JUJU待望のニューアルバム『The Water』を本人解説とともに紐解く──名曲と振り返る21年の軌跡

JUJU待望のニューアルバム『The Water』を本人解説とともに紐解く──名曲と振り返る21年の軌跡
KKBOX編集室
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2024年にデビュー20周年を迎えたJUJUによる、7年ぶりとなる待望のオリジナルアルバム『The Water』が2025年3月5日にリリースされた。2004年のメジャーデビュー以来、数々のヒット曲を生み出し、ライヴ活動を精力的に続けてきた彼女。本作には、ドラマや映画主題歌となった「STAYIN’ ALIVE」「こたえあわせ」「花」などのヒットシングルに加え、ポエトリーリーディングが印象的な「The Water - Prelude」、平井堅が作詞・作曲、松任谷正隆がアレンジを手がけた「ぐらぐら」、そして表題曲でアルバムラストナンバーの「The Water」など新曲6曲を含む全15曲が収録されている。

本記事では、20年以上にわたり名曲を歌い継ぎ、歌で“物語”を届けてきたJUJUの新たなステージ ”The Water” に込められた想いを、JUJU公式ウェブサイトに掲載の「セルフライナーノーツ」を引用しご紹介するとともに、彼女の輝かしい軌跡もあわせて紐解いていく。

聴く者全てを魅了する歌声で名曲を紡ぐ——JUJUが歩んできた21年の軌跡

2004年にメジャーデビューを果たしたJUJUは、その表現力豊かな歌声とジャンルを超えた音楽性で、多くのリスナーを魅了し続けている。18歳で単身渡米し、ニューヨークで、クラブミュージックやジャズ、R&Bに触れて培った独自のスタイルが、後の彼女の音楽の礎となっている。

しかしながら、デビューから数年はヒットに恵まれず、背水の陣でリリースされた「奇跡を望むなら...」(2007年)は、その切なくも力強いバラードが話題を呼び、JUJUの名を広く世間に轟かせロングヒットとなった。“泣けるラブソング” の代表格として今も愛され続ける一曲だ。2008年には「素直になれたら」を発表し、等身大の歌詞とキャッチーなメロディが共感を呼び、JUJUの音楽は一層広い層へと浸透していく。

2009年には「やさしさで溢れるように」をリリース。亀田誠治プロデュースのもと、スケール感のあるミドルバラードとして大きな支持を集めた。さらに、映画『余命1ヶ月の花嫁』の主題歌としてリリースされた「明日がくるなら」は、着うたとして社会現象ともいえるブームを巻き起こし、JUJUの代表曲のひとつとなった。2010年にはドラマ『ギルティ〜悪魔と契約した女〜』の主題歌「この夜を止めてよ」がヒット。大人の女性の心情を繊細に描いた歌詞が共感を呼び、JUJUのバラードシンガーとしての地位を確かなものとした。

しかし、JUJUの魅力はバラードだけにとどまらない。2015年には「What You Want」や「PLAYBACK」など、EDMサウンドを取り入れたダンサブルでエネルギッシュな楽曲を発表し、類まれなポテンシャルの高さを証明した。2010年以降に展開した邦楽カバーアルバム『Request』シリーズでは、My Little Lover「Hello, Again~昔からある場所~」や、松任谷由実の「Hello, my friend」など、J-POPの名曲をJUJUならではの解釈で歌い上げ、既存のファンから新規のファンまで多くのリスナーを魅了した。また、ライフワークの1つであるJAZZへの愛を形にした『DELICIOUS』シリーズも展開し、本格的なジャズシンガーとしての一面も披露、多様な才能を遺憾無く発揮し多くのファンを虜にしていく。

2020年には「STAYIN' ALIVE」がドラマ『トップナイフ -天才脳外科医の条件-』の主題歌に起用され、スリリングなメロディと力強い歌詞で新たな代表曲となった。続く2021年には「こたえあわせ」、2022年には「花」など、ドラマや映画主題歌を次々と担当。そして2024年にはデビュー20周年を迎え、「ジュジュ苑スーパーライブ スナックJUJU 東京ドーム店」を開催した。2008年に700人規模のライブハウス duo MUSIC EXCHANGEでスタートしたカヴァーライブ「ジュジュ苑」が、5万人規模の東京ドームまで広がった本ライブ。さらに全国アリーナツアーや、JAZZ LIVE、フルオーケストラコンサートなど、多種多様なライブを開催した。

そして2025年、7年ぶりとなる8枚目のオリジナルアルバム『The Water』をリリース。デビューから21年、JUJUはこれからもその力強く丁寧に紡がれる歌で、多くの人の心を震わせ続けるだろう。

JUJU 8th Album 『The Water』を本人のセルフライナーとともに徹底解剖

ここからは、JUJUが2025年3月5日に満を持してリリースする8枚目のフルアルバム『The Water』に込めた想いを、JUJU公式ウェブサイトに掲載のJUJUさんご自身によるセルフライナーノーツとともにご紹介します。

