【徹底解説】LDHグループ総まとめ|EXILE・三代目から注目の若手まで
2001年のメジャーデビュー以来、長きに渡り日本の音楽シーンの中心的存在として活躍し続けるEXILE。“Love, Dream, Happiness” をテーマに活動してきた彼らの精神は後輩たちに脈々と受け継がれ、今ではEXILE TRIBE(一族)と呼ばれるほどの一大組織へと進化している。だが、続々と登場する新グループに「EXILEや三代目J SOUL BROTHERSなら知っているけれど、他のグループについてはよく知らない……」という方も少なくないはず。本記事では、そんなお悩みを解消すべく、EXILEからJr. EXILE、NEO EXILEまで全12グループを徹底紹介する。
LDHの歴史|EXILE創世記から現在までの23年の軌跡
2003年、前年にEXILEのオリジナルメンバーが立ち上げた会社を前身とした、新たなエンターテインメント企業が誕生した。その名も “LDH”。 EXILEが掲げるエンターテイナーとしての理念 “Love, Dream, Happiness” が由来だ。この事務所には、数々のミリオンセールスに数千万枚を超えるCDセールスなど輝かしい記録を残し、時代を築いたレジェンドEXILEを筆頭に、10年以上に渡って時代の最先端を駆け抜けてきた三代目 J SOUL BROTHERSに、近年ボーイズグループ界隈を賑わすGENERATIONS にTHE RAMPAGEなど、実に多様なグループが所属している。EXILEから継承したエンターテインメント精神を胸に、オリジナリティー溢れる音楽性でファンを虜にしているLDH所属グループの面々。まずは、その基盤を作った3組から紹介していこう。
LDHアーティストの基盤を作った先駆者たち
◇ EXILE
2001年、前身グループJ Soul Brothersを経て、2名のボーカル・4名のパフォーマーという構成で誕生したのが、今や国民的アーティストとして知られるダンスボーカルグループ、EXILE。2003年にリーダー兼パフォーマーのHIROが過去に在籍していたZOOの『Choo Choo TRAIN』のカバー曲をリリースすると、当時グループ最高位となる週間オリコンランキング2位を獲得し、同年末に『NHK紅白歌合戦』に初出場を果たす。2006年に新ボーカルTAKAHIROが加入してからは、よりエンターテインメント性を追求するようになった。『FIREWORKS』や『Rising Sun』といったダンスチューンから、『Ti Amo』や『道』といったバラードまで、幅広いジャンルの楽曲を発表しヒットを連発。アーティスト活動の傍ら、俳優やバラエティータレントとして活躍するメンバーも多く現れた。現在は、2014年に開催された「EXILE PERFORMER BATTLE AUDITION」で選抜されたメンバーの加入と初代メンバーの勇退などを経て、4名のボーカル(ATSUSHI・TAKAHIRO・NESMITH・SHOKICHI)と9名のパフォーマー(AKIRA・橘ケンチ・TETSUYA・NAOTO・小林直己・岩田剛典・白濱亜嵐・世界・佐藤大樹)が所属。メンバー全員がソロや兼任グループでも活動している。そんな色とりどりの個性と世代を繋ぐドリームチームが、EXILEである。
◇ EXILE THE SECOND
現在EXILEとして活動しているメンバーのうち、ボーカルのNESMITH・SHOKICHI、パフォーマーのAKIRA・橘ケンチ・TETSUYAの5名で構成されるグループ。“THE SECOND” という名前には、AKIRA以外のメンバーが、2009年にEXILEに加入するまでJ Soul Brothers(二代目)で活動していたという背景がある。2012年に結成・デビューし、2016年にAKIRAを仲間に迎えて本格始動した彼らの大きな強みは、ベテランならではの色気が滴るパフォーマンス。近年のLDHアーティストは、幼少期からダンススクールで基礎を学んできたメンバーが多いが、EXILE THE SECOND はEXILEのオリジナルメンバー(HIRO、松本利夫、ÜSA、MAKIDAI)と同じくストリートダンサー出身で、初期EXILEのイメージを継承し体現する役割も果たしている。『YEAH!! YEAH!! YEAH!!』や『Going Crazy』といった、大人の遊び心が効いたパーティーチューンが人気だが、メンバーのルーツを反映したロック色の強い楽曲も多く、バンド好きにも刺さること間違いなし。
◇ 三代目 J SOUL BROTHERS
