ノーベル文学賞を受賞!ボブ・ディランは何が凄い?

ノーベル文学賞を受賞!ボブ・ディランは何が凄い?
小川真一
小川真一
2016年のノーベル文学賞に、ボブ・ディランが決まりました。今回の受賞の理由は、<偉大なアメリカの歌の伝統の中に、新たな表現を与えた>ということで、彼の詩作が評価されたことになります。62年にデビューして以来、様々に移りゆく社会情勢に鋭いメッセージを投げかけ、そして、時代とともに歩んできた。その中で作り出した言葉の数々に対しての賞であると思います。 最初にボブ・ディランが着目されたのは、その歌詞でした。ピーター・ポール&マリーがカヴァーした「風に吹かれて(Blowin' In The Wind)」が、時代を象徴する歌として話題を呼び、アメリカでは公民権運動のテーマのような存在となり黒人層からも支持を受けました。これはボブ・ディランが22歳の時のことでした。
出典元:(YouTube:BobDylanTV) 「時代は変る(The Times They Are a-Changin' )」も、おなじように若者たちから絶大なる支持を受けました。「国中のお父さん、お母さんたち、自分のわからないことを非難するな。昔の流儀は消えつつある、時代は変わっていくのだから」と歌われる歌詞は痛烈なメッセージとして飛び込んできたはずです。 若くして<時代の代弁者>になったボブ・ディランですが、反戦歌の旗手、プロテスト・ソングの担い手、といった位置に留まりませんでした。さらに自身の歌を極め、独自の発想の歌を作っていきます。その一端が、65年から続く、『ブリンギング・イット・オール・バック・ホーム』、『追憶のハイウェイ61』、『ブロンド・オン・ブロンド』といったエレクトリックな楽器を交えたフォーク・ロック路線でした。伝統あるニューポート・フォーク・フェスティヴァルに出演し、エレクトリック編成のバック・バンドを従えて轟音を奏で、一部のファンからブーイングを浴びたこともありました。このディランのフォーク・ロックは、ザ・ビートルズにも影響を与えることになります。
出典元:(YouTube:BobDylanTV) 66年にオートバイ事故を起こし、ニューヨーク郊外のウッドストックに隠遁。そこで、ザ・バンドと名乗ることになる連中と、ビッグ・ピンクと呼ばれた納屋でのセッションを繰り返します。この時期に、自身の進むべき道を掴み取ったと言ってもいいでしょう。その後の75年には、ジョーン・バエズやランブリン・ジャック・エリオット、ロジャー・マッギンなどのミュージシャンとともに、アメリカ中をツアーして回る「ローリング・サンダー・レビュー」を敢行します。ザ・バンドとのワールド・ツアー、そして90年代に入ると<ネヴァー・エンディング・ツアー>を開始。このツアーはメンバーを入れ替え、2016年現在も続けられています。生涯現役としてライヴ活動を続けているのも、ボブ・ディランの凄さのひとつだと言えます。
出典元:(YouTube:BobDylanVEVO) ボブ・ディランの影響力は絶大で、ザ・ビートルズやローリング・ストーンズなどの英国勢にも強く影響を与えました。ブルース・スプリングスティーンやエリオット・マーフィーなど、ボブ・ディランの歌を聞いて活動を始めたミュージシャンを、<ディランズ・チルドレン>と呼んだりもしますが、それももう、ディランの孫、曾孫の世代にまで広がりを見せています。20世紀、そして21世紀が生んだ最高の詩人の称号は、今回のノーベル文学賞の受賞で、揺るぎなきものになったと思います。 プレイリスト前半はボブ・ディランの代表曲とその足跡、後半はディランに影響を受けた洋楽・邦楽アーティストの楽曲をまとめました。
小川真一
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