1. The Water – Prelude

アルバムのタイトル『The Water』をテーマに詞先で作った曲で、ポエトリーの部分には⟨⼤丈夫と⾔い聞かせたあの⽇に ⼤丈夫だと伝えたい⟩というフレーズがあります。この部分が、前作『I』のラストナンバーでタイトル曲「I」の⟨ひとりで⼤丈夫 私は強いから⟩と⾃分に⾔い聞かせていた“私”の“その後”のように聞こえたんですね。だから、この曲をオープニングナンバーにすることはすごく意味があると感じたんです。お伝えしたいことがぎゅっと詰まっているので、アルバムの導⼊部分として、必ず⾶ばさずに聴いていただきたいです。

2. 春の嵐

歌詞を書いてくれたのは親交のある⼟岐(⿇⼦)ちゃん。あの頃の私の恋愛模様を書いたんじゃないかと思ってます。始まる可能性があったのに始まらせなかった。若さゆえの意地っ張りが仇になったことを悔やんでいるけど、その後悔があったからこそ学んだこともたくさんある。そんなことを切なくも懐かしく思い出させてくれるし、アルバムの1曲になるとちょっと意味合いが変わって輪郭がはっきりするようにも感じました。

3. こたえあわせ ―ドラマ『恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~』主題歌―

杉咲花ちゃん主演ドラマ『恋です!〜ヤンキー君と⽩杖ガール〜』の主題歌。主⼈公は学⽣なので、その年齢に対して私はどうしたらいいかなっていう難しさはありましたが、⽣きづらさを感じている⼆⼈が惹かれ合い、⾃分の中で無理して⾒ないようにしていたものや出さないようにしていた感情が、お互いのことを⾒ながらわかるようになる。それはきっとどの年齢の⼈にもあることですよね。恋だけじゃなく友達でもいいし、本や⾳楽でもいいんだけど、“こたえあわせ”をしなくていい相⼿と出会えることってものすごく貴重だし、素敵なことだと思います。

4. 愛の嘘

私も⼤好き、きっと皆さんも⼤好きであろう歌謡テイストが満載。JUJU にはなくてはならないエッセンスの詰まった曲です。ギラギラした夜っぽさが欲しくて、⽟井健⼆さん(agehasprings)にお願いしています。「愛の嘘」は、悔しい涙だったりその悔しさからの嬉しい涙だったり、この 2 ⼈にしかわからない⽔がいっぱい溢れてる。ライヴでも楽しいんだけどぐっとくる曲になるんじゃないかと思っています。

5. 一線 ―ドラマ『グレイトギフト』主題歌―

「⼀線」は私たちの⽣活の中にも常に潜んでいて。⼀つのことがきっかけで、なし崩し的にどこかに連れて⾏かれてしまうことが⼤いにありうる。そのきっかけは恋かもしれないし、思い違いかもしれないし、思い過ごしかもしれないけど、その⼀つの事柄のせいで⼀線を越えることがある。その⼀線を越えて、めくるめく世界を覗きに⾏くもよし、越えない強さもよし、それまでの⾃分に⼀線を画すもよし。いろんな⼀線があるだろうなって思うんですが、私はライヴで皆さんと“⼀線”を越えたいと思っています。

6. ぐらぐら

作詞作曲は平井堅さん。歌詞は好きな⼈と⼀緒にいるときのぐらぐらしてる感じですよね。相⼿の携帯が鳴って、誰からなんだろうっていう悋気の⽔分が出たときの嫌な感じ。さらにあの頃とは違って、誰?とは聞けない今の嫌な⽔分。でもその⽔分が全部あるからこそ、⽢美な⽔分に変わってるっていう。アレンジは(松任⾕)正隆さんにお願いしたところ、ご快諾くださって。平井さんは⾏きつけのレストランを思いながら書いて、正隆さんは新宿の地下道を歩いてる JUJU を想像しながら編曲してくださったそう。みなさんにもぐらぐらしていただきたい気持ちでいっぱいです。

7. 幻火

私がどうしても⼊れたかった、ままならないゾーンの曲です。出会った瞬間に終わりが⾒える恋ってあると思うんです。終わりが⾒えてる恋なのに、好きになったらその気持ちを隠すことはできない。だから、お互いに終わりがわかっていながらも突き進む恋。そのときの狂おしさだったり、表⾯上はすごく冷たいふりをしているけど、その冷たい表⾯の内側は炎が燃えている。お互い隠してるけど、お互いが抱えてるその⽕が幻なのかどうかっていうことを曲にしたかったです。

8. WATCH WHAT YOU BE

私にとってのホームグラウンドであるニューヨークの、90 年代のクラブっぽさを表現したかった曲。22 時にドアが開いて、4 時に閉まるまでに起承転結があって。だいたいはダンスクラシックスからはじまって、R&B、ヒップホップ、レゲエの時間があって、またヒップホップに戻って。最終的には、ハウスがかかって、全員泣き踊りで終わるっていう(笑)。この曲のメッセージとしては、⾃分が何になりそうかっていうのに気をつけないと、いろんなものに⾜をすくわれるよという。⾃分に対しての警鐘を鳴らす曲です。

