ネットカルチャーを飛び越えたZ世代のトップアーティスト|いまさら聞けないEveのトリセツ5

ネットカルチャーを飛び越えたZ世代のトップアーティスト|いまさら聞けないEveのトリセツ5
KKBOX編集室
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2020年にリリースされたTVアニメ『呪術廻戦』第1クールのOPテーマ「廻廻奇譚」が国内外でヒットしたことで、瞬く間にトップアーティストの仲間入りを果たしたシンガーソングライター、Eve。2022年には日本武道館2days公演を満員の観客のなか大成功に収め、2024年には初のアジアツアーを全公演ソールドアウトさせたほか、2025年8月に開催予定のKアリーナ横浜公演2デイズをソールドアウトさせるなど精力的な活動を続けている。

ボカロ曲をカバーする「歌い手」からそのキャリアをスタートさせたEveは、シンガーソングライターとして活動する現在も、そのルーツを引き継ぎ公に顔出しをせず活動を続けている。そんな彼がなぜ世界中のリスナーを虜にするまでのアーティストへと成長したのか。本記事では、Eveの魅力を5つピックアップし、支持の厚さを解き明かす。

【1】ネットカルチャーとギターロックを組み合わせた、フレッシュかつスタイリッシュなサウンドデザイン

Eveのルーツは大きく分けると、BUMP OF CHICKENや相対性理論、Galileo Galileiなどに代表される日本のギターロックと、VOCALOIDの2つ。バンドサウンドと電子音が融合するサウンドがEveの特徴だ。

ギターロックならではの勢いや熱量、焦燥感と、DTM(デスクトップミュージック)を掛け合わせた洗練されたサウンドメイクに、VOCALOIDを思わせる言葉数の多い歌と、これらが作り出す小気味よいリズムや躍動感が合わさる。軽快ながら没入感が同居し、ファンタジックでありながらもリアルさを兼ね備えた楽曲はEveの音楽の大きな魅力のひとつだ。

【2】低音から高音までなめらかに行き来する飾らない歌声

歌詞にはシニカルな描写やエッジの効いた言い回しも散見されるが、それが攻撃的に映らないのは彼の歌声にある。少年のようなあどけなさや柔らかさを含む声質は耳馴染みがよく、どこかアンニュイなムードや自然体でリラックスした空気感がある。そのスタンスで低音から高音までをファルセットを交えながらなめらかに往来し、言葉数の多い歌詞も難なく歌い上げるボーカリストは、実はさほど多くない。彼のナチュラルでありながらもメロディを丁寧に辿る歌声は、リスナーの心にそっと寄り添ってくれる。

【3】音や言葉のみならず、映像で表現することでスケールアップする楽曲の世界観

Eveは優れた映像演出も特筆すべきポイントのひとつ。歌詞が描く心象風景をサウンドに反映させる巧妙さもさることながら、様々なクリエイターとタッグを組み制作される彼のミュージックビデオは、どれも楽曲の持つ世界をスケール大きく描く。

アニメーションスタジオ・MAPPAに所属する気鋭のクリエイター・Ligtonが手掛けた「虎狼来」のMVは、閉塞感を抱える若者が解き放たれる様をダイナミックかつスタイリッシュに描いた。また、Eveの代表曲のひとつ「廻廻奇譚」のMVでは、彼の映像作品のテーマでもある無機質な“街”と『呪術廻戦』の世界が融合し、さらに楽曲の強度を高めた。楽曲が元来持つメッセージを音や言葉だけでなく、映像としても細部まで表現することで、楽曲の持つ説得力やクリエイティビティを高めている。

【4】歌詞に描かれる心象風景と、「君」と「僕」の世界

Eveの歌詞には心象風景が描かれることが多い。自身の心に湧き上がる葛藤を時に抽象的に、時に生々しく綴る筆致に、同じような気持ちを抱える人々は直感的に心を射抜かれるだろう。だが、鋭さだけでなく思慮深さも持ち合わせているのが彼の描く詞世界の特徴である。「僕」の感情を描くということはつまり、目の前にいる「君」に対する「僕」の思いも綴られているということだ。