EXILE THE SECOND と同じく、もともとJ Soul Brothers(二代目)として活動していたNAOTOと小林直己をリーダーに据え、2010年に結成された7人組グループ。ボーカルは、LDH主催のオーディション「VOCAL BATTLE AUDITION 2」から選出された今市隆二とØMIが務め、パフォーマーはNAOTO・小林直己・ELLY・山下健二郎・岩田剛典の5名が担う。デビュー曲『Best Friend's Girl』を始め、初期はバラードの印象が強かったが、2014年に発表した『R.Y.U.S.E.I.』が大ヒットを記録して以降は、ボーカルも交えて “全員で踊る三代目” のイメージが強まった。さらに近年は今市隆二・ØMIに加えて、ELLYや岩田剛典もソロアーティストとして、NAOTOも中心メンバーとして活動するHIPHOPグループ、HONEST BOYZとして活動中。それまで一般に受け入れられづらかった “パフォーマーが歌う” という生き方をLDHの主流に変えた、革新的グループである。
Jr. EXILEとは|キッズ時代からEXILEの背中を追う、中堅アーティスト軍団
これまでLDHが歩んできた23年間は、アーティスト育成の歴史でもあった。その最も大きな成果が、Jr. EXILEと称されるダンス&ボーカルグループ(GENERATIONS・THE RAMPAGE・FANTASTICS・BALLISTIK BOYZ・PSYCHIC FEVER)の存在だろう。名前が示す通り、彼らの多くは幼少期からEXILEに憧れを抱き、LDHのダンススクールEXPG STUDIOのレッスン生として、ダンス・歌・演技などを習得。EXILEの背中を追うように、続々にアーティストデビューの夢を叶えていった。これらをJr. EXILEと総称する。
◇ GENERATIONS|老若男女に愛されるLDHのパイオニア
2012年にデビューした6人組グループ。ボーカルは「VOCAL BATTLE AUDITION 2」のファイナリスト、片寄涼太と数原龍友が担う。パフォーマーは、劇団EXILEから選出された白濱亜嵐、EXPG STUDIOから選出された小森隼と佐野玲於、EXPGでインストラクターをやっていた中務裕太の4名。“LDH初のメンバー全員が踊れるボーイズグループ” として結成されたGENERATIONSの大きな魅力は、両手を広げたキャッチーなダンスが印象的な『AGEHA』など、観客も一緒に身体を動かせるポジティブなダンスチューンが多いこと。心温まる歌声も魅力的で、『涙』や『空』といったミディアムナンバーも人気だ。また、俳優としても人気を博す片寄や、昨年ソロアーティスト(DJ)として世界デビューを果たした白濱など、幅広い層にファンベースを持つメンバーが揃っているのもGENERATIONSの魅力。彼らの型破りな発想と、それを実現する突破力は、バラエティーやユーモア溢れるライブ作りにも大いに発揮されており、LDHの硬派なイメージを覆したクリエイティブ集団でもある。
◇ THE RAMPAGE|16通りの強烈な個性を放つ、エネルギッシュな大所帯グループ
2017年にデビューしたLDH史上最も大所帯な16人組グループ、THE RAMPAGE。ボーカルは、それまでLDHの主流であったツインボーカルスタイルから脱却し、2013年に開催された「VOCAL BATTLE AUDITION 4」の合格者のRIKU・川村壱馬・吉野北人の3名を抜擢。パフォーマーには、次世代のグローバルアーティストを育成するプロジェクト「GLOBAL JAPAN CHALLENGE」参加者の長谷川慎・龍・鈴木昂秀・後藤拓磨と、EXILEの新パフォーマーオーディションで健闘した与那嶺瑠唯・浦川翔平・武知海青・LIKIYA・陣・神谷健太・山本彰吾・岩谷翔吾・藤原樹の13名が顔を揃えた。彼らの音楽的な武器は、ルーツの異なるダンスや、ラップ・DJ・アクロバットといった各自の特技を織り交ぜたライブパフォーマンス。そして、なんと言っても、個性際立つ16人で届ける大迫力の群舞だ。俳優として活躍するメンバーも多く、ボーカル川村が主人公を演じた映画『HiGH & LOW THE WORST』の主題歌である『SWAG & PRIDE』は、海外でも大人気!『Can't Say Goodbye』や『MY PRAYER』など、3者のボーカルの繊細な歌声が映える楽曲はファンを魅了してやまない。
◇ FANTASTICS|爽やかなパフォーマンスと演技で魅了する “お茶の間の顔"