9. Bet On Me ―ドラマ『スタンドUPスタート』主題歌―

“明⽇からは頑張れる”や“来週からは頑張れる”とは⾔えるけど、⟨2 秒先⟩はすぐそこだから、本当に結果が出せるかどうか、そこまで⾃分の中で⾔い切る⾃信がなかったりする。でも、⼀番腹を決めなきゃいけないのはその瞬間瞬間であって、⟨2 秒先の⾃分⟩に⾃信が持てたら、絶対にもっと強くなるし、しなやかに⽣きていけるだろうなって思う。いい歌詞ですよね。いつでも⾝勝⼿にやってくる明⽇をどう処するかは⾃分次第だし、その処する⾃分に賭けてみると、意外と⾯⽩い芽が出るかもしれないなって思わせてくれた曲ですね。

10. STAYIN' ALIVE ―ドラマ『トップナイフー天才脳外科医の条件ー』主題歌―

⟨やり直せないミステイクも/笑い⾶ばせたらスパイス⟩という歌詞に対して、「いや、笑い⾶ばしちゃ駄⽬でしょ」って⾔った⼈がいたんです。もちろん、笑い⾶ばしちゃいけないミステイクは絶対にあります。そうだとしても、⽣きていく中では、おおっぴらにではなく、⾃分に対して笑い⾶ばして、何とか前に向かわなきゃいけない時があるんじゃないかと今でも思ったりしてます。⽣きてることって⼤変なこともいっぱいあるし、今はすごく⼼が苦しい時代なのかなとも思うけど、⽣き続けてさえいれば絶対に楽しいこともたくさんあるはずだって。そう思う⼈が1⼈でも増えるといいなって思います。

11. ハリシア

「ハリシア」はサボテンのこと。若い頃はみんながサボテンのふりをして⽣きていて。触ると痛いよって思ってるから⾒過ごすことや逃してしまうものも多かったけど、⼤⼈になってトゲがだんだんなくなっていって。あの頃の⾃分を懐かしみつつ、今そのトゲがなくなったのは、仲間である“あなた”に出会えたからですっていう。前作『I』の「I」のように、これまで JUJU を⽀えてくれたすべての⼈たちに愛と感謝を伝える曲になるといいなと思ってます。

12. ミライ ―ドラマ『ハケン占い師アタル』主題歌―

この曲を通して私⾃⾝が本当に、⼩さな強がりが前を向く⼒になるんだなって思えた。私ももうちょっとだけ強がろうと思ったことが今に繋がってるし、その⼤切さを教えてくれた曲ですね。⼩さな強がりだけを持って未来を探しに⾏くことって⼤事だなっていうのをいつでも思い出させてくれる曲だし、これからも、そんな⼩さな強がりを持った⾃分って素敵だなと思える曲になるといいなと思います。歌詞を書いてくれた蒼⼭幸⼦さんにはすごく感謝してます。

13. 花 ―映画『母性』主題歌―

花はそれぞれいろんな花があるように、⼈の⽣き⽅もそれぞれだしどの⽣き⽅も間違いじゃない。⾊のない花があったり、花に⾒えない花があったり、華やかな花があったり、華やかすぎる花があったりする。でも、その全部があるから世の中で美しく⾒えるっていうのを再確認したかったんです。本当にどんな⽣き⽅もどんな花も美しいなと思わせてくれる曲ですね。

14. こたえ

この 2 ⼈が⾒た未来はそれこそ酸いも⽢いもあって。他の⼈から⾒たらそれでいいんですか? って思うことだとしても、⾃分とその相⼿だけが確信を持って納得して⾒てる未来な気がします。それで最後に⟨あなたと⽣きた ⾜跡だけが“こたえ”になると⟩と⾔い切る清々しさと潔さが私はすごく好きです。アレンジは⽯成さんにお願いして、いろいろと⾃分の願いを叶えてもらいました。

15. The Water

(歌)詞先だった「The Water」にメロディがついて曲になった瞬間に「私、今まで⽣きてて本当に良かった!!」って思えたんです。今までの⼈⽣の悲喜こもごもすべてを肯定することにできた曲なんですよね。もちろん悲しいことは悲しいまんまだけど、それすらも愛おしいと思えるきっかけになる曲になった。聴いてくださる⽅の今までの悲しい思い出や今まで⾃分が乗り越えてきた⼭のすべてが、⾃分の中でこれで良かったんだって思える曲になるといいんだけど、それは私が⾔うことじゃないから。ただ、私にとっては、今までの私がどんな私だったとしても愛おしいって思わせてくれた曲になってます。


JUJUが7年ぶりにリリースする8枚目のオリジナルアルバム『The Water』は、JUJUの深化した表現力と、多彩な魅力がいっぱいに詰まった渾身の一作だ。過去のヒット曲群と本作で初披露となる新曲が織りなす物語は、まるで水のように心に流れ込み、時に優しく、時に力強く響く。20年以上にわたり名曲を生み出してきた彼女は、今も進化を止めない。2025年の全国ホールツアーでは、このアルバムがどのようにライブで輝くのか。JUJUがこれから奏でる音楽と、新たな感動の瞬間に期待が高まる。

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