彼の視点はいつも、「君」と同じ位置にある。高い位置から呼びかけるわけではなく、隣で手を取り握りしめるような距離感だ。「君」という大切な存在がいるからこそ駆け出せる、諦めずに生き続けられると真摯に伝えるような情熱が、言葉の端々から伝わる。彼の心から素直にこぼれたであろう言葉たちは、眠れない夜や心が弱ったときには染み入り、堂々と前を向いているときには奮い立たせてくれる。寄り添うだけではない、“共に歩む”という姿勢が、彼の誠実さを表しているように思う。

【5】Eveのすべてが詰まった真骨頂:ライブ

ここまで上げてきた4つのトピックすべてを十二分に味わえるのが彼のライブである。前述の映像演出をライブでは巨大スクリーンを用いて大迫力で魅せ、バンドの生演奏とともに楽曲のダイナミズムを格上げする。Eveによるアコースティックギター弾き語りやそのツアー/ライブでしか聴けないアレンジにも注目だ。

彼の歌は歌詞に綴られた思いを観客にダイレクトに届け、シンガロングやコールアンドレスポンス、クラップを求めるなどライブならではのコミュニケーションも忘れない。国内外でのライブに大型フェスへの出演など、ライブ経験を積み重ね、ステージでの表現力は着実に増している。

まとめ

そんな彼の最新作となるメジャー4thフルアルバム『Under Blue』が2024年11月27日にリリースされる。彼が描き続けてきた様々なタイプの「青」を収録した全19曲入りの渾身の一作は、前作『廻人』以降にリリースされたタイアップソングを多く含む既発曲12曲と、アルバムのために書き下ろした新曲7曲から構成される全19曲の大ボリューム。

青空や海といった爽やかなイメージだけでなく、「悲しみ」を象徴する色でもある青。その二面性は、異なる要素を自由に取り入れて自己表現を続けてきた彼の楽曲ともリンクする。あなたの記憶や心のなかにある「青」と彼の「青」を照らし合わせてみると、新しい感覚や懐かしい感覚が生まれるかもしれない。そして『Under Blue』をきっかけに、彼もさらにアーティストとして飛躍し、深みを増していくことだろう。まだまだ底知れぬポテンシャルを秘めたアーティスト・Eve。彼の描く物語を体感してみてはいかがだろうか。

Eve - Major 4th Full Album "Under Blue" out on 2024/11/27
収録曲:
01. lazy cat
02. ティーンエイジブルー (TVアニメ 『アオのハコ』EDテーマ)
03. 逃避行
04. 虎狼来 (『ギャツビー メタラバーシリーズ』プロモーションタイアップソング)
05. ファイトソング(TVアニメ『チェンソーマン』エンディング・テーマ)
06. 花星
07. 冒険録 (スマートフォン向けゲーム「アスタータタリクス」オープニングテーマ)
08. Byme
09. 巻物語 (コロコロコミック555号記念PVテーマソング)
10. インソムニア (『映画 マイホームヒーロー』主題歌)
11. Bubble feat. Uta (映画『バブル』OPテーマ)
12. スイートメモリー (TVアニメ『小市民シリーズ』OPテーマ)
13. 白雪 (映画『ブラックナイトパレード』主題歌)
14. Midnight Runway
15. ぼくらの (TVアニメ「僕のヒーローアカデミア」第6期オープニングテーマ)
16. 花嵐 (ブルボン「アルフォート」CMソング)
17. さよならエンドロール
18. Under Blue
19. 夢に逢えたら

Blu-ray(映像盤にのみ収録)
Eve Live 2023「花嵐」
2023.11.26 さいたまスーパーアリーナ公演ライブ映像

Music Video:
Bubble feat. Uta
白雪
ファイトソング
ぼくらの
冒険録
虎狼来
花嵐
逃避行
インソムニア
スイートメモリー
Byme

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