2014年に一般公募からEXILEのメンバーに大抜擢されたパフォーマー、世界と佐藤大樹がリーダーとなり、2016年にダンスグループFANTASTICSを結成。そこに、2017年開催の「VOCAL BATTLE AUDITION 5」より合格者の八木勇征と中島颯太が仲間入り。2018年にメジャーデビューした。デビュー当初は『OVER DRIVE』や『Flying Fish』のような爽やかなダンスチューンを多くリリースしていたが、現在は80年代のディスコサウンドを取り入れた『High Fever』や、ドラマティックなピアノバラード『Escape』など多彩な楽曲を発表。モデル体型のメンバーが多く揃っているため、どんな楽曲をパフォーマンスしても上品でスタイリッシュな印象を与える。また、デビュー当初より演技に力を入れており、近年は人気俳優としてお馴染みのメンバーも。MVも芝居を取り入れた作品が多く、年々表現力に磨きがかかっている。
◇ BALLISTIK BOYZ|歌・ラップ・ダンス・アクロバットを巧みに操る、新時代の7マイクグループ
2018年、DOBERMAN INFINITYとEXILE HIROの共同プロデュースにより、EXILE TRIBE史上初の “メンバー全員が歌唱する7マイクグループ” が誕生した。メンバーは、2017年開催の「VOCAL BATTLE AUDITION 5」のボーカル部門ファイナリストの日髙竜太と加納嘉将、ラップ部門ファイナリストの海沼流星と松井利樹、「GLOBAL JAPAN CHALLENGE」に参加し、NYでエンターテインメントを学んだ深堀未来・奥田力也・砂田将宏の7名である。2019年にデビューした彼らは、デビュー曲『テンハネ -1000%-』のMVでド派手なアクロバットを披露。ずば抜けた身体能力と地道な努力に裏打ちされたダンス、歌とラップを自由に往来する遊び心溢れるマイクリレーで、“ちょっと生意気な大型新人” ぶりを見せつけた。その後、2021年に発表したセクシーなR&Bナンバー『Animal』が国内外で注目されると、2022年からは半年間タイに拠点を移して武者修行を実施。帰国後もタイの人気俳優とコラボ曲を発表するなど、LDHを代表するグローバルアーティストとして活躍している。
◇ PSYCHIC FEVER|多彩なコラボレーションで世界の心を掴む、ストイックなクリエイターチーム
BALLISTIK BOYZと共にタイで武者修行し、現在LDHアーティストを海外に導く架け橋となっているのが、2022年にメジャーデビューした7人組グループ・PSYCHIC FEVERだ。彼らは全国各地のEXPG STUDIOから集められた精鋭たちで、強い信念が滲む小波津志とWEESAのツインボーカル、剣・中西椋雅・渡邉廉・JIMMY・半田龍臣によるキャラの際立つラップで構成されている。グループがお披露目された2019年以降、メンバーはコロナ禍の影響で思うようにライブ活動ができないという不運に見舞われたが、TikTokを始めとするオンラインでのアピールが功を奏し、ダンス好きなZ世代から注目されるように。と同時に、生粋の音マニアが所属する同グループのサウンドは洋楽ファンを唸らせるほどハイクオリティ。近年はメンバー7名のみで歌唱する楽曲だけでなく、タイの人気アーティストとコラボした『FIRE feat. SPRITE』や、世界的ラッパーJP THE WAVYがプロデュースを手掛けた『Just Like Dat feat. JP THE WAVY』など、バリエーション豊かな楽曲制作で唯一無二の立ち位置を築いている。
NEO EXILEとは|令和のオーディションから発掘された新たな才能
Jr. EXILE世代のグループたちがお茶の間を賑わせる中、2021年にLDH主催の新たなオーディション『iCON Z 〜Dreams For Children〜』が始動。これにより、NEO EXILEと呼ばれる4グループ(LIL LEAGUE・KID PHENOMENON・THE JET BOY BANGERZ・WOLF HOWL HARMONY)が誕生した。これまでのオーディションとは違い、iCON Zでは現役アーティストであるEXILE AKIRAとEXILE SHOKICHIが男性部門のプロデューサーを務めており、4組は先輩たちのサポートを受けながら華々しくメジャーデビューを飾った。地上波の冠バラエティー番組の放送や、素顔が垣間見えるSNS運営など、音楽だけではない幅広いアプローチでファンを増やしている。
◇ LIL LEAGUE|少年から青年へと変わりゆく姿を届ける、マルチプレイヤー揃いのZ世代グループ
