「いや、どっかほかで聴いたな」と思い出したのです。その「どっか」とは映画『インビクタス/負けざる者たち』(日本公開2010年)なんですが、でも考えてみたら「どっか」でもなんでもない。1995年の南アフリカラグビーワールドカップを中心にした映画なのですから。アパルトヘイト黒人差別などにも言及した内容ですが、南ア大会といえば今の僕にはあの記録的大敗しか思い浮かばない。そこへきて歴史的快挙。もう、なんだかね、あれですよ。

(YouTube: warnervodjapan) ある音楽を聴いて、ある記憶が突然呼び起こされる。だから音楽はすごいんです。今回のことだってもし「ワールド・イン・ユニオン」を聴くことがなかったら、20年前の大敗を思い出さなかったかもしれないし、南アに勝ったことも「すごいな」だけで終わっていたかもしれない。そう思うと、やっぱり音楽ってすごい。みなさんも、きっとたくさんの記憶があると思います。その引き出しの鍵は、もしかしたら音楽かもしれない。誰かの作ったKKBOXのプレイリストで、あなたの記憶が呼び起こされるかもしれない。だから人生は素晴らしい。そんなことを思ったラグビーワールドカップでした。 プレイリスト前半6曲は、ラグビーのテーマソングを集めてみました。ちなみに、この冬に行われる花園、高校ラグビーのテーマソングはスキマスイッチが担当。どんな曲でどんな記憶とともに残るのか楽しみです。そして後半は悪夢の1995年の楽曲を……。いや、どんなことを思い出してもらってもいいんですよ。

海老沼邦明
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