iCON Zは2022年に終幕した第一章と、新たな挑戦者を迎えて開催された第二章に分かれているのだが、第一章のグランプリに選ばれ、2023年1月に先陣を切ってメジャーデビューしたのがLIL LEAGUEだ。メンバーは、iCON Zに参加していたEXPG STUDIO出身の岩城星那・中村竜大・山田晃大・岡尾真虎・百田隼麻・難波碧空の6名。これまでのグループはデビュー時のメンバーの年齢が18歳以上だったが、LIL LEAGUEは2023年時点の平均年齢がなんと15.6歳。最年少の難波や百田は声変わりを終えていない状態でデビューしており、歌声や等身大の歌詞を通して、少年から青年に変わっていく過程をリアルタイムで届けていく新感覚のグループとして、LDHに新たな風を吹き込んだ。iCON Zでの課題曲『Rollah Coaster』やデビュー曲『Hunter』を始め、彼らの楽曲の多くはEXILE SHOKICHIが制作。中村がリードボーカルとしてサビを担当したり、岡尾が低音ラップで煽ったりと、得意な歌唱スタイルはあるものの、歌とラップの分担を明確に決めず、多彩な歌割で魅せることができることも彼らの特徴である。
◇ KID PHENOMENON|ヤンチャな笑顔と高水準のステージで観客を巻き込む、カラフルな7人組
KID PHENOMENONは、iCON Z第一章にも参加していたメンバー達が、リベンジマッチ(第二章)に臨む際に結成したグループである。メンバーは、ボーカルの遠藤翼空と山本光汰、リーダー兼マルチプレイヤーの夫松健介、ラップ担当かつダンスでリードする岡尾琥珀・川口蒼真・佐藤峻乃介・鈴木瑠偉の7名。2023年8月、ヤンチャな笑顔と “ブンブン” とバイクを鳴らすようなダンスがキャッチーな『Wheelie』でメジャーデビューを果たした。LIL LEAGUEと同世代で仲が良く、“LIL LEAGUEの公式ライバル” と呼ばれる彼らだが、その高水準のパフォーマンススキルは、2組とも “若手” と紹介するのがはばかられるほど。特に、アニメ主題歌に起用された『存在証明』を聴くと、繊細な感情を歌声に落とし込むセンスに長けている遠藤と、大人顔負けの色気とテクニカルな歌唱で惹きつける山本のツインボーカルに圧倒される。もちろん、ラップやダンスにもカラフルな個性とこだわりが光っており、1人1人のキャラクターも愛嬌たっぷり。Z世代だけでなく、幅広い世代に愛されるグループである。
◇ THE JET BOY BANGERZ|NEO EXILE随一のダンススキルと安定したボーカルで魅せる、熱きパフォーマー集団
iCON Z第二章から誕生したTHE JET BOY BANGERZは、ボーカルの宇原雄飛・エイロン・石川晃多、パフォーマー兼ラップ担当の田中彰・桑原巧光・佐藤陽・古嶋滝・NOSUKE・佐藤蒼虎・中村碧という10名で構成されるNEO EXILE一の大所帯グループ。第一章の参加者たち(一般公募)の復活戦と言える第二章が開幕したとき、ひと際逆境に立たされていたのが彼らだろう。というのも、このグループのパフォーマーは全員がプロダンスリーグD.LEAGUEに所属するプロダンサー。現在も二足のわらじで活動中なのだ。同じようにボーカルの宇原も、LDHの所属アーティスト・DEEP SQUADの一員としてすでにデビューしていたため、プロという立場から新人オーディションに臨む難しさに直面していた。だが、ひたむきに努力を続けてチャンスを掴み取り、2023年8月にシングル『Jettin'』でメジャーデビュー。デビュー後も、ダンス経験の少ないボーカルと、ラップ経験の少ないパフォーマーが助け合いながらパフォーマンスの精度を上げ、最新曲『What Time Is It?』のMVも、この10名ならではの洗練された仕上がりとなっている。
◇ WOLF HOWL HARMONY|4つの歌声と人生がクロスする、少数精鋭のボーカルグループ
iCON Z第二章から誕生した少数精鋭のグループ、WOLF HOWL HARMONY。そのメンバーは、THE JET BOY BANGERZの宇原と同じく、コーラスグループDEEP SQUADのメンバーであるリーダーのRYOJIとSUZUKI、一般公募から第一章に参加していたGHEEとHIROTOの4名。全員、ダンス経験がほぼない状態でのスタート。だが、人一倍、歌を愛しているメンバーが揃った。そんな彼らの魅力は、ルーツや声質の異なるボーカルが織りなすハーモニーと、社会人経験のある4人ならではの “聴き手の人生に寄り添えるリアルな歌”。今夏は“青春三部作”と題して、一目惚れした瞬間の衝撃を描いた『Pink Flash Lights』、幼馴染と同じ人を好きになってしまった三角関係を描いた『Love Triangle』、夢と友情をテーマにした『ピアス』を立て続けに発表したが、この3作も共感度の高い作品となっている。その一方で『Frozen Butterfly』など、ダンスチューンにも果敢に挑戦。どんなことにも真剣に向き合う健気な姿や、まるで幼馴染のような仲の良さ、SNSで垣間見せる素顔が、日々 LOVERED(ファン)をより深くWOLF HOWL HARMONY沼に惹きこんでいる。